平成29年4月11日 農林水産委員会

4月11日 農林水産委員会が開催されました。議題は、「農業機械化促進法を廃止する等の法律案」及び「主要農作物種子法を廃止する法律案」です。約50分の質疑応答がありました。
下のテーマをクリックすると、箇所にとびます。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質問事項】
1.農業資材一般・農業所得
(1).農業競争力強化プログラムの狙いは、何か。今回の2法の廃止とどのように、関連しているのか
(2).大規模農業者と小規模農業者とでは、農業者の手取りの違いがどの程度あるのか
(3).農業者の手取りを増やす方法の一つは、規模の拡大だと思うが、どのように対応するつもりか
(4).日本の農業資材の価格は、外国と比べて高いと考えているのか
(5).「農業競争力強化プログラム」では、農業生産資材に関する法制度・運用等について、「国際標準に準拠する」といっているが、具体的に、農薬、肥料などどの辺が、国際標準と異なっているのか
(6).肥料、農薬、機械など農業資材ごとに、資材価格が高い理由は何か。これに対し、どのように対応する方針なのか

2.主要農作物種子法
(1).主要農作物種子法が果たしてきた役割をどのように考えているのか
(2).何故、種子法を廃止するのか
(3).都道府県が種子行政にしっかり取り組むよう、地方財政措置や都道府県への通知などの工夫をすべきではないか
(4).都道府県と民間企業の連携により種子を開発・普及するというが、民間企業との連携をどのように促進するのか
(5).「農業競争力強化プログラム」が目指す農業者の所得向上について、種子供給に関して、どのような対応を考えているのか

3. 農業機械化促進法
(1).農業機械化促進法が果たしてきた役割をどのように考えているのか
(2).何故、機械化促進法を廃止するのか
(3).農業機械価格の引下げに向けて、どのような対策を講じるのか
(4).高齢化が進む中で、農作業事故の状況いかん
(5).農作業事故の対策いかん

4.農産物の加工・流通・輸出
(1).卸売市場の将来をどのように考えているのか
(2).米卸業者の将来をどのように考えているのか


配布資料ダウンロード


1.農業資材一般・農業所得
(1) 農業競争力強化プログラムの狙いは、何か。今回の二法の廃止とどのように、関連しているのか
山田
この二法の廃止は、与党で検討され、政府で決定した「農業競争力強化プログラム」に基づいて、実施するものである。その意味では、今国会に提出される他の6つの法案にも共通する基本的な政策の方向が、この「農業競争力強化プログラム」に示されている。
「農業競争力強化プログラム」の検討に、私も参加してきたが、2つの点を検討の前提としていた。1番目は、農業者の手取りを増やすためには、農業者の努力では解決できない課題に政府として取り組むべきであるということである。 配布資料を参照してほしい(資料1参照)。農林水産省からの資料であるが、この資料では、15ha以上の大規模層の米農家の米10㎏あたりの農業者の手取りは約30%、生産コストが約4割、そのうち資材価格が約2割、そして流通コストが約3割で、手取りを増やしていくためには生産コスト、特に資材費そして流通コストを下げることが大事であるという議論がなされている。
そしてもう一つは人口問題である。今日の新聞で厚生労働省から2053年の人口が一億を切るという記事があったが、人口の減少は、生産力の問題に焦点があたることが多い一方で、消費・需要の面からも大きな影響がある。特に食料は、人口が徐々に減少していく国内の市場だけでなく、人口が増えていく海外の市場にも食料の需要の点から目を向ける必要がある。
資材を含めた生産コスト、流通コストの軽減の問題、そして内外の市場に目を向けること、この2つを前提に「農業競争力強化プログラム」は検討されてきている。そこで、「農業競争力強化プログラム」の狙いは、何なのか、そして、この二法の廃止と、どのように関連しているのか、大臣に伺いたい。

山本有二農林水産大臣
御指摘のとおり、昨年の11月に策定された農業競争力強化プログラムは、①農業者が自由に経営展開できる環境を整備すること、②農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決すること。そして、③農業の成長産業化と所得の向上を実現するという目的で定められている。
この趣旨に沿い、まず、種子については、近年、種子生産者の技術水準の向上等により、都道府県に一律に原種、原原種の生産や品種の試験を義務付ける制度の必要性が低下をしてきた。民間事業者の種子生産等を促すことで良質かつ低廉な種子の供給を進めていく必要がある。
次に農業機械であるが、近年、高性能農業機械の導入が進展おり、国及び都道府県が主導して開発導入を進める制度の必要性が低下している。この民間事業者と連携した開発、導入を促進することにより、この分野でも良質かつ低廉な農業機械の供給が進められていくので、その必要性があるという認識の下、主要農作物種子法及び農業機械化促進法を廃止することとした。 農業資材事業に係る事業環境の整備を着実に遂行していくことを通じて、農業者による農業の競争力強化の取組を支援することにより、農業者の所得向上が実現でき、かつまた農業の競争力強化が実現できると考える。

山田
ありがとうございました。 農業者の競争力の強化に資するように、その資材の点で今回の改革を実施しようということでこの二法案が提出されているということだった。

1.農業資材一般・農業所得
(2)大規模農業者と小規模農業者とでは、農業者の手取りの違いがどの程度あるのか。
山田
「農業者の手取り」について、配布した農水省の資料は、大規模層のイメージである。これより小さい規模の農業者の手取りの割合は、もっと小さいのではないか。大規模農業者と小規模農業者とでは、農業者の手取りの違いがどの程度あるのか。

柄澤彰農林水産省政策統括官
資料のとおり(資料1参照)、米の10㎏当たりの農業者の手取りの割合を、15ha以上層の農業者で見た場合、約30%である。これを、仮に1~2haぐらいの小さな生産者の方々の状況を見ると、約20%になっている。
すなわち、米の生産コストは生産規模が大きくなるほど小さくなる傾向にあるので、米の価格が一定であれば、生産規模の小さい農業者ほど、単位生産量当たりの小売価格に占める手取りの割合が小さくなる傾向がある。
したがって、生産規模の大きな農業者と小さな農業者で、仮に同様に生産資材費が低減した場合には、生産規模の小さい農業者の方が、単位生産量当たりのコスト削減額及び手取り増額が相対的に大きくなり、コスト削減の効果が小さい農家ほど大きくなる。

山田
ありがとうございます。興味深い話を聞いた。小さい農家の方が、手取りの割合は増えるということであった。ただ、総体としての、金額という点からすると、大きい農家でないと多くの手取りが得られないということではないかと思う。手取りを増やすためには、付加価値の高いものを作っていくこと、また、規模拡大も大事なことではないかと思う。

1.農業資材一般・農業所得
(3)農業者の手取りを増やす方法の一つは、規模の拡大だと思うが、どのように対応するつもりか。
山田
農業者の手取りを増やす方法の一つは、経営規模の拡大である。しかし、農地中間管理機構による規模拡大も目標どおりには進んでいない。農地中間管理機構による規模拡大だけでなく、様々な規模拡大方策を進めるべきだと思うが、規模拡大をどのように進めようとしているのか。

大澤誠農林水産省経営局長
農業経営のコスト縮減、競争力強化プログラムによる手法もであるが、手取りを増やすために担い手の経営規模を拡大することは非常に重要である。これは競争力強化プログラムの前から進めているところで、分散錯圃の解消が非常に大事だ。
これまで、出し手、受け手の相対協議を前提とする仕組みでは、地域全体として農地流動化を進めるという対策ができなかったが、中間管理機構がその問題を解消するため、解消した上で担い手へまとまった形で農地を貸し付けるスキームをすることで始まったと理解している。そのような意味では、分散錯圃の解消という意味では、機構を中心に問題を解決していくことは最も効果的だと考えている。
他方、現場では、例えば農業委員会や農地利用集積円滑化団体など、機構に加えて、地域の状況に応じて様々な主体が農地利用の改善に向けて努力されていると承知している。ただ、地域によって非常に様々で、例えば、農地利用集積円滑化団体は、北海道、栃木県、長野県、新潟県、愛知県の五県で、非常に活発に活動しているが、そのほかは、中間管理機構が設立されて以来、徐々にそちらの方に移っている実情もある。
ともあれ、このような様々な相対も含めた活動、これをなるべく集約化の方に向かっていくと、集約化だけではなく、相対で状況を掘り起こしていくことが全て大事だと思っているので、一番大事なことはそれぞれの組織が有機的に結び付いて連携を強化していくことだと考えている。
今後、新しい仕組みの農地利用最適化推進委員制度が今年度に本格化される。農業委員とともに、組織間の連携も進めていきたいと考えている。

山田
ありがとうございます。現場では、とにかく農地中間管理機構を使うということで、そちらにしわ寄せがいき過ぎている。もっと自由にすれば進むのに、という声もあるので、中間管理機構を推進していくことはいいが、大事なのは規模拡大が進むことであるので、そのような対応をお願いしたい。

1.農業資材一般・農業所得
(4)日本の農業資材の価格は、外国と比べて高いと考えているのか。
山田
日本の農業資材の価格について、韓国と比較して高いと言われている。韓国の農業や農業政策が理想的であるかのような印象を与えかねず、また、労働コストなどの違いもあるだろうから、韓国と単純に比較することについては、私自身は違和感を感ずるが、気候条件や栽培作物、食生活の類似性などから、近隣諸国と比較することも、やむを得ないとも思っている。そこで、農林水産省としては、我が国の農業資材は、外国と比較して高いと分析しているのかどうか伺いたい。

枝元真徹農林水産省生産局長
条件が近い韓国と比較を行い、肥料、農薬、農業機械、共に割高になっていた。この価格差だけを単純に比較するわけにはいかないが、このようなことを参考として、資材のコスト構造、課題を分析して、農業競争力強化支援法案に資材価格の引下げに向け対策を盛り込んでいる。
また、同法案では、政府はこれから国内外における農業生産資材の供給等の状況に関する調査を行い、結果を公表する旨が盛り込まれているので、韓国以外の調査対象国についても、各国の農業事情等を踏まえて分析していきたい。

山田
ありがとうございます。韓国と比較すればこうだが、ほかのところとは直接なかなか比較をしにくいということであった。

1.農業資材一般・農業所得
(5)「農業競争力強化プログラム」では、農業生産資材に関する法制度・運用等について、「国際標準に準拠する」といっているが、具体的に、農薬、肥料などどの辺が、国際標準と異なっているのか。
山田
農業生産資材に関する法制度・運用等について、「農業競争力強化プログラム」では、「国際標準に準拠する」と言っている。具体的に、農薬、肥料などのどの部分が、国際標準と異なっていると認識しているのか伺いたい。

今城健晴農林水産省消費安全局長
農薬については、国際標準に準拠するとともに、農薬の安全性を確保しつつ合理化、効率化を図ることが目的である。例えば、本年4月から、農薬の登録の際、使用可能な作物の登録がセットになるが、個々の作物の登録に加えて、作物群での登録を可能とする仕組みを導入するなど、制度の見直しを進めている。
作物群での登録は、既に欧米では導入されている仕組みで、これにより安全性を確保しつつ、これまでの個別作物ごとの登録よりも、例えば作物残留試験や薬効・薬害試験の試験数の合計が軽減されることによるコスト削減、あるいは生産量の少ないマイナー作物に使用できる農薬の確保、これが図りやすくなる。
そのほか、肥料等についても、諸外国の制度等を参考にしながら、現行の制度及びその運用等について点検を行い、見直しを進める。
こうした取組により、良質でかつ低廉な生産資材が供給されるための制度等を整備するということを通じて、農業者による農業の競争力の強化の取組を支援していきたい。

山田
ありがとうございました。コストを下げていくことと併せて、安全性の確保も非常に重要な観点であるので、安ければいいというものでもない。作物群で登録をする方法や、実際の肥料や農薬について様々な改善の余地はあると思うので、他の国でのやり方も分析し、対応していただきたい。

1.農業資材一般・農業所得
(6)肥料、農薬、機械など農業資材ごとに、資材価格が高い理由は何か。これに対し、どのように対応する方針なのか。
山田
日本の農業資材価格が高いとすれば、その原因はどこにあると、認識しているのか。肥料、農薬、機械など農業資材ごとに、その原因は異なる。そして、この原因に対して、どのように対応していくつもりなのか。

枝元真徹農林水産省生産局長
各農業資材に関して、肥料、飼料についてはメーカーが乱立し、工場が各地に点在し、多銘柄を少量ずつ生産するなど、工場の稼働率も悪く、非効率な生産形態となっている。農業機械については、国内大手4社の出荷額が8割を占め、シェアが固定していて寡占状態となっていることから競争が働いていない。農薬については、防除効果が長期間持続する農薬など防除作業の省力化に資する機能の優れた農薬が多いほか、安価のジェネリック農薬が少ない実情にあること等が、価格が高い要因となっていると考えている。
このため、これらの生産資材に対してそれぞれの資材の状況に応じて、資材メーカーに関しては、国際競争に対応できる生産性の確保を図るための業界再編の推進、資材に関する法規制及び運用の見直し、農業資材価格の見える化等を実施することとしている。

山田
農業資材ごとに、様々な原因があって、それを資材ごとに解決をしていくことが大事である。この点はこの後、審議が予定をされている農業競争力強化支援法の主要なテーマの一つだと思う。


2.主要農作物種子法
(1)主要農作物種子法が果たしてきた役割をどのように考えているのか
山田
主要農作物種子法は、昭和27年に制定された。その後、米麦などの品種改良や優良な品質の作物の普及に大いに寄与してきた。主要農作物種子法が、これまで果たしてきた役割をどのように評価しているのか。

礒崎陽輔農林水産副大臣
主要農作物種子法は、戦後、食糧の増産が国家的課題であった昭和27年に制定されて以来、稲、麦、大豆について、全ての都道府県に原種や原原種の生産、普及すべき優良な品種、いわゆる奨励品種を指定するための試験等を義務付けることにより、主要作物の優良な種子の生産及び普及に努めてきた。
具体的には、稲、麦、大豆の単収の増加、稲、麦、大豆の品種数の増加、病害虫や災害への抵抗性の向上などを通じて、これらを生産する農業者の経営の安定、高品質な米、麦、大豆を求める消費者ニーズへの対応等が図られ、食糧の安定供給の確保に資することになってきたと認識している。

山田
ありがとうございました。主要農作物種子法についてのこれまでの役割は、今、話のあったとおりである。そして、これに対して、なぜ農業の発展に寄与してきたこの農作物種子法を廃止するのかと、様々な方々から質問を受けているところである。

2.主要農作物種子法
(2)何故、種子法を廃止するのか
山田
主要農作物種子法について、このような重要な役割を果たしてきた本法を、何故、廃止することとしたのか。

礒崎陽輔農林水産副大臣
主要農作物種子法が果たしてきた役割については今答えたとおりであるが、近年になって、実需者のニーズを踏まえた民間事業者の品種も開発されており、都道府県の奨励品種には、この民間の品種が、ほとんど指定されていない。そこで、都道府県と民間事業者の法制度としてのイコールフッティングしていく必要がある。今後、都道府県のみならず、民間のノウハウも活用して広域的、戦略的な種子の生産、普及を努めていかなければならない。
具体的には、種子法が都道府県中心の法制度となっていることから、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種に指定されることが避けられず、現行の仕組みを前提とする限り、民間事業者が開発した品種の奨励につながらないのではないかと考えている。また、各都道府県内の利益にとどまらない、都道府県の枠を超えた広域的、戦略的な種子生産が求められている輸出用米や業務用米に適した品質は、ニーズがあっても奨励品種には指定されにくいという課題もある。
種子の供給や品質は安定しているにもかかわらず、全国の各地域でそれぞれ農業振興の戦略を立てる中で、必ずしも米麦等の主産地ではない都道府県を含めた全ての都道府県に対し、原種、原原種の生産、奨励品種を指定するための試験、生産物審査や証明書の発行事務等を一律に義務付けているという必要性は低下しているのではないか。
こうした課題が明らかとなったことから、今般、種子法を廃止することとした。種子法を廃止するとともに、農業競争力強化支援法案等による民間事業者の新規参入支援措置を講ずることにより、民間事業者の参入を一層進め、都道府県が開発した品種のみならず、民間事業者が開発した品種も含め、供給される品種が多様化し、農業者の選択が広がるというメリットがあるものと考えている。

山田
ありがとうございました。

2.主要農作物種子法
(3)都道府県が種子行政にしっかり取り組むよう、地方財政措置や都道府県への通知などの工夫をすべきではないか
山田
米麦の種子行政は、これまで都道府県が中心になって進めてきた。今ほどの説明では、それに問題点が生じている、あるいは民間にやってもらった方がいいとの話であったが、心配するのは、本法の廃止によって、都道府県が積極的に種子行政に取り組んできたものが、今度は一歩引いた形で、都道府県の種子行政が後退をするのではないかということである。その点について、本来やるべき都道府県については、しっかりと続けてもらわなくてはいけないし、もっと充実してもらわなくてはいけない。
その面でいうと、地方財政措置をしっかり講じることも大事なことである。農水省からは、都道府県に聞くと「ちゃんとやりますよ」という返事をいただいている。というが、それは、農林部の話を聞いても駄目で、県全体で財政当局が「うん」。と言わなかったら、予算は確保できない、という話もした。
そのような意味で、地財措置も大事で、それから、特に都道府県に対して、農水省として、種子行政は大事だということを、しっかり通知をしていくことも必要なのではないか。是非この自治体への活動について伺いたい。

礒崎陽輔農林水産副大臣
法案の策定段階での都道府県に対するアンケートでは、基本的に今までの仕事はきちんと続けていくという大方のアンケート結果あるが、財政措置が非常に重要であることは指摘のとおりである。
かつては主要農作物種子法に基づく補助金があったが、平成10年に一般財源化され、地方交付税の単位費用の一部に組み込まれているのは承知のとおりである。
種子法の廃止は、都道府県による種子の生産、普及に係る取組を否定するものではなく、引き続き都道府県には、各都道府県の判断において、種子の生産、普及に関与するとともに、種苗法に基づく都道府県の種子の品質確保のための必要な措置を講じるなど、主要農作物種子の生産、普及において重要な役割を担うことから、法の廃止による財政的な影響が生じないよう万全を期していく必要がある。
そのための都道府県に対する財政措置は、引き続き地方交付税の中で措置することが必要であると考えており、今後は、法律はなくなるが、種苗法や農業競争力強化支援法等を根拠として、地方交付税が措置されるよう、今後の平成30年度予算編成過程において関係省庁に強く働きかけていきたい。
また、その結果によるが、地方交付税において措置される内容については、今後農林水産省としても通知により明らかにし、財政当局の方の理解も得るような形で円満にいくよう努力していきたい。

山田
ありがとうございました。都道府県の種子行政が後退しないように対応していくことが必要である。

2.主要農作物種子法
(4)都道府県と民間企業の連携により種子を開発・普及するというが、民間企業との連携をどのように促進するのか
山田
農林水産省の説明によれば、「都道府県と民間企業の連携により種子を開発・普及する」としているが、民間企業との連携をどのように促進するのか、伺いたい。

柄澤彰農林水産省政策統括官
種子の開発、生産、普及については、生産者や実需者などの多様なニーズに対応する観点から、国や都道府県といった公的機関と民間事業者が連携して取り組んでいくことが重要である。
まず、開発面においては、民間事業者の要望や経営戦略に応じて、国立研究開発法人が開発した育種素材、遺伝情報、技術、ノウハウを提供する。また、国益に即した目標が設定される品種開発に関して、民間事業者が行う品種開発への国による支援などの取組を進めていきたい。
また、生産、普及面においては、民間事業者が有する実需者のニーズに関する情報を都道府県と共有して種子の開発、生産に活用する、また、都道府県が有する種子生産圃場や原種圃の情報を民間企業と共有する、さらには、民間事業者と種子生産の技術と意欲を持つ農業者とのマッチングを行うという様々な観点での取組を推進し、今般の農業競争力強化支援法案における民間事業者の新規参入措置なども通じて、都道府県と民間事業者の連携を促進していきたい。

山田
ありがとうございます。都道府県の行政、民間の企業の連携によって、これまで以上の種子行政ができるよう、しっかりと対応していただきたい。

2.主要農作物種子法
(5)「農業競争力強化プログラム」が目指す農業者の所得向上について、種子供給に関して、どのような対応を考えているのか。
山田
「農業競争力強化プログラム」は、農業者の所得向上を目指しているが、農業者への種子供給に関連して、どのような対応を考えているのか、伺いたい。

柄澤彰農林水産省政策統括官
昨年11月に策定されました農業競争力強化プログラムにおいては、生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直しという一つのジャンルの中に、様々な施策があるが、その所得向上につながる施策の一環として、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進めるということが明確に位置付けられた。
この考え方に沿い、具体的には、種子法の廃止とともに、農業競争力強化支援法案等により民間事業者の新規参入措置を講ずるので、民間事業者の参入が一層進み、都道府県が開発した品種のみならず、民間事業者が開発した品種を含め、農業者から見た場合に供給される品種が多様化して選択肢が拡大する。そのことを通じて農業者の所得向上に資するということが言える。
特に民間事業者が開発する品種を見ると、収量が非常に高い、あるいは作期ピークが分散化できることで耕作面積が拡大する、さらには、その作ったものが外食チェーンなどの実需者と結び付いているので、そういった販売先とセットで種子が販売されることで、現に一部の大規模生産者などがこのような民間の品種を使っている実態もある。
また、県の品種についても、民間事業者の参入が進むことにより、県のいろいろな事務事業の一部を民間事業者に業務委託をする、あるいは種子の生産農家の規模拡大が図られる等々の種子生産のコスト削減が図られることにより、総体として種子価格の引下げにつながり、それが農業者の所得向上につながると考えているところである。

山田
ありがとうございます。都道府県行政がこれから種子についてどのようになっていくのか、そして民間企業の参入についてどのようになっていくのか、様々な疑問、心配を持っている方がいる。是非その辺を払拭できるような対応をお願いしたい。


3.農業機械化促進法
(1)農業機械化促進法が果たしてきた役割をどのように考えているのか
山田
農業機械化促進法が制定された昭和28年当時は、まだ十分に農業機械は普及しておらず、生産性も低く、農作業も重労働であった。法律制定以来、農業の機械化は大きく進展しており、この法律が果たしてきた役割をどのように評価しているのか伺う。

矢倉克夫農林水産大臣政務官
農業機械化促進法は、昭和20年代、生産性も低く、農作業も重労働であったこの状態を改善することを目指しまして、我が国農業の機械化を促進することを目的としたものである。
国が定める基本方針に基づいて、高性能な農業機械等の計画的な試験研究、実用化の促進を行うことを軸として、同じく基本方針に基づく主要な農業機械について、適正導入に向けた下限面積の設定、そして農機具の性能や安全性に係る検査・鑑定制度等を定めたものであり、昭和28年に制定されて以降、情勢の変化を踏まえて数次の改正を経て現在に至っている。
本法に基づく取組により、農業機械の導入が大幅に進展したと考えている。例えば、農家100戸当たりのトラクターの所有台数については、昭和35年の8.5台が平成27年には101.2台となった。また、稲作の機械化一貫体系が確立し、10a当たりの労働時間も昭和35年の173.9時間から平成26年には23.5時間と大幅に削減された。このようなことから一定の役割を果たしてきたと考えている。

山田
ありがとうございました。機械化がどんどん進んでいるという話だったが、機械という点で言えば、新しい機械が次々と出てくるということがあって、農業の機械化は、非常にこれからも重要な課題である。

3.農業機械化促進法
(2)何故、機械化促進法を廃止するのか。
山田
そのような役割を果たしてきた、農業機械化促進法をなぜ廃止することとしたのか。

矢倉克夫農林水産大臣政務官
農業機械の導入の大幅拡大に寄与したが、新しい機械が多く出てきている。近年ではこのような技術革新が速くなっている。
その点から考えると、一定期間おきに審議会の意見を聴いて定める基本方針において、そのたびに開発対象機種を位置付ける現行スキームでは、迅速に機動的な対応が難しいことが認識されている。また、農業機械の製造技術が進展し、粗悪品等を排除するための型式検査によって、その性能をチェック、指導する必要性が低くなった。実際上、平成16年度以降は、安全性に係る検査を除いて、受検実績が一件もないという状態が続いている。
このため、農業機械化促進法に基づくスキームは社会的な必要性が低下していることから廃止をする一方、農研機構法を改正し、農業機械の研究開発及び安全性の検査を、農研機法の業務として位置付けることとした。

山田
ありがとうございます。機械行政は依然として重要性は変わらないと思っている。その手法をどのようにするかという話で、今回、機械化促進法について廃止をすることにしたと理解している。

3.農業機械化促進法
(3)農業機械価格の引下げに向けて、どのような対策を講じるのか。
山田
最初に示した米作りのイメージ図(資料1参照)では、農業機械の占める割合が11%と多い。先ほども、農業機械は寡占状態、企業の数が少なく、高い構造になっているという話も聞いたが、農業機械について価格を引き下げていくことも大事な方向だと思う。これについてどのような対策を講じようとしているのか。

枝元真徹農林水産生産局長
農林水産省としては、少しでも安い農業機械を調達できるようにするために、農業機械メーカー側の取組、またその促進が不可欠だと考えている。
具体的には、異分野メーカーの新規参入等による競争の促進を図るほかに、部品や仕様の共通化、メーカー間での互換性の確保を促進すること、また最低限必要な機能、装備のみを備えたシンプルな農機、農業機械や高耐久な農業機械の製造販売、農業機械を始めとした生産資材価格の見える化の推進などの取組を進めて、農業者が少しでも安い農業機械を調達できるように取り組んでいきたい。

山田
ありがとうございます。 農業機械のコストダウンをどのように図っていくかは、農業競争力強化支援法の課題でもあると思う。

3.農業機械化促進法
(4)高齢化が進む中で、農作業事故の状況いかん
山田
現在の農業機械に関する大きな問題は、農作業事故である。自動車についても、高齢者による事故が、現在、大きな話題になっているが、農業者の高齢化が進む状況のもと、農作業事故の状況はどうなっているのか。

枝元真徹農林水産生産局長
農業での死亡事故は、近年350件程度発生している。平成27年は338件あった。特に80歳以上の割合が5割近くを占めており、非常に高齢の方の事故が多い。
その農作業事故、死亡事故の内訳としては、乗用型トラクターの転落、転倒等、農業機械の作業に係る事故が約6割である。圃場や道路からの転落、熱中症、施設以外の作業に係るような事故が約4割となっている。

3.農業機械化促進法
(5)農作業事故の対策いかん
山田
80歳以上の方の事故が、50%とかなりのウェートを占めているという話があった。自動車の世界では、運転免許証を返還して乗らないようにするなどの議論がなされているが、農業の場合には、農業人口自体が高齢化しているので、高齢者も主たる担い手である場合が依然としてある。極めて難しい課題であるが、農作業事故を減らしていくための対策について、どのような対応をしようとしているのか伺う。

枝元真徹農林水産生産局長
農作業安全の確保は、非常に喫緊の課題だと認識している。農作業の安全対策として、なかなか決め手がないところであるが、労働安全衛生の専門家を交えて農作業事故情報を分析し、その結果に基づく様々な環境を改善すること。機械の安全装置の改良、実用化の促進。警察庁と連携して、高齢者も含めた事故防止の啓発の促進、例えばシートベルトの装着の促進などを行っている。また、厚生労働省や関係団体と連携して、農業者個人でも加入できる労災保険特別加入制度の周知や加入の促進等に取り組んでいるところである。
今後も、事故情報の収集・分析体制を更に強化し、農業機械メーカーにおける安全設計を一層促すとともに、高齢者を始めとして一人一人の安全意識の向上を図るように、関係省庁、団体と連携して取組を強化していきたい。

山田
ありがとうございます。


4.農産物の加工・流通・輸出
(1)卸売市場の将来をどのように考えているのか
山田
農業競争力強化プログラムでは、加工・流通の構造を見直すこととしているが、卸売市場の関係者は、自分たちの将来について、不安に思っている状況にある。卸売市場の将来を、農林水産省では、どのように考えているのか伺いたい。

井上宏司農林水産省食料産業局
卸売市場については、これまで、出荷者側に立って集荷を行い、出荷者から販売を受託する卸売業者が全国各地の生鮮食料品等を、品ぞろえをするとともに、これらの卸売業者と仲卸業者との間で需給や品質に応じた価格を形成しながら、食料の安定供給を通じて国民生活の安定に貢献をしてきたと考えている。また、出荷者側に対しては、卸売業者が代金を早期に回収をして確実に決済をすることにより、生鮮食料品等の生産、流通の円滑化に寄与してきたと考えている。
他方、卸売市場の最近の状況を見ると、インターネット通販や産地直売等の増加により、生鮮食料品等の流通経路が多様化して、卸売市場を経由する生鮮食料品等の比率は低下傾向にあるとともに、卸売市場あるいは卸売市場関係業者の数も減少が続いている。
今後は、こうした農産物流通について引き続き一層流通ルートの多様化が進んでいくものと見込まれるが、他方で、代金回収機能等の卸売市場の役割は、なお意義を有するものと考えており、卸売市場をめぐる状況の変化、食料需給、消費の実態等を踏まえて、農業者と消費者の双方がメリットを受けられるような流通構造を確立するために、市場関係者の方々の意見も丁寧に聞きながら、卸売市場法の見直しについて検討していきたい。

山田
ありがとうございました。卸売市場法の改正について検討していきたいということであった。早めに検討の方向性を示していただきたい。農業競争力強化支援法でも、流通、加工の部分の方向がある程度出ているが、具体的に、卸売市場の法律の見直しもあると思うので、速やかな対応をお願いしたい。

4.農産物の加工・流通・輸出
(2)米卸業者の将来をどのように考えているのか

山田
流通、加工で心配をしている方々として、米の卸売業者さんがあげられる。米卸業者の皆さんも自分たちの将来をどう考えていったらいいのか、真剣に検討している。米卸業の将来を、農林水産省はどのように考えているのか伺いたい。

柄澤彰農林水産省政策統括官
現状の米の流通の状況を見ると、生産者、JA、全農、卸、実需者など、多段階で複雑な流通になっていて、その都度コストが発生している状況にある。また、米卸業界について見ると、中小規模の企業が多数存在して言わば過当競争となっていて、経営基盤が不安定で、卸売業者が大手量販店などの実需者に対して価格交渉力が弱いという課題がある。このため、現在の米流通におきましては、生産者に適切な対価支払が実現できないことに加えて、生産者との安定取引あるいは消費者が求める商品の安定供給について、必ずしも十分に機能を果たせていないという状況にある。
したがって、昨年11月の競争力強化プログラムでは、農業者、消費者のメリットを最大化するため、農業者、団体から実需者、消費者に農産物を直接販売するルートの拡大を推進するとともに、中間流通については抜本的な合理化を推進することになった。
このようなことが促進されると、流通段階でコストが低減され、また、大手量販店等に対する米卸業者の価格交渉力の向上が図られると、生産者への適切な対価支払が実現される、また、生産者との間で事前契約や複数年契約などの安定取引が促進される、さらには、新業態、新商品開発等を通じた商品の付加価値向上や消費拡大が図られるという効果が期待されると考えている。

山田
是非、そのような方向性をしっかり業界の方々にも説明して、改革が業界の方として取り組めるよう指導をお願いしたい。この廃止二法案と農業競争力強化支援法、これらは、全体として農業のコストを下げて、農業生産者の手取りを増やしていくという対策なので、是非きっちりしたビジョンを示し、推進していただきたい。