平成29年4月21日 参議院本会議

4月21日(金)参議院本会議にて山田議員が質問に立ちました。本会議では初登壇です。質疑は、「農業競争力強化支援法案」 について行われました。まず、山本農林水産大臣からの趣旨説明があり、それに対し、約20分の質疑応答行いました。
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なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【趣旨説明】
【質問事項】
1.TPP協定の発効に向けてどのように取り組むのか
2.農産物や食品の輸出にどのように取り組むのか
3.良質かつ低廉な農業資材の供給をどのように実現するのか
4.農産物や食品に係る流通・加工構造の改革に、どのように取り組むのか
5.JA全農の自己改革について、国としてどのように期待しているのか


【趣旨説明】
山本有二農林水産大臣
農業競争力強化支援法案について、その趣旨を説明する。
政府では、これまで、我が国農業を将来にわたって持続的に発展させるため、その構造改革を推進してきた。
一方で、農業の更なる成長を目指すためには、農業者に良質で低廉な農業資材が供給されることや、農産物の品質等が適切に評価された上で効率的に流通、加工が行われることなど、農業者の努力では解決できない構造的な問題に対処することが必要不可欠である。
このため、平成28年11月に改訂された「農業水産業・地域の活力創造プラン」等に基づき、国の責務や国が講ずべき施策等を明確化し、良質かつ低廉な農業資材の供給と農産物流通等の合理化の実現を図ることによって、農業の競争力の強化の取組を支援していくため、この法律案を提出した次第である。
次に、この法律案の主要な内容について説明する。
第一に、国の責務等である。 国は、国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況を踏まえ、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化を実現するための施策を総合的に策定し、これを着実に実施する責務を有することとしている。
さらに、これらの施策が円滑かつ効果的に実施されるよう、主務大臣及び関係行政機関の長は相互に連携を図りながら協力するものとしている。
第二に、国が講ずべき施策である。 国は、農業資材事業及び農産物流通等事業について、良質かつ低廉な農業資材の供給又は農産物流通等の合理化を実現するため、規制や規格の見直しを始めとする事業環境の整備、適正な競争の下で高い生産性を確保するための事業再編又は事業参入の促進、さらには、農業資材の調達先や農産物の出荷先を比較して選択する際の価格等の情報を入手しやすくする措置等を講ずることとしている。
また、政府はおおむね5年ごとに国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況に関する調査を行い、施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしている。
第三に、事業再編又は事業参入を促進するための措置についてである。 良質かつ低廉な農業資材の供給又は農産物流通等の合理化を目的として行う事業再編又は事業参入を促進するため、主務大臣は、実施指針を策定するとともに、事業者が策定した計画の認定を行うことができることとしている。
その上で、主務大臣から認定を受けた事業者は、その計画の実施に当たり、農林漁業成長産業化支援機構による出資、日本政策金融公庫による融資、中小企業基盤整備機構による債務保証等の支援措置を受けることができる。 以上が、本法律案の趣旨である。

【質問事項】
山田
自由民主党の山田修路です。
私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となった農業競争力強化支援法案について質問する。
本法案は、昨年1月以降、与党で検討を続け、政府において昨年11月に決定された「農業競争力強化プログラム」に基づくものである。私も、自民党の「プロジェクトチーム」の一員としてこの「農業競争力強化プログラム」の検討に関わってきた。
この検討では、2つの視点を前提としていた。1番目は、農業者の手取りを増やすためには、農業者の努力では解決できない課題、すなわち、農業資材価格の引下げや加工流通経費の引下げについて政府として取り組むこと。そして、2番目は、人口が減少し、これに伴い食料の需要も徐々に減少していく国内市場だけでなく、人口や食料需要が増加する海外市場にも目を向ける必要があることである。
このような視点に関連して、本法案について質問する。


1.TPP協定の発効に向けてどのように取り組むのか
山田
国内市場、海外市場を通じて我が国農業の競争力強化を図っていこうとする場合、我が国の農産物をめぐる貿易環境がどのようになっていくのか、極めて重要である。日米関係では、トランプ大統領は二国間交渉を重視する立場を表明している。
去る18日に麻生副総理とペンス副大統領の間で行われた「日米経済対話」では、二国間交渉に関する協議そのものは行われなかったものの、ペンス副大統領は将来の二国間の貿易交渉に意欲を示している。
一方で、米国を除く11か国でTPP協定を発効させようとする動きもある。「TPPイレブン」を推進することは米国への牽制にもなる。
我が国として、今後、TPP協定の発効に向けてどのように取り組むのか、石原経済再生担当大臣に伺う。

石原経済再生担当大臣
TPPについては、我が国が持つ求心力を生かしながら、各国と緊密に連携して、あらゆる選択肢を排除せず、何がベストか主導的に議論を進めていくのが我が国の立場である。この立場は、先月チリで開催されたTPP閣僚会議などの場で明確にしてきたところである。
チリでのTPP閣僚会議では、出席した11か国の結束が確認されたところである。今後、5月のAPEC貿易担当大臣会合に合わせて、TPP関係閣僚が再度会合を持ち、今後の方向性について議論をする予定である。
その準備のために、事前に事務レベル会合を行い、協議することとしており、今後、そのような場を通じて、TPPで合意したハイスタンダードなルールを実現するために、どのようなことができるかを日本が主導して各国と議論をしていく考えである。


2.農産物や食品の輸出にどのように取り組むのか
山田
次に、我が国の優れた農産物や食品の輸出促進について伺う。
最近、我が国の農産物や食品を輸出しようとする動きが目立つようになっている。私の地元、石川県でも、オーガニック米の「みつひかり」や「あきだわら」、特別栽培米の「コシヒカリ」、コメ加工品としての有機純米酒などを、米国、香港、EUなどへ輸出し、高い評価を受けていると伺っている。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、我が国を訪れる外国人観光客はますます増えていくことが期待されており、これからの数年間は、質が高く安心できる日本の農産物・食品への理解を世界に広げていく絶好のチャンスと考えている。
そして、このような輸出を支援する機関として、フランスの食品振興会も参考に、4月1日に日本食品海外プロモーションセンター、JFOODO(ジェイフードー)を設置し、体制を整備しつつあると聞いている。今後、農産物や食品の輸出にどのように取り組んでいくのか、山本農林水産大臣に伺う。

山本有二農林水産大臣
平成31年の輸出額1兆円目標を達成するため、農林水産業の輸出力強化戦略等に基づき、海外市場のニーズ把握や需要の掘り起こし、販路開拓のための相談体制の強化や商談会出展等への支援、コールドチェーンの整備など物流の高度化への支援、輸出先国・地域の輸入規制の撤廃、緩和に向けた交渉などの輸出環境の整備等の取組を行っている。
また、こうした取組を更に強化するために、4月1日に設置した日本食品海外プロモーションセンター、JFOODO(ジェイフードー)において、現地の詳細なニーズ把握や卸、小売、外食事業者等の情報の徹底調査、日本産品のプロモーション、ブランディング戦略の立案、実行、事業者への継続的な商談支援等の取組を行うこととしている。
今後、これらの取組を通じ、農林水産物・食品の輸出に全力で取り組んでいく。


3.良質かつ低廉な農業資材の供給をどのように実現するのか
山田
次に、肥料や農薬、農業機械、飼料などの生産資材に関して伺う。
これらの資材は農業生産に欠かせないものであり、農業の持続的な発展を図る上で今後も安定的に供給されなければならない。資材ごとに状況は異なるものの、例えば、政府の公表によれば、肥料では約2万、配合飼料でも約1万6千もの多くの銘柄があり、これを少量ずつ生産しているなど、生産資材業界は様々な課題を抱えている。
本法案により、生産資材業界の事業再編を促進し、業界全体の生産性を向上させていくことが急務である。
その一方、価格競争が優先され、「安かろう、悪かろう」の農業資材が出回ることのないようにすることも重要である。本法案に掲げる「良質かつ低廉な農業資材の供給」をどのように実現しようとしているのか、山本農林水産大臣に伺う。

山本有二農林水産大臣
農業者の所得向上を図っていくためには、生産コストの削減が重要である。「農業競争力強化プログラム」において、農業資材価格の引下げ等を図ることとしたところである。
これを受けて本法案では、農業資材メーカーについて、国際競争に対応できる生産性の向上を図るための業界再編、農業資材に関する法規制及びその運用の見直し、農業資材価格の見える化等の取組を進めていくこととしている。
その際、例えば、支援対象とする業界再編は、良質な農業資材を供給するものであることを確認するなど、農業資材の品質が損なわれないよう十分に配慮していく。
これらの施策を着実に実施することにより、農業者の経営の改善に資する良質かつ低廉な農業資材の供給を実現していく。


4.農産物や食品に係る流通・加工構造の改革に、どのように取り組むのか
山田
次に、農産物や食品に係る流通・加工構造の改革について伺う。
「農業競争力強化プログラム」においては、「効率的、機能的で農業者と消費者双方がメリットを受けられる流通・加工構造を確立する」として、「農産物を直接販売するルートの拡大」や、「農業者、団体と食品製造業者等との連携の一層の促進」などを提言している。これに対して、卸売市場関係者や米卸業者など流通、加工に関係する方々は、自分たちの将来の姿を真剣に検討し始めている。
流通・加工構造の合理化は、単に無駄をなくすということではなく、バリューチェーンの中で流通・加工業界の果たすべき役割をしっかりと位置付けることが重要である。流通・加工分野の構造改革にどのように取り組むのか、山本農林水産大臣に伺う。

山本有二農林水産大臣
農産物の流通等については、例えば、卸売市場は、各地の生鮮食料品等を品ぞろえすることとともに、需給や品質に応じた価格を形成しており、食料の安定供給を通じて国民生活の安定に貢献してきた。
他方、生産者の所得の向上、多様化する実需者、消費者のニーズへの対応といった観点から、改革が必要と考えている。
このため、農産物流通等について、国としての規制の見直しを始めとする事業者の事業環境の整備を行うとともに、事業者の自主的な事業再編等を促すことにより、効率的、機能的で農業者と消費者双方がメリットを受けられる流通・加工構造の確立に取り組んでいく。


5.JA全農の自己改革について、国としてどのように期待しているのか
山田
最後に、全農の自主改革について伺う。
全国農業協同組合連合会(JA全農)が、3月28日に発表した新たな事業戦略では、米や野菜、肥料の売買方式を抜本的に変更するなど、踏み込んだ内容となっている。例えば、米穀事業でも、これまでの「誰かに売ってもらう体制」から「自ら売る体制」に転換することとし、直接販売割合を、平成28年度見込みの37%から平成36年度には90%へ引き上げるという、具体的な目標を掲げた意欲的なものとなっている。
農業協同組合は、あくまで農業者が組織する民間団体であり、国としては、農業者の発展のために、JAの自己改革を促していくことが重要である。どのような自己改革を国として期待しているのか、山本農林水産大臣に伺う。

山本有二農林水産大臣
本年3月、全農は、「農業競争力強化プログラム」を踏まえて、農業生産資材の価格引下げや農産物の有利販売に向けて、数値目標等を含めた年次計画を作られたものと承知している。
農林水産省としては、今後は、この計画をベースに、真に農業者の立場に立つことが明らかな事業スキームとなるよう明確化を図っていくことが重要であると考えている。
具体的には、競争入札などにより農業者にとって有利な生産資材メーカーから購入するスキーム、中間流通を通すのではなく、消費者、実需者への農産物の直接販売を拡大していくスキーム等を明確にし、これを実践することにより、農業者が成果を実感できるようにしていく必要がある。
こうしたことを実現するためには、農業者の立場に立つという役職員の意識改革、新たな事業スキームを実行し得る外部からの人材の登用、新たな事業スキームに対応したスリムな組織体制の整備が不可欠であり、これについても具体的な取組を期待している。
農林水産省としては、こうした農業者のための全農の自己改革が着実に進むよう、適切にフォローアップしていく考えである。


山田
以上、5点について質問した。
意欲のある農業者が創意工夫を発揮することにより、我が国農業が飛躍的に成長することができる、そういった環境を整えることが国の責務である。
本法案の下、農業者が誇りを持って活躍することができる「農政新時代」に向けて、国、地方公共団体、そして農業関係者が一丸となって取り組んでいくことを期待する。
ありがとうございました。