平成28年3月18日 地方・消費者問題特別委員会

3月18日、「地方・消費者問題特別委員会」が開催されました。今回は、大臣所信に対する質疑です。
下のテーマをクリックすると、そのテーマの質疑・答弁の該当箇所にとびます。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


1.地方創生に取り組む基本的方針と大臣の決意
2.「田園回帰」の動向と推進
3.政府関係機関の地方移転
(1)地方移転の実施地の選定
(2)継続的に推進すべき、「費用対効果」よりも長い目で見た「国の在り方」を
4.日本版CCRCの推進


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1.地方創生に取り組む基本的方針と大臣の決意
山田
自由民主党、石川県の山田修路です。石破大臣には、私が農水省で勤務していた時代に、様々な指導を頂き、特に、現場主義について指導を受けた。地方創生担当大臣として、地域を随分回って、石川県についてもコマツの話をしていただいたが、本当に感謝をしたい。
その現場主義について、前の質問者が、高齢者の買物難民の話をしていたが、私が公務員で農水省にいたときに、石破農林水産大臣から、「今は地方だけでなく、都会も買物難民がいる、大阪でも買物難民がいるんだ。昔は行商が来ていろいろ売ってくれたけど、もう売ってくれなくなった。これは大変な問題だから何か考えてくれないか。」という話を受けた。それで、その時の補正予算で「魚を加工・販売する小規模な施設・車」を助成する事業を創設したが、これは大変地域で喜ばれ、大臣の「知恵は現場にこそある」との考え方が、発揮された事業だったと思う。そこで、改めて、地方創生に取り組む基本的方向と大臣の決意について伺いたい。

石破大臣
私は、現場の方々に「本当にそうだね」と共感していただかないと、地方創生は絶対できないと思っている。委員が水産庁長官の時は、随分と無理なお願いもした。ですが、例えば私の鳥取市でも、昔は行商のおばさんが、はかり持って魚を売りに来てくれて、さばき方まで教えてくれたもので、子供心に強烈に印象に残っている。それが、小さなスーパーもなくなり、八百屋さんも魚屋さんもなくなった。それが、「中央の霞が関で仕事している人、本当に分かっていますか」ということだと思う。
地方の皆様方の納得と共感のない地方創生は意味がないもので、ですが、ややもすると諦め感みたいなものが地方にはないだろうかという思いがある。
この例も取り上げたかもしれないが、島根県の隠岐諸島の海士町、あるいは邑南町(おおなんちょう)は、実際に移住者がとても増えた、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の予想よりも高齢化比率は下になった、出生率が上がったというところがある。これは、衆議院の竹下予算委員長の言を借りれば、島根は行き着くところまで行ったからそれしかないんだという。だったら鳥取もそうかなという気もするが、やはり危機感というものと、負けてたまるか、消滅してたまるかというか、という思いを本当に共有することは、地方においても中央においても共同作業として大事なことだと思っている。できるだけ私も地方に出向くようにしている。石川県の小松の例もそうで、羽咋市の神子原集落にも行ってみた。そのような地域地域においてそういう取組は間違いなくある。点がまだ面になっていないけれど、密になりつつあって、それは委員の先生方が、地域地域にこんな例がある、これをもっと全国に広めることはできないか等々の御指摘をいただければ、私どもは更にその努力を深めて行きたいと思っている。

2.「田園回帰」の動向と推進
山田
島根県立大学の藤山先生の田園回帰についての著書を、私も、読んで刺激的な内容だと思った。このままでは、「地方が消滅してしまう」という議論が多い中で、「いやそうじゃない、田園回帰もある」。1%ずつ毎年やっていけば田園回帰が増えていって人口も安定的に維持できるという話だ。田園回帰という事柄について、何をもって「田園回帰」とするのかといった定義の話もあるが、政府として田園回帰をどのように捉えているのか。
また、「田園回帰」は量的には、大きなものでないという見方もある。私自身は、そのような動きを集落レベルで進めていくこと、息の長い活動で進めていくことが大事だと思うが、その辺についての考えを伺いたい。

石破大臣
田園回帰は、1970年代にイギリスから始まったものだと承知している。特にイングランドで田園回帰の動きが始まり、イギリスで農村部の人口の増加の方が、都市部よりも顕著であるというのは、実際に起こっていることである。それは、イギリス人は元々田園が好きということもあるが、日本人は田園が嫌いかというと、私はそうでもないと思っている。
イギリスにおける田園回帰と似たようなこととは言わないが、今、日本においても、若い方々が地方に移ろうという動きが着実に流れになりつつあると思っている。特に、移住女子という言葉があるのですが、若い女性の方々が地方に移り住むという例が随分と増えてきました。これは、新潟の長岡や、福岡県にもそのような例があるし、鳥取でも島根でもそうだが、そのような方が去年の暮れに移住女子サミットというのを東京で行って、私も参加をしたのですが、そこで言っていたことで感心したのは、3.11が物すごく彼女たちにとっては人生観が変わったと言っていました。要するに、お金を出しても並んでも物が買えない町って一体何なんだ、ということである。
やはり、価値観というのはお金だけではないのだと。本当に人間らしい生き方というのは地方にあるのではないか。そして、地方にそのような人たちが移り住むことによって集落が活性化する、果物とか野菜とか買ったことがないと言っていました。何か自分たちが一生懸命物を作って誰かに差し上げると、3倍、5倍の野菜が家に届くそうで、そして一人でも赤ちゃんが生まれるとそこの集落全体で良かった良かったという話になり、そしてみんながその子供を育てるのに協力してくれる。こんな価値観があるという話だった。
もちろん、人はいろんな価値観があるが、そのような価値観に対してきちんとした答えができるというのが地方移住だと思うし、田園回帰だと思っている。もちろん、甘ったるい話ではなくて、羽咋市に行ったときに聞いた話は、誰でも来ていいというものではない。来てくれたら百万円あげますとか、そんなものは最も駄目であると。「うちの村で一緒にあんた住む気があるんかい」という面接をされる。それは、戦時中の疎開で随分となじめなくてお互いに嫌な思いをしたのが原体験としてあるそうだ。田園移住というのは、単なる憧れではないが、それを確実な流れにするよう、また委員始め皆様方の知恵を貸していただきたいと思っている。

3.政府関係機関の地方移転
(1)地方移転の実施地の選定

山田
政府関係機関の地方移転については、平成27年度中に基本方針を策定し、28年度以降具体的な取り組みを実施する、としている。
答弁のやり取りの中で、大臣の、なぜその施設が、そこに必要なのか、適当なのかという視点が重要であって、それぞれ地域にいろいろな特色がある、という話の中に、石川県は文化もあるという話があったので、よかったと思って聞いていた。
石川県は、九谷焼、輪島塗、山中塗等あって、東京国立近代美術館の工芸館の移転を要望している。石川県は、文化、工芸等が盛んなので、工芸館の行き先の一つとして非常に有力な候補地ではないかと思いながら聞いていた。是非、そのような地域の特性と機関の特徴をよく考えて判断してもらえればと思う。

石破大臣
まだ最終的に決定をしているわけではないが、谷本知事からも、石川県の先生方からも、これがどのような意義があるのかということについて、熱心にかつ詳細な説明をいただいている。そのようなものを見ると、新幹線も走っているし、それが国内のみならず、海外にその価値が広がっていくことに大きな意味があると思っている。
石川県の皆様の言っていることは、よくよく私ども理解しながら最終的に答えを出して行きたいと思っている。

3.政府関係機関の地方移転
(2)継続的に推進すべき、「費用対効果」よりも長い目で見た「国の在り方」を

山田
政府関係機関の地方移転は平成28年度以降に具体的なやり方を決めて進んでいくわけだが、この地方移転は、地方創生の観点から極めて重要であり、今回の取り組みで一段落するのでなく、今後とも継続的に推進すべきと思う。
また、この地方移転については、「費用対効果」を考えるべきとの意見があるが、「費用対効果」で考えたのでは、一般的には、東京に集中していた方が、効率は良いという結論になりかねない。
地方創生という観点からの「政府関係機関の地方移転」については、短期的な「費用対効果」よりも、長い目で見た「日本国の在り方」という観点で判断すべきと思うが、どうか。

石破大臣
それなりの蓄積もあるし今のままがいい、と思っている人はたくさんいる。でも、そのようなことばかり言っていたら絶対に移転はできない。これまた財政法の決まりもあって、国の都合で移すのであれば、地方に負担を求めてはいけないということになる。
ただ、受け入れる側も、強制的に負担をさせるということではなくて、自発的にそれではそういうことであればということで、提供いただくものは拒むものではない。
だから、金があるところに行くのだろうと言われてしまうと、つらいものがある。そこにおいて費用対効果というのを、今の時点だけで見るのではなくて、10年、20年の期間を掛けて見ていかなければいけないと思う。
ただ、それが国民の過度な負担になってしまったり、あるいは行政の肥大化を招くというようなことには、心して臨まなければいけないと思う。費用対効果だけで見るということはしない。ただ同時に、国民の皆様方の負担が少ないようにということは、常に考えていかねばならないと思っている。

4.日本版CCRCの推進について
山田
日本版のCCRCについて、「中高年者が希望に応じて地方やまちなかに移り住み、多世代の地域住民と交流しながら健康でアクティヴな生活を送り、必要な医療・介護を受けることができるコミュニティづくり」と所信表明では記載している。私の地元の石川県では、「シェア金沢」 が例として取り上げられ、また、輪島市でも、取り組んで行こうとしている。少子高齢化社会において、有力な地方活性化策だと、私は評価しているので、是非これも推進していただきたい。答弁は結構なので、最後にお願いとしたい。