平成29年5月16日 農林水産委員会

5月16日 農林水産委員会が開催されました。議題は、農林水産業に関する一般質疑です。約40分の質疑応答がありました。
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なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質問事項】
1.輸出促進
(1).農業者やJAに対して、農林水産物・食品の輸出に、積極的に取り組むよう働きかけるべきではないか
(2).JFOODOの設立(4月1日)後の体制の整備は進んでいるのか。今後、どのような活動をしていくつもりか
(3).国内市場だけでなく、海外の市場もにらんで、農業生産体制を発展させる必要があるのではないか
(4).我が国の農産物を海外で高く売っていくことが重要だが、このために、どのような対応を考えているのか

2.HACCP
(1).「HACCPの義務化」の検討状況いかん。どのような内容を考えているのか
(2).HACCPの義務化に向けてどのような支援策を行っているのか
(3).JFS(一般財団法人 食品安全マネジメント協会)の規格が国際的に通用するよう、GFSI(世界食品安全イニシアティブ)の承認を得る必要があるが、準備の状況いかん。いつ頃、承認が得られそうか
(4).HACCPについて、都道府県や業界が独自に基準を設けたりしていて、わかりにくいという指摘があるが、どのような実態にあるのか。どう対応していこうとしているのか

3. GAP
(1).2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村等において、農産物、畜産物を供給しようとする場合の食料調達基準はどのようになっているのか
(2).東京オリパラに農産物・畜産物を提供するには、GAP(生産工程管理)について、食料調達基準を満たす必要があるが、国内の生産者の現状は、どうなっているのか。東京オリパラに向けて、今後これを増やして行く必要があると考えているのか。その場合、農林水産省として、どのように対応していこうとしているのか
(3).J国際基準となりうる日本発のGAPを作っていく必要があるが、どのように進めていくつもりか
(4).コカコーラ、イオン、コストコなどの企業は、自社のPB(プライベート・ブランド)などについて、GAPの取得を求めている。今後このような動きは広がっていくと考えているのか
(5).都道府県が独自に制定しているGAPの状況はどうなっているのか。農水省のガイドラインを満たしているのか。都道府県が、それぞれ独自のGAP基準を定めていることに対して、わかりにくいという意見もあるように、聞くが、農水省として、一定の基準を満たすように、指導を行うなど対応を考えるべきではないか


山田
今日は、農産物などの輸出促進とその関連でHACCPやGAPなどの認証制度について伺う。HACCPやGAPについては、4月4日の本委員会でJAS法が審議された際に、同僚議員から質問がされているが、それらの質疑も踏まえて質問したい。


1.輸出促進
(1).農業者やJAに対して、農林水産物・食品の輸出に、積極的に取り組むよう働きかけるべきではないか

山田
農林水産物・食品の輸出について、政府では、輸出目標の「2020年1兆円」の1年前倒しを目指している。しかし、輸出の内容を見ると、水産物が約4割、加工食品が約3割を占め、また、「コメ・コメ加工品」という分類の中でも、日本酒が3分の2を占める状況で、農産物そのもののウエートは、それほど大きくない。1兆円の前倒しという目標の達成という点からすると、加工食品や日本酒などに力を入れる方が早道ということになるのかも、知れないが、果たしてそれでいいのか。
農業者の方々や、これまで輸出に取り組んでいないJAの皆さんが、直ちに、輸出に取り組むことは、やさしいことではないのも事実である。しかしながら、日本国内の人口は減少し、農産物・食品の市場は小さくなっていく一方、海外の市場は、人口や食品のマーケットの規模は大きくなる。このことを踏まえれば、10年もすれば、国内・国外の両方のマーケットを睨みながら、農産物を販売していく時代がやってくる。現に、そのようなことに取り組んでいる農協なども出てきている。
このような意味で、農産物の輸出は、もっともっと、農業者の皆さんや、JAの方々にも、身近なものになっていくし、そのための準備に、少しずつでも取り組む必要がある。輸出に対する農業者や農業団体の積極的な取り組みを促してゆくべきと思うが、大臣の考えを伺いたい。

山本有二農林水産大臣
輸出に取り組むには、ありとあらゆる手段で、今まで考え付かないような方法も含めて創意工夫を凝らしていかなくてはならない。昨年5月に、JAグループ等の意見も踏まえて、農林水産業の輸出力強化戦略を策定した。多くの農林漁業者やJA等にこの戦略を知ってもらい、輸出の意義や戦略の理解を深めて、積極的に輸出に取り組んでいただくことが重要である。上海において、全農の子会社、板橋貿易も新たな事業を展開しており、また、全農の中野会長も、中国に一昨日も行って、更に輸出の戦略を立てている。
こうしたことから、農林漁業者を対象として、全国、地方で説明会を開催している。また、情報誌あるいは農林水産物等輸出促進メールマガジン、登録者数一万人での情報発信も行っている。また、農林漁業者が必要な相談を行い、輸出に取り組めるように、相談窓口を記載したパンフレットを作成、配布している。ジェトロによる事業者向けセミナーや研修会の開催、専門家によるアドバイス等を行っている。
さらに、事業者の輸出意欲を喚起するために、輸出に取り組む優良事業者表彰制度を28年度に創設し、今年の4月、第一回の表彰を行い、北海道の十勝川西長いも運営協議会、十勝管内の8農協で組織しているこの協議会を表彰し、宮崎県のくしまアオイファーム等が農林水産大臣賞を受賞した。このような優れた取組を広く普及することにより、農業者やJAの取組を更に後押ししていきたい。

山田
ありがとうございました。


1.輸出促進
(2).JFOODOの設立(4月1日)後の体制の整備は進んでいるのか。今後、どのような活動をしていくつもりか
山田
4月4日のJAS法の審議の際にも、日本食品海外プロモーションセンター、JFOODOについて、質問があった。それだけ皆さんの関心が高く、期待も大きい。その当時は、4月1日に設立されたばかりで、センター長には、日本貿易会、伊藤忠商事の小林栄三氏が任命されていたが、幹部の任命や、組織体制、活動の具体的な計画など、まだ十分な体制の整備が進んでいなかった時で、具体的に話ができるような状況ではなかった。
設立後1ヶ月半が経過した現在、どの程度、体制整備が進んでいるのか。また、今後、どのような活動をしていくつもりか伺いたい。

井上宏司農林水産省食料産業局長
日本食品海外プロモーションセンター、いわゆるJFOODOは、4月1日に日本貿易振興機構に設置をされて以降、小林栄三センター長の下で事務局長、事務局次長といったマネジメントを行うメンバーの人選を進めており、現在までに事務局次長2名の選任を終えている。
また、職員については、当面50人程度の採用を予定しているが、現在までに26人を採用し配置をしており、着実に体制整備を進めている。
このJFOODOの活動は、海外市場の詳細なニーズ把握、現地の卸、小売、外食事業者等の情報の徹底調査、また、こうしたことを踏まえてどの国に何をどう売り込むのかといった日本産品のプロモーション、ブランディング戦略の立案と実行等を行うことになっている。こうした体制整備が進む中で、活動内容に関する準備作業を進めているが、更に体制を固めて、事業内容についての具体的な活動をできるだけ速やかに開始する予定である。

山田
JFOODOは、国内だけでなく、海外でもしっかり活動することが予定をされているので、速やかに体制の整備をして取り組んでいただきたい。


1.輸出促進
(3).国内市場だけでなく、海外の市場もにらんで、農業生産体制を発展させる必要があるのではないか

山田
農業者やJAなどが、輸出に向けた農業生産を行っていこうとする場合、ロットを確保し、また、仕向地の消費者の嗜好や、検疫の条件などを踏まえた生産を行う必要がある。また、産地同士が協力して、いわゆる「リレー出荷」を行うことなども大事な戦略である。このような海外の市場も睨んで、国内の生産体制を整備、あるいは振興を図っていく必要がある。どのように対応するのか、伺いたい。

礒崎陽輔農林水産副大臣
輸出を踏まえた、産地そのものを輸出体制にしていくことは非常に重要なことである。国内の需要の減少が見込まれる中、海外に向けた産地が幾つかあるが、もう少し増えていってもいいのではないかと考える。
農林水産物の輸出力強化戦略に基づいて、例えば、海外でも人気の高い品目、品種の生産拡大として、ブドウであればシャインマスカットやルビーロマンといった高品質な果樹への改植や、抹茶がブームになっているので、抹茶への栽培方法の転換や新たな加工技術の導入も支援をしており、また、我が国のまだ輸出ができていない分野では輸出先国の残留農薬基準が非常に厳しかったり、あるいはなかったりするので、このようなものに対して青果物やお茶の農薬使用のマニュアルを作成して輸出に対応する、そのような支援であるとか、海外のニーズに対応した高品質の青果物をロットとして確保する輸出対応型の集出荷施設、施設整備も必要であると考えている。
さらに、高品質な状態で米を長期輸送、保管するための真空包装設備を備えた乾燥調製貯蔵施設の整備などを通じて、海外への輸出も踏まえた産地づくりが必要であると考えており、このような取組について農林水産省としてもしっかりと支援をしていきたい。

山田
ありがとうございました。


1.輸出促進
(4).我が国の農産物を海外で高く売っていくことが重要だが、このために、どのような対応を考えているのか

山田
輸出について議論をしていると、「輸出をすれば高く売れると思って生産を手掛けた、あるいは輸出に取り組んだが、実際やってみると、輸出しても、農業者の手取りが必ずしも増えるわけではなく、海外で高く売れていても、儲けているのは外国の小売の業者や流通業者だ」という話を多く聞く。
農産物の輸出拡大は、数、量を増やすだけではなくて、我が国の農産物を海外で高く売り、国内生産者の手取りを増やしていくことが重要だ。このために、どのような対応を考えているか。

矢倉克夫農林水産大臣政務官
輸出を量的に拡大しても生産者の所得に反映されなければいけない。海外で高く売れても現地の流通業者や小売業者に多く持っていかれるという指摘もあった。現地の商流等をよく把握している専門家によるサポート等も必要であると思う。その上で、輸出に伴うコストを補っても余りある高い値段で農産物を売っていく戦略が必要である。
それにとって重要なことは、まず日本産品をしっかりブランド化をしていく、そしてその上で、効果的なプロモーションを行っていく体制が必要である。とりわけ、日本のものは産地の伝統や風土を生かした多様な生産やまた特色ある製法、様々質が高いので、それらが同じようなレベルの値段競争にならないようにしていかなければいけない。そのためにも、相手国・地域のニーズを海外現地で徹底調査をするとともに、いかにブランド化を図るか。日本の産品の魅力を日本食、食文化等と併せて発信することで、現地の需要、市場をつくり出す取組が必要であると考えている。
政府としては、昨年5月策定の農林水産業の輸出力強化戦略に基づき、例えばブランド化という点では、品質、ブランドのアピールのための地理的表示、JASを含めた規格・認証の活用等の取組を行ってきた。加えて、今般、JFOODOを設立した。海外市場の詳細なニーズ把握や現地の卸、小売、また外食事業者等の情報の徹底調査、それを基にして、どの国に何を売り込むかといった日本産品のプロモーション、ブランディング戦略の立案、実行、さらには事業者への相談対応、継続的な商談支援、これら等の取組を強化する。これらを通じて、産品のブランド化とともに効果的なプロモーションを行い、生産者の収入が増加するよう輸出の実現を図っていく。

山田
ありがとうございました。現状は、全体の生産の中で輸出が占める割合は大きくはないが、将来は日本の農業の大きな柱になると考えられるので、是非、輸出についてしっかりと取り組んでいただきたい。


2.HACCP
(1).「HACCPの義務化」の検討状況いかん。どのような内容を考えているのか

山田
輸出に関連して、食品製造事業者の食品安全・衛生管理の手法であるHACCPについて伺う。アメリカやEUなど諸外国でHACCPが義務化され、我が国から輸出をしようとする場合にHACCPの認定を取得するよう求めている国もある。このような中で、我が国においても、HACCPの実施を義務付ける法制度の検討がされている。「HACCPの義務化」の検討状況はどうなっているのか。どのような内容を考えているのか。いつ頃、制度改正を行おうとしているのか、厚生労働省に伺う。

北島智子厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長
HACCPによる食品衛生管理については、有識者による検討会を開催し、業界団体ヒアリングやパブリックコメント等を踏まえて、制度化の枠組み等について、昨年末に取りまとめ公表している。本取りまとめでは、食品の製造、加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者がHACCPによる衛生管理を取り入れ、我が国の食品衛生管理の更なる向上を図っている。
また、国際基準と同水準のHACCPの導入が困難な小規模事業者や飲食業、販売業等の一定の業種については、現行の一般衛生管理を基本として必要に応じて重要管理点を設けるなど、弾力的な取扱いを可能としている。現在、農林水産省と連携し、食品等事業者が無理なくHACCPを導入することができるよう、業界団体による事業者向け手引書の作成を進めている。
今後、検討会の取りまとめに基づき、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で、関係の法律の改正に向けて、可能な限り速やかに検討を進めていく。

山田
ありがとうございます。


2.HACCP
(2).HACCPの義務化に向けてどのような支援策を行っているのか

山田
対象者が非常に広いので、「HACCPを義務化する」といっても直ちに対応できない方々もいる。食品製造事業者には、中小企業、零細企業が非常に多く、統計によれば99%は中小零細だと言われている。また、資料によると、中小零細の食品企業の方々が、現在HACCPを導入しているのは35%という数字もある。そうすると、弾力的な運用をするという話があったが、すぐに対応できない企業も相当あると考えられる。
このような事業者に対して、「義務化」に向けて準備をしてもらうことも大事だと考えるが、どのような支援策を行っているのか伺いたい。

井上宏司農林水産省食料産業局長
HACCPの制度化の方向性が示されてきた中で、今後円滑な導入を推進していく必要がある。特に、中小規模以下の事業者においてHACCPの導入が進んでいない理由としては、設備投資等にコストが掛かること、またHACCPの導入を担う、あるいはこれを指導、助言できる人材が不足をしていること、また、何をどこまで実施すればHACCPに取り組んでいることになるかが分かりにくいことが指摘されており、こうした状況を踏まえて、農林水産省として、施設整備に対するHACCP支援法の下での金融支援、あるいはHACCP導入を担う人材や指導者の養成、研修等への支援といったことを実施してきたところである。これに加えて、今年度からは、今後の制度化に備えて、食品の種類や業態に即したHACCP導入の手引書の作成への支援等も実施をしている。
今後、このような施策を通じて、厚生労働省と密に連携をしながら、事業者の方々にできる限り円滑にHACCPを導入してもらえるように図っていきたい。

山田
まさにHACCPが法制化された、義務化されたときに、みんなが慌てることがないように、事前に十分その支援を行うなり周知を図るなりしていただきたい。


2.HACCP
(3).JFS(一般財団法人 食品安全マネジメント協会)の規格が国際的に通用するよう、GFSI(世界食品安全イニシアティブ)の承認を得る必要があるが、準備の状況いかん。いつ頃、承認が得られそうか

山田
日本においては、日本の現場の実情を踏まえて、JFS(一般財団法人 食品安全マネジメント協会)が、食品安全・衛生管理に関する規格・認証の仕組みを策定している。日本の食品が輸出しやすくなるためには、日本で策定した、このHACCPの規格・認証が国際的に通用するようにしていく必要がある。
国際的に通用するためには、国際的な機関、GFSI「(世界食品安全イニシアティブ)、世界的に展開する食品事業者(約70カ国の400社)で組織する機関」で日本の基準、規格が承認を得る必要がある。JFSがGFSIの承認を得るための準備の状況はどうなっているのか。また、いつ頃、承認が得られそうか。伺いたい。

井上宏司農林水産省食料産業局長
日本発の食品安全管理規格であるJFS規格を国際的に通用するものにしていくためには、GFSIの承認を得ることが重要である。現在、JFS規格の運営主体であります一般財団法人食品安全マネジメント協会が、GFSI承認を目指して、承認に必要な実績を積むとともに、承認のために求められる様々な規程類の整備を適切に運営していくための体制整備等を進めている。
我が国の農林水産物・食品の輸出を伸ばし、世界における競争力を強化していくためには、早期にGFSIの承認を受けることが重要と考えており、農林水産省としてもそのための支援を行っている。今後、平成29年度中に承認申請を行い、平成30年末から31年初め頃の承認を目標として、官民連携して取り組んでいく予定である。

山田
ありがとうございました。まさに日本の食品などを輸出するときに、日本の実情に合ったそういう基準が世界で通用するようになるということが非常に大事だと思うので、是非速やかに手続を進めるよう、また指導をお願いしたい。


2.HACCP
(4). HACCPについて、都道府県や業界が独自に基準を設けたりしていて、わかりにくいという指摘があるが、どのような実態にあるのか。どう対応していこうとしているのか

山田
HACCPについて、都道府県などが独自に基準を設けている場合がある。このため、食品製造事業者などには、都道府県のHACCPもある、あるいは今の団体のHACCPもある、いろんなものがあってわかりにくいという指摘がある。この都道府県のHACCPについてどのようい対応していこうとしているのか。伺いたい。

井上宏司農林水産省食料産業局長
地方公共団体や業界団体が独自で行っているHACCPの名称を含む認証としては、現在、当省が把握している範囲では、20の地方公共団体、9つの業界団体のものがあり、その基準や運用が団体ごとに異なっており、分かりにくいとの声があるものと承知をしている。また、広域に流通する商品について、地域や業界によって異なる食品安全の管理方法の基準が示されることは、食品事業者にとって混乱を招き、必要以上にコストが掛かることも懸念している。
一方、今後HACCPが制度化をされることになると、現在異なっている基準もその内容を統一化していくことが必要となってくる。また、認証については、国際的な標準と整合した日本発の食品安全管理規格、JFS規格は、内容としてHACCPを含んでいる規格であるが、こうしたものの認証が始まっており、統一化を行う際の一つの目安になるものと考えている。
農林水産省しては、今後のHACCPの制度化に向けて、その円滑な導入が図られるよう、地方公共団体等に対して基準の内容統一やJFS規格の活用について必要な助言や働きかけを行っていきたい。

山田
ありがとうございます。まさに様々な基準があって、全国的に流通するものだから、できるだけ同じような基準でやっていった方がよい。まさにHACCPの義務化をこれからやっていこうというときなので、これを契機に全体の統一を図っていくことが大事だ。是非検討願いたい。


3. GAP
(1).2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村等において、農産物、畜産物を供給しようとする場合の食料調達基準はどのようになっているのか

山田
農業者が行うGAP(生産工程管理)に関連して伺う。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村等において、農産物などを供給しようとする場合の食料調達基準については、3月24日に、東京オリ・パラ組織委員会が決定した訳であるが、どのような内容になっているのか、農産物と畜産物について伺いたい。

多田健一郎内閣官房内閣審議官
調達基準に関して、まず農産物は、食品安全、環境保全、労働安全の要件を満たすものとして、JGAPアドバンスやグローバルGAPの認証のほか、組織委員会が認める認証スキームによって、認証を受けて生産された農産物を認めることになっている。また、これら認証品以外を必要とする場合については、農業生産工程管理、GAPの共通基盤に関するガイドラインに準拠したGAPに基づき生産をされ、都道府県等の公的機関によって第三者の確認を受けたものを調達するようになっている。
次に、畜産物では、食品安全、環境保全、労働安全のほか、飼養管理の要件を満たすものとして、JGAPやグローバルGAPの認証のほか、組織委員会が認める認証スキームによって認証を受けて生産をされた畜産物を認めることとしている。また、先ほどと同様に、認証品以外を必要とする場合には、GAP取得チャレンジシステムにのっとって生産をされ、第三者による確認を受けたものを調達することになっている。

山田
ありがとうございました。


3. GAP
(2).東京オリパラに農産物・畜産物を提供するには、GAP(生産工程管理)について、食料調達基準を満たす必要があるが、国内の生産者の現状は、どうなっているのか。東京オリパラに向けて、今後これを増やして行く必要があると考えているのか。その場合、農林水産省として、どのように対応していこうとしているのか

山田
今、オリパラ組織委員会の基準の説明があったが、オリンピック・パラリンピックの施設で食べ物を供給する場合、組織委員会が定めた調達基準を満たす必要がある。このような基準を満たしている、達成している国内の生産者の現状はどのようになっているのか。
東京オリパラに向けて、調達基準を満たす農業者を増やしていく必要があると考えているのか。その場合、農林水産省としてとして、どのように対応していこうとしているのか。

枝元真徹農林水産省生産局長
食料調達基準のうち、JGAPとグローバルGAPの関係について、まず、食材の調達基準において、JGAPのアドバンス及びグローバルGAPに加えて、JGAPはベーシックについても組織委員会が認める認証スキームに含まれると組織委員会が認識していると聞いている。そのような関係で、農産物のJGAPの認証取得経営体数が約4100経営体、グローバルGAPが420経営体となっている。
また、農林省が定めましたGAPの共通基盤ガイドラインに準拠しております都道府県のGAPは、現在、各都道府県がその共通ガイドラインに準拠するよう様々な作業を進めているところであるが、今申請が35都府県あって、11県で準拠されていることを農林省として確認している。うち4県が、県による確認体制まで整備ができている状況である。
畜産物については、JGAP及びグローバルGAPに加えて、GAP取得チャレンジシステムにのっとって生産され、第三者により確認されたものが基準の要件を満たすとしているが、この家畜、畜産物に係るJGAPの基準が本年の3月末に策定をされた。その認証取得の前段階となるGAP取得チャレンジシステムは、今夏をめどに、第三者による確認が開始される予定である。

山田
東京オリンピック・パラリンピックでどれだけの食料が必要なのか、供給をしていくために、どのくらいの生産者が必要なのか、今の段階でははっきり分からないと思うが、いずれにしても、日本で開催されるオリンピック・パラリンピックなのだから、できるだけ農産物、畜産物あるいは水産物も含めて日本のものが供給されていくようにする必要がある。是非、体制の整備を進めていただきたい。


3. GAP
(3).国際基準となりうる日本発のGAPを作っていく必要があるが、どのように進めていくつもりか

山田
日本の農産物の輸出を促進していこうとする場合、国際的に通用する、日本の農業生産の実態に合った日本発のGAPを作っていく必要がある。この世界の基準に適合するGAPの認証、制度をつくっていく、実現していくことについて、どのように考えているのか、また何かをいつ頃までにやりたいという目標があるのか。

枝元真徹農林水産省生産局長
農業競争力を強化する、また輸出促進を図っていくという観点から、日本発のGAP認証の仕組みであるJGAPアドバンスについて、早期にGFSIの承認が得られるように戦略的に推進していくことが重要である。
現在、JGAPアドバンス規格の運営主体である一般財団法人の日本GAP協会がGFSIの承認を目指して、承認に必要な実績を積むとともに、技術的に承認基準に合わせていくための様々な規程類の整備、またこれらを適切に運用していくための体制整備等の準備を進めている。
農林省としても、28年度の補正予算で国際規格化のための情報収集等に関する支援を行っており、平成29年度中にGFSIの承認申請を行い、平成30年末から31年初め頃には承認されることを一つの目標として、官民連携して取り組んで行きたい。

山田
速やかに対応していただきたい。


3. GAP
(4).コカコーラ、イオン、コストコなどの企業は、自社のPB(プライベート・ブランド)などについて、GAPの取得を求めている。今後このような動きは広がっていくと考えているのか

山田
4月4日の本委員会の質疑の中で、藤木委員の質問に答えて、枝元局産局長は、「GAPの認証取得が進まない理由として、国内の流通関係者から認証の取得が求められてこなかったこと」を理由の一つに挙げている。
最近、食品関連企業の側で、農業者に対して、GAP認証の取得を求める動きが、見られている。例えば、①コカコーラでは、発売する「お茶」の原料茶を供給する日本の生産者に対して、JGAP認証の取得を求めている。②また、イオンや西友では、自社のプライベートブランドについて、国際水準のGAPの取得を求める方針を明らかにしている。③また、コストコでは、JGAP認証の取得などを農業者に求めている。まさに流通関係業界から国内の生産者に対して様々な要請も出ている。今後このような動きが広がっていくと、農水省は、考えているのか。

枝元真徹農林水産省生産局長
企業を始めとして、国際水準のGAP認証取得を加工食品の原料やプライベートブランド商品の調達に求めるという動きが広がりつつあると認識している。また、東京オリンピック・パラリンピックの食材調達基準に、国際水準のGAP認証が採用されたことを契機として、このような動きが更に加速化すると想定している。
農林省としては、国際水準のGAP認証の取得の推進は、2020年の東京大会の調達基準を満たす国産農産物の供給だけではなく、農産物の輸出拡大や農業人材の育成など、我が国の農業競争力の強化を図る観点からも重要と考えている。その際、流通や小売の関係者の方々にGAP認証の意義やメリットを理解してもらい、GAP認証を得ている農産物が高く評価されることが必要であり、このためにGAPの価値を共有する流通業者等を結集して、オールジャパンでの協力体制の構築を図っていきたいと考えている。

山田
ありがとうございました。


3. GAP
(5).都道府県が独自に制定しているGAPの状況はどうなっているのか。農水省のガイドラインを満たしているのか。都道府県が、それぞれ独自のGAP基準を定めていることに対して、わかりにくいという意見もあるように、聞くが、農水省として、一定の基準を満たすように、指導を行うなど対応を考えるべきではないか

山田
都道府県が独自にGAPを制定する動きがあるが、その状況はどうなっているのか。農林水産省は、GAPのガイドラインを定めているが、都道府県のGAPは、この基準を満たしているのか。
都道府県が、それぞれ独自のGAP基準を定めていることに対して、わかりにくいという意見もあるように聞くが、農水省として、一定の基準を満たすように指導を行うなど対応を考えるべきではないか。

枝元真徹農林水産省生産局長
GAP自体は前から推進しているので、都道府県等がそれぞれGAPをつくってきた歴史がある。そのような中で、これから国際水準のGAPを進めていくに当たって、様々なGAPがあることによって生産現場が混乱するおそれがあると思っている。
一方、組織委員会の方では、都道府県のGAPが、農林省が定めたGAPの共通基盤に関するガイドラインに準拠することを求めているので、まず、東京オリンピック・パラリンピック競技大会への安定供給を図るという観点も含めて、都道府県がそれぞれつくっているGAPが、この共通基盤に関するガイドラインに準拠するように確認を進めている。その数は、35都府県が申請し、11県で準拠確認、残りを今確認中である。
農林省としては、このような準拠の確認作業を進めるとともに、都道府県GAPの必要な改定等の作業が遅れている県に対して必要な情報提供を行うなど、独自のGAPを策定している全ての県ついて、GAPの共通基盤に関するガイドラインによる統一化を図っていきたい。