平成29年4月27日 農林水産委員会

平成29年4月27日 農林水産委員会が開催されました。農業競争力強化支援法案について参考人から意見を聞きました。参考人は、鈴盛農園代表 鈴木啓之氏、横浜国立大学名誉教授・大妻女子大学名誉教授 田代洋一氏及び宮城県農民運動連合会事務局長 鈴木弥弘氏の3名です。各参考人の意見聴取の後に、質疑を行いました。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


山田
自由民主党の山田修路です。本日は三人の参考人の皆さんから大変貴重な御意見を伺った。
まず、田代先生から伺いたい。田代先生は、長年農政研究の第一人者として活躍してこられた。私も農林水産省当時からアドバイスをいただいている。今日も大変貴重な意見をいただいた。意見に賛成できないところもあるが、非常に興味深くお伺いしたのは、農業所得の増大の部分である。資材価格の全般的な引下げが、市場メカニズムであれば、農産物価格の引下げにつながり、それが消費者の利益になる。しかし生産者の利益には一般的にはならないのではないか、という話であった。大変興味深い話であったが、これは農産物の物ごとに、いろいろ違うと思う。それから、直接支払が重要だという点は、私も同じ意見である。
農業者に対するコストダウンを進めていく政策については、全般的に価格低下につながるのであれば、消費者の利益になるが、農業者の利益には余りならないとすれば、そのコストダウンを目指す政策は、生産者にとって余り意味がないことになるのか。その点について伺いたい。

横浜国立大学名誉教授・大妻女子大学名誉教授 田代洋一氏
低廉、良質な農業生産資材の供給や、農産物流通の合理化、それ自体は、直に消費者の役に立つことだが、生産者としても、消費者の利益になることを、嫌だ、自分の所得さえ上がればいい、ということにはならないと思う。それから、資材価格を引き下げる、流通を合理化することにより、コストが下がることによって、国境措置がとられるならば、国内需要がそれなりに増大していくということと、今強調している輸出競争力もそれなりに付いていくことで、このこと自体を否定することは一言も申し上げていない。
ただ、何か資材の価格を引き下げれば、直に農業所得の増大につながるというのは、幻想である。そのためには、需要を確保する、市場を確保するという大前提があって初めてつながっていくことである。

山田
ありがとうございます。
特に、この法案で、もう一つの狙いである、流通と加工について合理化を図っていく事は、消費者に対する効果があって、それが跳ね返って農業者の利益になるということだと私も理解をしている。資材のところも、理論的にはそういうことだという話だと思う。

山田
鈴木啓之さんに伺いたい。鈴木さんは、産直に取り組んでおられるが、全ての農業者の人が、様々な選択をできるというわけでもないのが現状だと言っていた。
直販、ネット販売をやっていく上で、苦労にどのようなものがあるのか。ほかの人が産直に取り組む場合、こういう人なら取り組んでいった方がいいのではないか、という意見を伺いたい。

鈴盛農園代表 鈴木啓之氏
ネット販売、直接販売の苦労だが、日本中にも世界にも、数多くのニンジンがある中で、鈴盛農園のニンジンを見付け出してもらうということ、これは非常に大変なことだと思う。そのために、小まめな情報発信やホームページの強化などを必要とする部分がある。
産直に取り組むべき人については、新規就農者は比較的面積が少なかったりして、自分の作る農産物を、こういうこだわりを持って、こういう農法でやっていこうなど、手が掛けられるということを、比較的PRしやすい立場にあると思う。そのような特殊な作り方とか、思いを込めた作り方を求める消費者の人がいるのも事実なので、そのような作り方をしている生産者は、直接販売に取り組むとよいかと思う。

山田
鈴木さんは、自動車の関連の企業にいて、それで農業に新規参入されて、企業関係の様々なノウハウを知っていたと思う。しかし、現状では、企業で働いた経験のある人ばかりではなく、親の農業を継いだり、あるいは学校を出てすぐ農業に就いたという人もいる。
そのような人たちが企業的な感覚やノウハウを身に付けていくこともこれからの農業経営では非常に大事だと思うが、企業経験のない方が、ノウハウを身に付けるには、どのようなことをすればよいのか、あるいはその仕組みについて何か意見があれば伺いたい。

鈴盛農園代表 鈴木啓之氏
企業経験がない方で親元就農をされる方だと、農業大学校や農業高校に通って、その後、就農する方が多くいるのも事実だと思う。経営的な部分やビジネスマナーなど、農業大学校の中で、ビジネス感覚を養えるプログラムが入っていくと、まず、卒業した段階で基礎的な部分が持てると思う。農業高校、農業大学校での教育に、よりビジネス的な感覚があった方がいいのではないかと思う。

山田
新規参入で入られたわけだが、非常に農業の盛んな地域で、地域の人たちとの交流も、非常に大事だと思うが、そのような点で、抵抗がなかったのか、あるいは、地域の中で新しく農業をやっていく上で努力されてきた点、苦労されてきた点があったら伺いたい。

鈴盛農園代表 鈴木啓之氏
最初は、突然、新規就農するものだから、あいつは本当にやるのか、もしくは、気持ちで入ってきたけどそのまま諦めて農地を荒らしてしまうのではないか、今まで農地を守られてきた方たちの心配の目は確かにあったと思う。
私自身も数年農業をしていくうちに、徐々に地域の人からも、あいつも本当に農業やっている、ちゃんとやっていると認めていただいたのか、「ここの畑もやってみるか」とか、「ここの農地をやってくれるか」という声も増えてきて、農地を少しずつ拡大できているようになってきた。

山田
今の農地の拡大のところだが、主に借りているということなのか。農地を手に入れるための資金、機械を装備する上での資金等、資金の面でも大変だったのではないかと思うが、その辺はそれほど大変ではなかったか、あるいは借入れをしたのか、どのように資金を手当てしたのか伺いたい。

鈴盛農園代表 鈴木啓之氏
農地は基本的には借入れでの耕作が多いが、一部は自分で購入をしている。また、機械、農地の購入に対しての金銭的な部分は、銀行からの借入れを行って購入している。

山田
最後に鈴木弥弘さんに伺いたい。
鈴木さんは、産直センターの方もやっている。さらに、農協の役員や土地改良区の役員もされていたり、地域で活躍をされていると伺っている。
消費者への産直と、直売所や、卸売市場など、いろいろ売るところもあるという話もあったが、その産直と、農協とあるいは市場に出すことのメリット、デメリット、両方御経験をされており、農協の理事もされているということなので、どのように考えているのか伺いたい。

鈴宮城県農民運動連合会事務局長 鈴木弥弘氏
産直センターは、米の検査が民間検査になったときに、国が農産物検査をしなくなったことで、農産物検査をするために法人化をしないと登録検査機関に参入できない。そこで、登録検査機関を立ち上げ、そして検査した組合員のお米を、消費者団体と連携をしながらお米の産直として販売している。それだけでは賄えないので、様々な大手、中小の卸、または農民連を経由して準産直米という形で、年内には全量販売をし、生産者に支払をしている。それは、農協に出荷した共販よりは、農協等の経費が少ない分だけそれを生産者に価格で還元できるというような形で、若干のメリットを出しながら継続をしている。
市場出荷となると、市場はある程度のロットがないといけないし、個人でも相当大規模にやらないと市場が相手にしてくれないので、市場出荷の産直というのは難しいので、都会の消費者の方々と産直ボックスということでやったが、年々高齢化に伴い数が少なくなってきて採算的に合わず、最近は休止しているような状況である。そのような努力を、地域にあって消費者との連携も追求しながらやっている。

山田
現場の農業者は、いろいろなことを考えて、いろいろな方法を選んでやっているという話だった。
もう一つ、鈴木弥弘さんに伺いたい。農業機械の話あったが、鈴木さん、あるいは鈴木さんのグループは、経費の削減で、自分たちでこのような取組をしているとか、特に何かあったら伺いたい。

鈴宮城県農民運動連合会事務局長 鈴木弥弘氏
農機具の卸メーカーも地域にある。農協にも農機具の卸だから卸している。農民連はある程度まとまった量を買うので、地域の農機具の卸屋さんと話をして、農民連は農協への卸価格とやや同じぐらいでいいという話をして、供給してもらうなど。そのような地域の関係は、顔見知りなので、率直な相談をしながら、できる範囲で、おこなっている。販売にも、より有利な形で、生産資材の共同購入なども通じて、少し安くとか交渉している。

山田
時間になりましたので、質問を終わらせていただく。ありがとうございました。