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平成31年(2019年)2月27日 参議院国際生活・経済に関する調査会が開催されました。今回は「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」のうち、「豊かな国民性格の実現に向けた環境の整備(地域コミュニティの充実)」について参考人をお呼びし、意見を聞きました。のちに、各参考人に対し質疑を行っています。山田は、社会福祉法人佛子園理事長・公益社団法人青年海外協力協会会長・一般社団法人生涯活躍のまち推進協議会会長 雄谷良成氏 、特定非営利活動法人 チュラキューブ代表理事 中川悠氏、日本福祉大学大学院特別任用教授 野口定久氏に対して質問を行いました。
なお、正式な議事録については、国会会議録検索システム(国立国会図書館HP)をご参照ください。
山田
雄谷理事長に2つ伺いたい。「ごちゃまぜの場」を作る。そのために「いろんな方が集まる場所」が必要だということだった。地域の活性化という視点で、各自治体でも重要なことだと思う。佛子園さんは、小松、白山、金沢、輪島など各地で取り組んでいるが、地方自治体が独自でこのような取組「いろんな方が集まる場所」を作っていこうとする時、どのようなことに注意したらよいのか、自治体へのアドバイスがあったらご教示いただきたい。
雄谷さんの様々な資料を見ると「海外協力隊での経験が役に立っている」とあるが、最近では、海外に出ることを嫌う若者が増えているという。私も、若者に海外で様々な経験をすることが有意義と思うが、このような若者へのアドバイスをする場合、どのように話すか。
社会福祉法人佛子園理事長・公益社団法人青年海外協力協会会長・一般社団法人生涯活躍のまち推進協議会会長 雄谷良成氏
場づくりに関しては、何か特別なものをつくったり、イベントみたいなもので引っ張っるのは無理がある。人がふらっと寄れるところ、福祉や医療のにおいがすると人は集まらないのでそのようなところに気を付けて、ゆったりとする。その中には、障害者や認知症の人たちがいることで場ができていく事もある。誰か決まった人がそこにいるという
安心感が大切。二十歳代、三十代ががむしゃらに働くところだと、地域のどこかに一定時間いることは難しい。そのような中で居どころづくりを探していく。
創生交付金は、計画は地方自治体が作成する、そして、事業の実施は自治体はやってはいけない。その点を、僕は面白いと思っている。しっかりとした目標を目指すところがある。しかし、全国で聞くと、事業主がなかなか見付からないことも問題としてある。だから、口は出される方がいいと思う。
青年海外協力隊経験として一番思ったことは、隊員がやっては駄目。2年間の期間の中でうまくいっても、帰ってくるとなくなる。失敗したら、日本人が来て裸踊りして帰ったみたいな話になる。だから、必ず現地の人が主体になってやらなければいけない。
そこは、場づくりの中で、PCM、プロジェクト・サイクル・マネジメントという住民自治を主体とした地域づくりの手法、国際協力の手法を使って、今国内で活用している。
簡単に言うと、我々、佛子園でもある程度経験値を積んできたので、いろいろなところから相談を受けると、こういうことができるよって特に若い職員は答えたがるが、それをあえて言わないで、その地域にどのような問題があるのか、どのようにしたいのかということを、自分たちが自らの力で発言をして、認識し、うまく形に変えていく。だから、黒子という形に徹するアドバイザーが必要だと思う。
海外に行く人を増やせという話は難しい話。青年海外協力隊は、私たちの代、昭和61年度では、男性が7割から8割だった。現在、6:4から7:3が女性で、女性が圧倒的に強い。どうしたものか。合格しても断わる理由が、ママに反対されたといって息子が断るという。どのように解決したらいいのか、反対に皆さんにご指南いただきたい。
山田
ありがとうございました。
山田
中川先生の様々な工夫をされて活動をされているという話も関心したし、障害者福祉を学ぶ過程の中で、その働く、製造とか軽作業がないということも確かにそうだと思った。
事例として挙げられていたギブ・アンド・ギフトは、都心・都会型の施設として成功する一方で、郊外型・田舎型は余りうまくいっていないという話もあったが、様々な活動の中で、田舎でもこんな可能性があるといった事例、こんなことをやったらいいのではないかというアイデアがあったらご教示いただきたい。
特定非営利活動法人チュラキューブ代表理事 中川悠氏
例えば、先ほど5つ目の課題に出したような地域の孤食支援であれば、人材がいないことがあるので、企業支援がどうかは別にして、外部の企業側が入ってくるという方法があると思う。
大阪に関して言うと、先ほどの工賃の表にあったとおり、農福という事例とか漁福という事例が比較的少ない。自分たちで製造するのではなくて、製造する中での担い手がいないところに入っていくような整備をすると確実に工賃は上がると思う。
もう一つ付け加えると、担い手がどんどん高齢化している。大阪の農業も60歳以上の方々が8割ぐらいになってきている。どの業種も担い手不足は全国的にあることなので、そこで障害者福祉が入っていきやすい。若い、そして集団性があるので、地元の産業につながっていってほしいと思う。
山田
ありがとうございました。
山田
野口先生は、先ほど地域コミュニティの充実の話をプレゼンの中でしていて、その例として、住民参加や情報公開、財源という話があった。具体的に、この地域コミュニティを強化充実していくには、どのような方法があるかご教示いただきたい。
日本福祉大学大学院特別任用教授 野口定久氏
地域コミュニティは、基になるのは町内会とか高齢者、老人クラブであるとか、いわゆる地縁の組織である。そこが、今、町内会の加入率も減ってきているので、これからどのように補強していったらいいかということになると、地縁組織が、例えば認知症の高齢者のとか、独り暮らし高齢者というところは非常に関心がある。ここを、NPOとか社会福祉法人とかと一緒になって、地域拠点、例えば認知症カフェなど、集まるような場所を地域の中に意識的につくっていく必要がある。そのときに必要なのが、そこを取り持っていく専門職だと思う。住民だけでやりなさいということは、今のところは、体力がないのではないかと思っている。
山田
ありがとうございました。