平成28年11月24日 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会

11月24日、「環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会」が開催されました。今回は、本日、日米関係をはじめとするグローバル世界とTPP・貿易ルール等について を議題とし、質疑を行いました。
下のテーマをクリックすると、そのテーマの質疑・答弁の該当箇所にとびます。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質問事項】

1.トランプ氏との会談について
2.国内産業の空洞化の防止
3.TPP参加国の首脳会合等について
(1)首脳会合の概要
(2)FTAAPへの道
4.TPP協定の国内手続き
5.外交政策の基本姿勢


1.トランプ氏との会談について

山田
アメリカのトランプ次期大統領、は、21日に動画メッセージを出して、「TPP協定から離脱し、二国間協定を目指していく」とのべている。
このような中で、日本として、①「今後どのように国際的に対応していくのか」、また、②「今、この委員会で議論している協定の国内手続を進めていくのかどうか」、この2つの点が大きな論点になっている。
まず、あのトランプ氏の発言に関連した質問から始めたい
安倍総理は、17日に、各国の首脳に先駆けて、トランプ氏と会談を行った。このような素早い対応を評価する声も聞かれている。会談直後、安倍総理は、「様々な課題について、基本的な考え方を話した」、そして「まだ大統領に就任されておらず、非公式会談なので、内容は差し控えたい」と述べている。その後、トランプ氏は、先程お話したような動画メッセージを公表している。
そこで、二人の会談において、①トランプ氏とは、「自由貿易」という価値観が共有できたのかどうか、また、②TPP協定について、今後トランプ氏を説得する余地があると考えるのか、内容についてお話出来ないのは十分に理解しているが、印象で結構なので、お話願いたい。

安倍晋三内閣総理大臣
日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸である。なぜならば、もし日本が外敵の侵略を受けた際に、日本と共同対処する唯一の同盟国であるからである。同時に、米軍は日本に基地を置くことによって前方展開戦略を可能とし、そしてアジア太平洋地域の平和と安全に寄与している。この同盟関係は今や世界の様々な課題に共に手を取り組んでいく希望の同盟となっている。
この同盟がどのように新大統領の下で、次期大統領の下で変化していくのか、あるいは変わらないのか、より強化されていくのか、日本にとって当然最大の関心事項であり、世界もそれに注目をしている中においては、それは、たとえ就任前であろうと、ちょうどペルーに行く際に、給油のために米国に寄る予定だったので、都合が合えば会談を行いたいという考え方から会談を申し込み、結果として会談を行うこととなった。
トランプ氏はまだ大統領に就任をしていないので、現政権のオバマ政権の中にあって、日米の首脳会談という姿とは、異なるものにしなければならない。その観点からも、現在中身については申し上げるわけにはいかない。当然、私の考え方については申し上げた。また、トランプ次期大統領の御自身の考え方を開陳しておられた。個別の中身について話をすることは差し控えさせていただきたいが、当然、通商政策等々も含めて全般的なお話をさせていただいた。
TPPについては、自由で開かれた自由貿易圏をつくっていくことの意義、共通の公正なルールを作っていくことの意義という側面もある。大変厳しい状況にはあるが、日本の自由貿易に対する自由で公正な貿易圏をつくっていくことの意義について、しっかりと発信をしていく。日本は世界に先駆けてしっかりと審議を行い、批准を行っていくべき。この考え方にもいささかも変化はない。

山田
ありがとうございます。トランプ氏と信頼関係を築いていく。このことが、これから長い付き合いなので大事なことだと思う。


2.国内産業の空洞化の防止

山田
トランプ氏がTPP協定に反対をしているのは、国内の雇用の喪失などのことを心配してである。TPP協定のみならず、EPA、FTA協定が結ばれていけば、外国に、自国の企業が進出しやすくなる。反面として、自国内では国内の工場が閉鎖され、失業が生ずるということもあり得る。NAFTA(北米自由貿易協定)でそのようなことがあったということで、トランプ氏も、ヒラリー・クリントン氏もこのTPPに賛成できないとしてきた訳である。
しかし、このために、「自由貿易」に背を向け、あるいは、TPP協定のような、多国間の経済連携協定に消極的になる姿勢は、世界経済や各国経済の発展にとって、プラスにはならない。日本で言えば、「地方創生」や「一億総活躍」といった国内の経済政策をしっかり推進することが重要だ。日本において、このような経済政策を今後どのように進めていくのか、石原大臣にお伺いしたい。

石原伸晃内閣府特命担当大臣山田委員御指摘のとおり、自由貿易、通商条約あるいはこのTPPに代表されるような経済圏を共通なものをつくっていくことにより、輸出入の貿易量あるいは投資も増えることによって経済が活性化していく。これは過去の歴史を見れば明らかである。
そのような中で、委員の御指摘は、こういうものを使って、トランプ氏がアメリカ産業に危惧を持っているような状態をなくしていくために日本はどうするのかと。このTPPについても、メード・イン・TPP、再三議論のあったところであるが、その域内においては、自国の工場であっても他国に物を持っていくことが自由になる、そのことによって、地域にある、地方にある企業が外国に出ていく必要はなくなる、こういう海外展開のメリットはやはりあると思う。
そのような中で、それをこの日本全国に広げていく。現在この議論が進行中であり、TPPをめぐっても、再三出ている新輸出大国コンソーシアム、現在では2,252社の事業者の方々に支援を開始している。特にこの一か月間は、非常に多くの企業、農林水産業、加工業の方も含まれているが、300社の方々に支援をさせていただく。それだけ関心は高まっている。委員のお地元の北陸地方でも、金沢中心でございますが、173社御支援をさせていただいている。
今後とも、地方創生、一億総活躍といった経済政策とともに、TPPあるいは自由貿易圏構想を活用して経済再生、地方の創生につなげていくという委員の考えに私も賛同する一人である。

山田
どうもありがとうございました。


3.TPP参加国の首脳会合等について
(1)首脳会合の概要
山田
日本は、今回の一連の国際会議では、TPP協定の発効に向けて、大変な努力を重ねました。そのことについて伺いたい。
APEC(アジア太平洋経済協力会議)の会合に際して、19日にはTPP参加12か国の首脳会合が開催された。この会合では、①オバマ米国大統領から米国内の状況について、どのような発言があったのか、②日本として何を訴えたのか、そして、③どのような結果となったのか、出席された安倍総理にお伺いしたい。

安倍晋三内閣総理大臣
リマにおいてTPP首脳会合を開催した。オバマ大統領からは、TPPの重要性について今後も国内での理解を求めるべく尽力をしていくという発言があった。
私からは、我々が現状にひるんで国内手続をやめてしまえば、TPPは発効せず、保護主義を抑えられなくなる、そのような思いで日本は既に衆議院の議論を終え、現在参議院で審議をしているという話をした。と同時に、TPPについて、世界において、大企業、一部の大企業のみ利することになって中小企業やそこで働いている労働者の利益にはならないのではないかという批判の中で保護主義的な動きが高まってきているが、決してそのようなことはなく、中小企業にもそこに働いている労働者の方々にもしっかりと利益が均てんしていくはずである。そしてまた、そのような仕組みをそれぞれの国々が国内で構築をしていく必要があるという趣旨の発言をした。
また、各国の首脳からも、TPPの意義、そして私たちはそれをしっかり進めていこうという話があった。また、国内手続について進めていくという意思の表明がされたが、国際会議の場には、会議が始まる前に何人かでそれぞれ個別の話をする、立ち話等をするが、各国から、日本への関心は非常に高く、米国の状況があのような状況で、日本はどうするんだという話があった。その中で日本は、粛々と国内手続を進めていく、ここで私たちは意思をくじかれてはならないという話をした。今こそしっかりと、自由貿易の意義を発信する上においても、各国が国内手続を進めていくべきだと申し上げてきた。

山田
ありがとうございました。

(2)FTAAPへの道
山田
ペルーでのTPPの首脳会合で今のような話があった。そして、それに先立って、TPP交渉関係国の首席交渉官会議やあるいは各国の閣僚会議が行われ、各国の国内の状況等について話があった。聞いているところでは、各国もそれぞれ国内手続を進めていくという話があったという。
APECの会合の中では、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)という大きな経済圏をつくっていこう、準備を進めていこうという話が議論されている。
このFTAAPという経済圏、21の国・地域が参加する大変大きな経済圏である。この構想に至る道として、TPP、とRCEP(東アジア地域包括的経済連携)という二つの道がある。より高いレベルの経済連携という意味では、TPPの大事さ、将来FTAAPに行く道の一歩として、TPPは大事な協定ではないかと思う。その点が今回のペルーのAPECの会合では確認をされたのではないかと思っている。その点について、岸田外務大臣の考えを聞きたい。

岸田文雄外務大臣
一連の今回の会議においてFTAAP(アジア太平洋地域自由貿易圏)の重要性は再三確認されている。APECの首脳宣言の中でも、あらゆる形態の保護主義に対抗すること、そして、FTAAPを最終的に実現することが再確認されている。また首脳宣言とは別、にFTAAPに関するリマ宣言が採択されている。その中でTPP署名国による国内手続の完了に向けた努力が言及をされている。
また、私自身、APECの閣僚会議の方に出席したが、私の方からもFTAAP実現に向けた道筋であるTPP及びRCEPを着実に進展させることは不可欠である、こうしたことを強調し賛同する意見も多く出された。
このようにFTAAPへの道筋としてのTPPの重要性、今回のAPECにおける一連の会議において様々な形で確認をされていると認識している。

山田
ありがとうございました。FTAAPに行く道としてTPP、RCEPがあるが、レベルが高い経済連携としてTPPの意義は非常に大事であると思っている。


4.TPP協定の国内手続き

山田
TPP12か国のうちで国内手続の状況を見ると、ニュージーランドは国内手続を終了しているが、他の国はこれからである。今回のペルーでの様々な会合では、全ての国が国内手続を進めていくことを表明されたと理解している。
また、報道によれば、菅官房長官は、「トランプ政権スタート後も、日本が先頭に立って、TPPについて米国を説得していく」と述べたと伝えられている。
自由貿易を守っていくためにも、我が国としては、米国を引き続き説得し、TPP協定の国内手続は進めるという方針を変更すべきではないと思っている。このことを、安倍総理に再度伺いたい。

安倍晋三内閣総理大臣
確かにTPPをめぐる状況は、トランプ次期大統領の発言も受けて、大変厳しい状況になっている。しかし、TPPには、それ自体の意義とともに、まさに世界に自由で公正な経済圏をつくっていくという意義がある。台頭する保護主義に対して、それに歯止めを掛けていくという役割も担っているわけで、TPPには、例えば関税を下げていくということだけではなくて、知的財産の保護、そしてまた環境や労働に関する規制もある。そして、国有企業の競争条件の規律という側面もある。先ほど、RCEP、FTAAPの例を挙げていたが、今後できてくる様々な自由貿易協定の中におけるモデルとなるものとしなければならないと考えている。
トランプ次期大統領の発言はあったが、自由で公正な経済圏という旗を、自由民主主義国家第二位の経済大国である日本が下ろしてはならない、掲げ続けなければならない。言わばその役割を担っていると思う。そのような観点からもしっかりと御審議をいただき、我々は世界に対してこの意義を示すべきだと考えている。

山田
ありがとうございました。


5.外交政策の基本姿勢

山田
安倍総理の外交政策の基本方針、基本姿勢についてお伺いしたい。総理は、かねてより「地球儀を俯瞰する外交」と言っている。今回、APECは大変いい機会であり、オバマ大統領やプーチン大統領、そして習近平国家主席など多くの各国首脳と意見交換をされてこられた。
APECは太平洋を取り巻き、地球儀の半分ぐらいを占めるので、そのような意味で言えば、「地球儀を俯瞰する外交」という意味で今回大変有意義な会合が持てたのではないかと思うが、改めて総理の外交政策の基本的な考え方をお伺いしたい。

安倍晋三内閣総理大臣
日本の国益を守り、そして発展させていく上においては、地球儀を俯瞰する外交が不可欠であろうと考えている。その観点からも、世界の国々の指導者と胸襟を開いて話をする中において協力関係を進めていく。この観点から延べ100か国以上訪問し、今回のペルーAPECでは、太平洋を取り巻く21の国・地域のリーダーと一堂に会し、自由貿易の推進が重要であるとの確固たる意思を世界に示すことができた。オバマ大統領、プーチン大統領、習近平主席を始め多くの首脳と個別に会談を行うことができた。
今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考え方に立って、地球儀を俯瞰する観点から活発な外交を展開し、国益に資する外交としていきたいと、このように考えている。

山田
質問を終わります。ありがとうございました。