平成27年4月16日 農林水産委員会

4月16日、「農林水産委員会」が開催されました。今回は、競馬法改正案に対する質疑です。
下のテーマをクリックすると、そのテーマの質疑・答弁の該当箇所にとびます。なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質問事項】
1.競馬振興
(1)競馬振興に関する基本的な方針
(2)売得金の確保・増加に対するJRAの方針
(3)地方競馬の振興策
(4)来場者の増加策
(5)馬産地の振興
(6)馬主の拡大
2.今回の法改正
(1)海外競馬の勝馬投票券発売について
(2)競馬の監督権限の地方農政局への委任について


1.競馬振興

(1) 競馬振興に関する基本的な方針
山田
私の地元の石川県でも地方競馬、金沢競馬場がある。先日、主催者の方、馬主さん、調教師の方にも話を聞いてきた。金沢は今、北陸新幹線が通るようになり、これまで金沢競馬場は、関西の方や名古屋の方がきていたのだが、これからは関東の方もきていただけるようになると思う。是非、先生方もお時間があったらお願いしたい。
私自身も、競馬には農林水産省に在籍した当時からお世話になっている。平成19年の前々回の改正のときには、局長で審査を受けており、その10年前は競馬担当課長で、後藤中央競馬会理事長とも一緒に仕事をし、大変お世話になった。本日は、競馬振興という観点から質問をしたい。
競馬は国民の健全なレジャーで、北海道の日高や十勝では非常に重要な産業である。そのような意味で、地域経済にも非常に大事な役割を果たしている。特にJRAの売得金の1割以上は国庫納付されており、畜産振興や社会福祉に使われている。平成26事業年度でも国庫納付金は2,692億円である。大変大きな金額で、国家財政等にも寄与している。
このように、地域においても、社会経済的においても、競馬は非常に大事な産業だと思うが、大臣に競馬振興についての基本的な考え方を伺う。

林芳正農林水産大臣
局長も課長も御経験をされた山田委員にお答えするのも釈迦に説法のような感じがするが、競馬は、売上げの一部を財源として、馬の改良増殖と畜産の振興、国及び地方公共団体の財政にも寄与をしている。また、国民への健全な娯楽の提供といった役割も果たしている。
中央、地方合わせて5万人以上の競馬関係者、それから年間延べ9百万人の競馬場への来場者、このような方々による地域経済への貢献は大変大きいものがある、特に産地では競走馬の生産が地域経済の中心的な役割を担っている。
今後、人口が減少する、娯楽も多様化が進む、このような中で売上げを大幅に伸ばしていくことは難しいが、中央競馬と地方競馬の交流による魅力ある競走の開催等、中央競馬と地方競馬の連携を強化すること。若者や女性や家族連れ、観光客、このような方々が参加しやすいような環境整備を図っていく。このようなことを通じてファンの支持を得ることにより競馬がその役割を果たし、国際的な評価も高めながら、安定的に発展をしていく。農林水産省としても各競馬主催者の取組を支援してまいりたい。

山田
大臣から、ファンの支持を得ながらという話があった。全くそのとおりである。

(2)売得金の確保・増加に対するJRAの方針
山田
中央競馬の役割は非常に大事で、地方競馬の支援や、馬産地の振興でも大きな役割を果たしている。私が担当課長をしていた平成9年には中央競馬会の売得金がピークで4兆円を超え、農水省の予算よりも多い売上げがあったが、地方競馬はその前から下がってきていたが、平成23年には底を打ち、地方、中央とも、全体として見れば現在は上向きになっている。
中央競馬の売得金が増えていかないと、競馬振興のための様々な対策を実施できないのが現実である。ファンの支持を得ながら売得金を上げていくということが大事だと思うが、JRAの方針を伺いたい。

後藤正幸 日本中央競馬会理事長
JRAとしては、既存のお客様の参加促進に取り組む一方で、競馬になじみのない世間一般の方々にも参加していただくことが、売上げの確保あるいは増加に結び付くもの考え、身近で分かりやすく参加しやすい競馬を目指して様々な対策を講じている。
特にここ数年では、平成25年の第80回日本ダービー、平成26年のJRA創立60周年、そして今年は第60回の有馬記念、このような節目を利用した多角的な広報、プロモーション活動やジャパンカップなどの国際競走の盛り上げ、また、10月にフランスのパリで行われる世界最高峰競走の一つでもある凱旋門賞、これに日本馬の出走に関する情報発信などを行い、国際的なスポーツエンターテインメントとしての競馬の魅力の普及や話題喚起を図ることで、より多くの方々に競馬の魅力を伝えられるよう取り組んでいる。
そのほか、競馬場内でビギナーの方に競馬のイロハを学んでいただける競馬教室、女性のお客様が快適に競馬を楽しんでいただける専用エリア、ウマジョスポットと称しているが、このようなものを設置、運営するなど、きめ細やかなサービスの拡充も併せて行っている。
加えて、平成16年の競馬法改正で措置いただいた重勝式勝馬投票券、いわゆるウインファイブの発売、あるいは、平成24年の法律改正で措置していただいた払戻し率の弾力化施策などを活用、さらにはスマートフォンによる勝馬投票に対応するなど、電話、インターネット投票の利便性を向上させ加入促進を図るなど、幅広いお客様に競馬に参加していただけるよう努めている。
また、平成16年の法改正で措置いただいた委託制度を活用して、地方競馬施設における中央競馬の勝馬投票券発売、これを平成25年の3月から開始している。今年については、現在の45か所に加え、さらに3か所の開設を行うことで、お客様の参加機会の拡大が図られるよう取り組んでいる。
こうした様々な取組の結果、売上げはここ3年、前年を上回り、今年についても、これまでのところ売上げ及び競馬場の入場人員は前年を上回る堅調な成績を残している。
JRAとしては、今後もお客様を第一に、皆様に御満足いただけるよう、一層魅力ある中央競馬を提供し、売上げの確保及び増加に全力を傾けていきたいと考えている。

山田
どうもありがとうございました。

(3)地方競馬の振興策
山田
競馬振興のためには、中央競馬だけでなく、地方競馬が発展して、競馬の裾野が広がることが必要である。地方競馬の振興策を、どのように講じていくのか。農林水産省に伺うとともに、あわせて、JRAとしての地方競馬の支援について伺いたい。

小泉昭男農林水産副大臣
地方競馬の振興策は大事で、平成24年の競馬法改正で、29年度までこの措置期限が延長されている。日本中央競馬会からの交付金も活用し、これまで、地方競馬活性化事業において、重複開催の減少に資するナイター施設の整備、つまり昼と夜すみ分けをして重複しないようにする。
また、競馬番組の魅力向上のための地方競馬間や日本中央競馬会との交流競走やシリーズ化、それと地方競馬の投票集計システムを統一した地方競馬共同トータリゼータシステム、これは地方で一括管理をして、皆さんに参加しやすいようなシステムであるが、これと、中央競馬会インターネット投票サービスを用いた地方競馬の勝馬投票券の発売等を促進するための共同広報等の取組を実施してきた。これまで、これらの取組を通じて地方競馬の売上げの向上と各種主催者の経費の削減が図られ、地方競馬の収支の改善に寄与してきた。
今後とも、この改正で措置する海外競馬の勝馬投票券の発売等を通じて、日本中央競馬会が行う支援措置の安定的な財源確保を図りつつ、おかげさまで3年間売上げが伸びており、地方競馬活性化事業を着実に実行していき、競馬主催者間の一層の連携による地方競馬の振興を進めて行きたい。

日本中央競馬会理事長 後藤正幸氏
中央競馬と地方競馬は、特に平成3年の競馬法改正を契機として、交流競走面、相互発売面、施設整備面での連携、協調関係が構築されるとともに、平成16年及び平成19年の競馬法改正で新たなJRAからの資金支援策が措置されたところである。
この支援策で構築された、地方競馬共同トータリゼータシステムの活用により、平成24年の10月からは地方競馬の勝馬投票券をJRAの電話、インターネット投票を通じて発売することが可能となり、さらに平成25年3月からは地方競馬施設においてJRAの勝馬投票券を発売することが可能となった。
こうした連携、協調策の効果もあり、中央競馬、地方競馬共に売上げはここ数年堅調に推移している。
地方競馬については、全国で14の主催者が地域の特性を生かしつつ、それぞれ競馬を実施しているものと承知している。JRAとしても、多くの皆様に競馬の存在をアピールし、競馬そのものへの理解を深めていただくために、その存在は大切なものと考えている。
したがって、中央競馬と地方競馬との連携、協調策の実効を上げることが我が国の競馬産業全体の活性化につながるという観点から、JRAは今後とも引き続き必要な支援を行っていきたい。

山田
どうもありがとうございました。
副大臣からナイター施設の話があった。地方競馬もナイター施設を導入してきており、ナイターになると新しい競馬のファンも増えている。大井競馬場を例にあげると、サラリーマンの方や家族連れの方も来られ、地方競馬のイメージも変わってくる。

(4)来場者の増加策
山田
売上げが回復してきているという話があった。中身を見ると、電話投票やインターネットの投票が相当なウエートを占めており、入場者も若干増えてきている。ナイター競馬や中央競馬の競馬場へ行くと、その馬と人が一緒になって競技をしている臨場感がほかの公営競技にはない良さではないか。
インターネット販売で増えることもいいが、競馬ファンをしっかりと確保するためには、競馬場に来て見てもらい、躍動感を味わってもらうことが、一番大事ではないか。来場者を増やしていくことが中央競馬、地方競馬通じて必要なことであるが、この取組について農水省に伺う。

松島浩道農林水産省生産局局長
売上げについては増加傾向にあるが、競馬場への来場人数は中央競馬、地方競馬とも減少傾向に推移してきている。
将来にわたり競馬が安定的に発展していくためには、実際に競馬場に来ていただき、競馬の良さを知っていただくことが大事だと考えている。そのために、競馬場内に初心者のための競馬教室を設けたり、また女性エリアを設けるといったこともあるし、地方競馬についてはナイター競馬を実施することもある。さらに、観光客の来場を促進するために競馬場内に地元の農畜産物の販売施設を併設するといった取組も行われている。
このような各競馬主催者による取組を進めていただき、来場者の増大に向けて農水省としても助言、指導していきたい。

山田
どうもありがとうございました。

(5)馬産地の振興
山田
馬産地が弱体化している。10年前は、全国で8千3百頭のサラブレッドが生産されていたが、今は6千8百頭となっている。やはり競馬振興のためには、馬の生産を増加させる馬産地の振興に、そして経営をしている農家の方々の振興にもつながる。どのような振興策を講ずるのか。農水省に伺いたい。

中川郁子農林水産大臣政務官
私も、日高が90%以上の軽種馬の生産地であり、日高の隣に住んでいる者としてよく生産者の皆さんから話を聞いており、経営が大変厳しいという。この理由は、地方競馬主催者の撤退が多くあったこと、賞金額が引き下げたこと、馬主さんたちの購買意欲が低下をしていることが挙げられる。これに伴い、軽種馬の生産頭数が減少していることだと思っている。そのような面で本当に厳しい状況にあると認識をしている。
このような状況を踏まえ、日本中央競馬会の資金を活用した競走馬生産振興事業などにより、優良な種牡馬、繁殖牝馬の導入、先駆的な軽種馬生産施設の整備、軽種馬の海外販路拡大のための取組、市場上場馬の脚部レントゲン、上部気道内視鏡検査や馴致への取組、また負債の長期低利資金への借換えなどに対する支援を行うことにより、強い馬を生産できるような軽種馬生産構造の強化を推進してきたところである。
これら馬産地への支援対策と軽種馬生産者及び関係機関による経営改善に向けた努力と相まって、競り市場での上場馬の売却率が向上するとともに、低迷しておりました軽種馬の販売価格も平成23年から上昇に転じるなど、明るい兆しも見えているところである。
今後とも、中央競馬、地方競馬全体の活性化を通じて軽種馬に対する需要を高めていくことに加え、馬産地の関係者の皆様方の要望も踏まえて、競走馬生産振興事業などの馬産地支援対策を講じていき、馬産地の振興を図る。

山田
ありがとうございました。

(6)馬主の拡大
山田
馬主さんの減少も非常に大きい問題である。売得金の低下により、出走手当が下がり、賞金が下がり、馬主さんも馬を持てない状況にある。
馬主さんや競馬関係者の方からは、馬主さんを増やすような工夫ができないだろうかという話を聞いた。中央競馬、地方競馬とも馬主さんが相当減ってきている。馬主の拡大のため、様々な努力をすべきではないか。
例えば、1)馬主さんの所得制限について、地方競馬では全国一律に所得が5百万円以上という規定になっているが、大井で走らせるのと金沢で走らせるのではコストも違う。地域の経済事情も異なることから、所得制限が変わってもいいのではないか。今の仕組みでは、地方競馬全国協会が統一的にやっているので、なかなか難しい面があるかもしれないが、そのような問題。
2)中央競馬の馬主さんの場合、地方競馬の馬主登録を簡素化するといった工夫ができないか、このような点で馬主の拡大方策について検討すべきではないかと思うが、農水省の方針を伺いたい。

松島浩道農林水産省生産局局長
近年、馬主の登録者数が減少しているが、競走馬資源を確保するという観点からも馬主の登録者数の確保が重要な課題である。
現在、地方競馬全国協会では、新しい地方競馬の馬主を開拓するという観点から、所得制限について、5百万という水準設定があるが、仮にその所得制限に満たなくても十分な資産がある場合にはそれを受け入れるといった見直しも行われている。さらに、中央競馬の馬主さんの所有馬が地方競馬に円滑に移籍できるために、地方競馬馬主への登録審査手続の迅速化や、中央競馬の馬主さんが中央で登録する際に、併せて事前に地方競馬の馬主さんとして登録していただくことを指導する。このような形で様々な工夫をしながら馬主の裾野拡大に努めている。
現在、馬主登録審査手続の際に中央競馬と地方競馬が重複した手続があることもあるので、必要書類の簡素化など日本中央競馬会と地方競馬全国協会で検討中と承知している。引き続き、馬主の裾野拡大に向けた検討が進められるよう、政府として助言していく。

山田
どうもありがとうございました。
競馬の楽しみ方は、勝馬投票券を買うことが主だと思うが、その馬を所有することもある。個人で持たれる方、クラブ法人という形、組合で持つなど様々な所有の仕方がある。競馬の裾野を広げる意味から、いろいろな方法を考えていただき、馬主さんの拡大を進めていただきたい。


2.今回の法改正

(1)海外競馬の勝馬投票券発売について
山田
海外競馬の勝馬投票券の発売について、公正の確保、情報の提供をどのように行っていくのか。また、現実に海外競馬の勝馬投票券の発売がどのように行われる見込みなのか。

松島浩道農林水産省生産局局長
海外競馬の勝馬投票券の発売を可能にする仕組みは、まず、農林水産大臣がその対象となる海外競馬を指定するに当たり、公正性の観点から、我が国と同等の水準にあると認められる競馬の監督の制度により公正確保のための措置が講じられているものを指定する。
具体的には、外国の法令に基づき、外国の行政機関又はこれに準ずるものの監督を受けている競馬であることが必要。国際競走統括機関連盟の加盟国の競馬主催者が行う競走で、連盟で定められておりますパリ協約で定められた公正性の担保措置が講じられていることを勘案しながら、その公正確保が講じられているかどうかということを判断して行う。
海外競馬の勝馬投票券の発売は、外国馬を含めた馬の情報がファンに提供されることが重要。発売の認可では、日本中央競馬会などが海外競馬主催者などとの間で映像の提供を内容とする契約を結ぶことを確認させていただく。また、ファンに対して、勝馬投票券の発売の前に外国馬の情報が十分提供されるということも大事である。これは、日本中央競馬会等に対して指導、助言をしていきたい。
最後に、具体的にどの程度のレースが発売可能になるのか。国際競馬統括機関連盟の加盟国の競馬であることが必要で、さらに、G1レースなど国際基準に基いて格付けされた重賞レースを指定することを想定している。
具体的な数は、近年の国内競走馬が出走している実績が、年間平均20レース程度になっていることや、今後の国内競走馬の出走見込みなども勘案し、適切な範囲内で指定していきたい。

山田
どうもありがとうございました。
競馬ファンにとっては、海外競馬の勝馬投票券は魅力がある。私もフランスに勤務していたときに、凱旋門賞があって、中央競馬の馬も来たし、日本の方も見に来たりしていた。そのような意味で、競馬ファンにとっても非常にうれしいことではないか。是非、適正に行っていただきたい。

(2)競馬の監督権限の地方農政局への委任について
山田
今度の法律改正の中で、地方農政局に監督の権限を下ろすことになっている。私が課長をしていたときには、競馬監督課の職員が全国の競馬場へ行って監督業務を行っていたが、今度は地方農政局もやることになった。競馬の監督は大変なので、いいことだと思うが、一般の農水省の職員には、競馬監督の経験がないので難しい仕事だと思う。しっかりと、訓練と教育の配慮をお願いしたい。