平成27年3月26日 農林水産委員会

平成27年3月26日 農林水産委員会
3月2日、「農林水産委員会」が開催されました。今回は、3月19日の農林水産委員会での林芳正農林水産大臣の所信表明等に対する質疑です。
下のテーマをクリックすると、そのテーマの質疑・答弁の該当箇所にとびます。また、本文中の答弁者の下線は、配布資料の主な引用部分です。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。

20150326農水委員会


【質問事項】
1.農林水産行政の方針
(1)農林水産行政についての大臣の決意
(2)漁業・水産関連産業の振興を地域創生にむすびつけること
(3)新たな木材需要を創出し、定着させていくこと
2.TPP交渉
(1)TPP交渉の現状と交渉の見通し
(2)米国でのTPA取得の状況
(3)国会決議の遵守
3.地方創生
(1)農山漁村の振興の観点の地方創生への取り組み
(2)「小さな拠点づくり」の推進
(3)「小さな拠点づくり」を進める上で、農地振興法施行規則4条の4、26号の2の仕組みは有効
4.農地転用
(1)6次産業化のための農家レストランなどの転用
(2)市町村への権限移譲
5.米政策
(1)米の需給と価格の安定
(2)飼料用米の振興
(3)農家の方々に対するコメ政策の方向の説明
6.輸出振興
(1)農林水産物の輸出推進についての成果
7.農協・農業委員会改革
(1)農協改革における准組合員の利用制限
(2)農業委員、推進委員の任命等


1.農林水産行政の方針

(1) 農林水産行政についての大臣の決意
山田
本日は、通常国会の農林水産委員会第1回目なので、基本的な事項について質問をする。
林大臣には、まず「おかえりなさい」といいたい。昨年の9月、農林水産大臣を退任され、5か月でまた戻ってきていただき、ありがとうございます。農林水産行政に精通され、また大変安定感のある大臣なので、難しい時期の農林水産行政のかじ取りをよろしくお願いしたい。
この5か月間、自民党で税制調査会の副会長や農林水産戦略調査会会長などいろいろ活動されてこられたと思うが、また政府に戻って、これまでとは役所に対する見方や、農林水産行政に対する見方が変わったかなと思われるので、改めて農林水産行政に取り組む決意をお聞きしたい。

林芳正農林水産大臣
改めて、山田委員を始め委員会の皆様には世話になる。
5か月と少し党に戻っておりましたが、その間も党の農林水産戦略調査会長で、基本的には様々な農林に関わる事象にはタッチをしていたので、なるべく行政に切れ目が生じないよう、しっかりと務めてまいりたい。
基本的に農政に臨むスタンスは変わっていない。私が前にいたときに農林水産業・地域の活力創造プランを作らせていただいた。これが実行段階に入ってきているという認識で更に進めていきたい。需要フロンティアの拡大、生産現場の強化、そしてこれをつなぐバリューチェーンの構築、この三本柱の産業政策と、多面的機能の発揮を日本型直接支払等で行っている地域政策、これを車の両輪として今後も取り組んでいきたい。
このような取組を進めるために、必要となる法制度の見直しをこれまでも行ってきた。中間管理機構の創設や、経営所得安定対策の見直し等々行ってきたが、今国会では、農協法等の改正案も提出することになっている。
このようなことを実行していく時、現場とのキャッチボール、一度決めたことはもう決まったので変えることではないという姿勢ではなくて、常に政策に磨きを掛けていく、このようなことが大変重要な姿勢ではないかと思っているので、これを堅持しながら施策を着実に実行に結び付けていき、農林水産業、農山漁村を活性化させ、農林水産業を若者にとっても魅力のある産業に成長させるために努力を続けていきたい。

山田
どうもありがとうございました。

(2).漁業・水産関連産業の振興を地域創生にむすびつけること
山田
今ほど産業政策と地域政策は車の両輪という話があった。水産業、漁村においても同じだ。水産業をめぐる情勢は非常に厳しい状況にある。魚価安や漁業者の高齢化、船の船齢の高齢化など様々な問題がある。
一方で、水産業が発達している多くの市町村では、水産業や加工業など関連した産業がその地域の相当部分を占めているという状況がある。水産行政は、水産業の発達だけでなく、地域の活性化という点からも、大きな役割を果たしていくことが重要。まさに産業政策と地域政策がそれぞれ両輪として働かなくてはいけない分野だと思う。
そのような意味で、現在、「浜の活力再生プラン」の策定などを進めているが、水産業の振興にどのように取組むのか、お伺いしたい。水産行政として、地域創生、地域の活性化にどのように取り組んでいくつもりなのか。

小泉昭男農林水産副大臣
現在、全国の浜ごとの創意工夫の下で、漁業の所得向上等を目指す「浜の活力再生プラン」の策定、実行を推進している。「水産日本の復活」の目標をしっかりと捉え、生産体制の強化や構造改革に取り組んでいる。
水産日本の復活は農林水産業・地域の活力創造プランの中にこれも銘打っているが、農業や林業と異なり、我が国はかつて世界一の水産水揚げ高を誇る大国であった。現在でも多様な魚介類が漁獲されており、排他的経済水域等を考えると世界の第6位の豊かな周辺海域で、世界でも有数の魚食文化を有している。このような我が国が元々持っている強みを生かしながら、それぞれの浜に合った浜の活力再生プランをしっかりと作っていきたい。
これに加えて、1)資源管理の推進、2)担い手及び漁業の体質の強化、3)省コスト型の生産体系への移行、4)水産物の輸出の促進等の出口戦略の推進、これは重要なので、構造改革にもしっかりと取り組み、我が国の水産業の成長産業化を目指して、浜の活力を取り戻し、若者にも魅力ある産業となるように努めて行きたい。

山田
どうもありがとうございました。

(3).新たな木材需要を創出し、定着させていくこと
山田
森林・林業行政について、木質バイオマスやCLT(Cross Lamineted Timber)直交集成板など、新たな需要の可能性がこのところ注目を集めている。一方、森林資源は40年前の昭和50年頃と比べると約2倍の資源量になっている。まず、木を切り、木材を利用し、そして植えていくという循環を作り出すことが重要である。
そこで、新たな需要を掘り起こし、定着させていくための問題点と対応策について伺う。

小泉昭男農林水産副大臣
戦後植えた人工林は49億立方メートル、物すごい量があり、我が国では本格的な利用期を迎えている。この豊富な森林資源を循環利用すること、そして林業の成長産業化を実現することが重要な課題となっている。
このため、農林水産省としては、昨年6月に改定された農林水産・地域の活力創造プラン踏まえ、CLT(直交集成板)の、新たな製品の開発普及、公共建築物の木造化、木質バイオマスの利用促進等による新たな木材の需要を創出してまいる所存である。
さらに、事業者ニーズに応じた国産材の安定供給体制の構築も取り組んでいき、森林の整備、保全等を通じた森林の多目的機能の維持向上も積極的に推進していく。
木材の自給率について、平成25年は29%で、一番低かった平成14年は18%と比較すると、約10%向上をしている。林業従事者に占める35歳未満の若者の割合も、平成2年の6%であったが、近年は2割程度まで増加しており、明るい兆しも見え始めている。今後とも林業の成長産業化に向けて積極的に取り組んでまいりたい。

山田
どうもありがとうございました。


2.TPP交渉

(1)TPP交渉の現状と交渉の見通し
山田
国際交渉、特にTPP交渉が国内の農林水産業に与える影響は大変大きい。TPP交渉参加の際の秘密保持契約があり、状況を説明しにくいことは聞いているが、やはり国民にできるだけ情報を提供していくことは大事である。そこで、TPP交渉がどのような現状にあるのか、また今後の会合の予定等について伺いたい。

澁谷和久内閣官房内閣審議官
昨年の11月、北京で首脳声明が出され、終局が明確になりつつあるということであったが、その後、昨年12月ワシントンで、今年の1月末ニューヨークで、今回3月9日から15日にかけてハワイで、首席交渉官の会合が開催をされ、残された課題について精力的な協議が行われたところである。
まずは、ルールの分野について。まだ課題が多く残っているのは、知的財産、国有企業、投資、法的・制度的事項などであるが、ハワイの会合において、国有企業と投資についてはワーキンググループでの技術的な議論がかなり進んだ。知的財産はまだ各国の意見の隔たりが大きい課題が残っている状況である。
並行して、物品の関税、投資サービスの自由化に関する二国間の協議も随時行われた。これもまだ多くの国同士でセンシティブな案件が残っているという状況である。
今後、ルールの分野については、ハワイでの宿題を各国が持ち帰って検討を進め、その状況を見て、交渉官レベルでの調整を続けていくことになっている。また、二国間の交渉も、昨日ニュージーランドのグローサー大臣と甘利大臣が会談を行ったが、これも鋭意行うことになっている。
今後、いつ12か国の閣僚レベルの会合が開かれるのかとよく聞かれるが、現実的にはその前に首席交渉官レベルでの議論がまだ必要である。日程等は状況を見ながら今後判断され、現時点では決まっていない。

山田
どうもありがとうございました。TPP交渉は、まだかなりの問題が残っているようであるが、是非、我が国の国益が確保されるように、しっかり交渉をしていただきたい。

(2)米国でのTPA取得の状況
山田
TPP交渉にとってもう一つ重要なポイントがある。それは、アメリカのTPA、
(トレード・プロモーション・オーソリティー:貿易促進権限)を米国政府が議会から取得できるかどうかということである。米国政府がこの貿易交渉の十分な権限を持たないままで日本が米国と交渉合意をすることになると、交渉結果を米国議会が覆す可能性もある。そういうことは何としても回避をすべきことである。
そこで、米国内におけるこのTPAの取得の状況について伺いたい。

佐藤達夫外務省経済局審議官
TPA法案、貿易促進権限法案は昨年1月に米国議会に提出されたが、昨年12月の議会期終了をもって廃案となり、現在開会中の議会には現時点で新たなTPA法案は提出されていないと承知している。
米国の議会における法案提出の見込みや法案審議の見通しについては、政府として回答する立場にはないので、法案の提出をめぐり様々な報道がされているところ、引き続き動向を注視していく考えである。

山田
アメリカ国内でのTPAについて、状況がはっきりしていないということであるが、慎重に見極めて、このTPP交渉にも当たっていただきたい。

(3)国会決議の遵守
山田
このTPP交渉については重要5品目などの(衆)(参)の国会決議があるが、この決議を遵守して交渉に当たっていただくよう、再度大臣に確認をしたい。

林芳正農林水産大臣
TPP交渉においては、一昨年になるが、2月の日米共同声明において、全ての物品が交渉の対象とされること、それから我が国の農産品にはセンシティビティーがあり、最終的な結果は交渉の中で決まっていくことが確認されている。このような経緯も踏まえて、衆参両院の農林水産委員会において重要5品目などの再生産が可能となるよう、それらの品目の確保を最優先することなどが決議されたと承知している。
改めて農林水産大臣という重責を担うことになったわけであるが、TPP交渉に当たっては、この決議が守られたとの評価をいただけるよう政府一体となって全力を尽くす考えであり、これは何ら変わっていないところである。

山田
確固たる決意を示していただき、ありがとうございます。


3.地方創生

(1) 農山漁村の振興の観点の地方創生への取り組み
山田
私の地元の石川県では、新幹線の開業が3月14日の土曜日に行われ、金沢は大変観光客でにぎわっている。東京から2時間半ということで、是非、皆さんにも北陸に来ていただきたいと思っている。
地方創生のためには、金沢のような中核的な都市の整備は非常に重要だと思うが、それだけでは不十分である。石川県の場合では、能登半島や白山の山麓、南加賀地方もある。こういった周辺の地域の活性化も重要である。
そこで、地方創生という観点から、農山漁村の振興にどのように農水省として取り組むのか伺いたい。

佐藤英道農林水産大臣政務官
地方創生を進めるためには、農山漁村の活性化を図っていくことは極めて重要であると認識をしている。このためには、農山漁村において、豊かな地域資源を活用した農林水産業の振興や6次産業化等を進めることにより、地域の雇用、所得を確保するとともに、住民の生活に必要な機能、サービスが維持されるよう、基幹となる集落への機能の集約と周辺集落とのネットワークの形成を図ることが重要であると考えている。
このために、私どもとしてはこうした視点に立ちながら、関係府省と連携をしており、農山漁村の活性化に向けた施策の推進にしっかりと努める所存である。

山田
どうもありがとうございました。今の石川県の状況は、金沢はにぎわっているが、それが更に周辺の地域に及んでいくことが大事である。

(2)「小さな拠点づくり」の推進
山田
よく「人口のダム」という話がある。金沢のような中核的な都市の整備をして、人口の流出を抑えていくことであるが、能登半島、白山山麓、南加賀といったところでは、「人口のダム」というよりもむしろ、「ため池」、つまり、人口の流出を抑えていく「小さな拠点」をつくっていくことも、とても重要である。
この「小さな拠点づくり」については、地域再生法の改正など準備されていると思っているが、今後どのように取り組むのか、内閣府に伺いたい。

新井毅内閣府地方創生推進室次長
昨年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと総合戦略」において、その柱の一つとして、時代に合った地域をつくり安心な暮らしを守ることが掲げられている。
農村地域においては、「小さな拠点」をつくっていくことが重要であると認識している。具体的には、複数の集落を含む生活圏、小学校区程度の広がりのものを想定しているが、この生活圏において、診療所、集会施設、商店、ガソリンスタンドといった生活に必須のサービスを集約することで、そこに行けば歩ける範囲で必要なものが手に入る、地域の人との交流もできる、そのような施設配置へと誘導するとともに、あわせて、拠点と周辺集落をつなぐコミュニティーバスあるいはデマンド交通といったものを運行することによって、移動手段を維持確保することを同時に進めるということが重要だと考えている。これを「小さな拠点の形成」といっているのであるが、地方におけるこうした取組に対して、各省の補助事業や、今回補正予算で創設した地方創生先行型交付金あるいは地域再生戦略交付金などによって支援することとしたい。
また、「小さな拠点の形成」を進めやすくするための措置を盛り込んだ地域再生法の改正案を3月24日に国会に提出したところである。速やかに審議し、成立させていただきたいと思っているが、これらによって地域住民参画の下で「小さな拠点づくり」を進めていきたいと考えている。

(3)「小さな拠点づくり」を進める上で、農地振興法施行規則4条の4、26号の2の仕組みは有効
山田
この「小さな拠点づくり」は極めて大事だと思う。この「小さな拠点」をつくっていくときに農地の転用と農地保全の調和という問題が出てくる。そのような観点から、農振法施行規則の4条の4、26号の2、「26号の2計画」と呼ばれているようであるが、市町村が条例を作って農地として守るべき区域と転用を誘導すべき区域、これを分けて整備をしていく仕組みである。大変有効な仕組みだと考えている。
この実績はどうなっているのか、また農林水産省としてどのように評価しているのか伺いたい。

三浦進農林水産省農村振興局長
「26号の2計画」は、市町村の条例に基づく地域の農業の振興に関する計画である。これは、地域住民の意見も踏まえて、対象地域を農用地として保全利用すべき区域とそれから非農業的な土地利用を予定する区域とに区分することによって、優良農地を確保することと併せて、農地転用事業を計画的に誘導する仕組みである。平成15年の農業振興地域の整備に関する法律施行規則の改正によって設けられたものである。制度を導入してからこれまでに3つの市、町で条例が制定されており、このうち2つの町において条例に基づく計画が作成されているという状況である。
「小さな拠点づくり」と本制度との関係については、住民への生活サービス等の機能の集約に係る土地需要を、本制度の非農業的な土地利用を予定する区域、非農用地予定区域、この区域に誘導する形でこの制度を活用することが可能であると考えている。

山田
ありがとうございます。是非、この制度も活用できる地域があれば活用していただき、農地の保全と拠点の整備を並行して進められるようにしていただきたい。


4.農地転用

(1)6次産業化のための農家レストランなどの転用
山田
地方創生の一つの方策として、農林水産業の6次産業化がある。この6次産業化を進める上で、農家レストランなど、施設の整備が必要となる場合がある。この場合の農地転用については、国家戦略特区法により特例的に認める場合があるが、6次産業化を進めるという観点からも、この仕組みを全国展開するなど、柔軟な取り扱いを進めるよう願いたい。その検討状況について伺いたい。

三浦進農林水産省農村振興局長
農家レストランについては、農業の6次産業化を推進して農家の所得や雇用の増大、農村の活性化等を図るといった観点から、地域における取組を進めていくことが重要である。
他方、農家レストランを、いわゆる農振、農用地区域内に設置できる農業用施設として位置付けることについては、従来の農業用施設の考え方を拡大するものであることから、まずは国家戦略特区において農家レストランの農用地区域内への設置が認められるように措置した。
全国展開については、本年1月30日に閣議決定した平成26年の地方からの提案等に関する対応方針、これを踏まえて、その活用事例について可能な限り速やかに効果を検証した上で対応を検討することとしている。

山田
農業用施設として転用を認めるかどうか、一つの基準があるということだが、6次産業化を進めていくと、農業以外であっても自分の農家の方が所得を上げるために必要な施設はあるのであって、そこに余りこだわっていると6次産業化の障害になりかねない。今は特例的に行っていることであるが、是非ともよく検討していただいて、本当に農家の所得が上がるようなもので、うまく農業的利用と調整できるということを確保しつつ、やはり6次産業化の障害にならないような対応を願いたい。

(2)市町村への権限移譲
山田
今回の国会の法律改正で、地方分権の観点から、農地転用の許可権限を農水大臣が指定した市町村に移譲(委譲)することができるように準備を進めているようだ。この指定市町村には権限を公正かつ適切に使ってもらう必要がある。
公正、適切な農地転用行政ができるよう、この市町村の指定の基準は、できるだけ明確にし、しっかりした市町村が指定されるようにすべきである。これは法案の審議の際に国会でも議論されることと思うが、その点について伺いたい。

三浦進農林水産省農村振興局長
今般の地方分権改革における農林水産大臣が指定する市町村への農地転用許可権限の移譲については、1)市町村の申出を受けて、農地転用許可制度等を基準に従って適正に運用すると認められること、2)農地転用許可制度等に係る事務処理体制が整っていると認められること、3)優良農地の確保に係る適切な目標を定めていることなどの基準を満たす、4)農地の確保に責任を持って取り組んでいただけるような市町村を指定することを基本に考えているところである。
指定の基準については、今後、学識経験者や地方公共団体関係者等から成る検討会を立ち上げて検討することとしており、できる限り具体的、明確なものとなるように検討を進めていきたい。

山田
ありがとうございます。この制度については、地域の中には、権限をもらえれば、自由に転用ができると誤解をしている向きもあるので、そこはしっかり、ちゃんとした市町村でないと指定できないことを、ルール作りをするとともに、周知徹底もお願いをしたい。


5.米政策

(1)米の需給と価格の安定
山田
昨年産の米の価格、JAからの概算金などが大きく低下した。作況、在庫などの影響で米の価格が変動するのはやむを得ないことだが、大幅に変動することになると、農家の方のみならず、米の実需者の方にとっても望ましいことではない。
できるだけ安定した価格形成になるように、仕組み、取引のルールをしっかり構築していく必要がある。そこで農林水産省での検討の状況について伺いたい。

松島浩道農林水産省生産局長
米の需給と価格の安定については、まずはその需要に応じた生産を行うということが基本だろうと考えている。米については、毎年作柄の変動があるので、その結果として、その供給量が変動し、価格が変動するという実態がある。生産者また実需者には一定の幅の中で価格や供給量が安定してほしいという思いがあるので、そういったものにも対応するために、播種前契約や複数年契約を進めて安定取引を拡大していくことが大事だろうと考えている。
このために、農林水産省では、昨年12月から、米流通に係る川上、川下の取引関係者で米の安定取引研究会を開催しており、今後、米の安定取引をどう進めていくのかについて現在議論していただいている。
政府としても、27年度当初予算案において、そのような作柄による供給変動にも対応するという観点から、産地であらかじめ生産者が積立てを行っていただいた上で、仮に需給が緩和した場合など、産地において自主的に長期計画的な販売や輸出用などの他用途への販売を行う場合に支援するという事業も措置するところである。
また、この安定取引研究会については、今月末に取りまとめることになっているので、その取りまとめ結果を踏まえて具体的にどのような対策が必要なのか検討した上で今後とも米の需給と価格の安定を進めて行きたいと考えている。

山田
ありがとうございます。まさに作況の変動によって大幅な価格変動で農家の方や実需者の方ができるだけ影響を受けないようなルール作り、取組を進めていただきたい。

(2)飼料用米の振興
山田
中・長期的にみると、主食用のコメの消費が毎年8万トン程度減少している状況にある。消費拡大の努力は重要であるが、それだけで需要が大きく増えるというのは、実際には難しいと思う。
このような意味で、非食用の用途向け、特に飼料用米の生産を増やしていくことで水田の耕作放棄地化を防いでいくことも極めて重要である。政府として飼料用米の振興をどのように進めていくのか伺いたい。

佐藤英道農林水産大臣政務官
我が国においては主食用米の需要が毎年8万トンずつ減少している中、需要に応じた生産を進めるとともに、水田のフル活用を図るため、主食用米から需要のある飼料用米など主食用米以外への転換を進めていく必要があると考えている。
飼料用米の需要につきましては、27年産につきましては、畜産農家から新たに4.4万トン、飼料会社から約100万トンの需要が示されているところである。また、中長期的には、日本飼料工業会から、価格等の条件が整えば約200万トンの使用が可能との発表があるなど、更なる需要が見込まれているところである。
このため、農林水産省としては、飼料用米などの生産拡大に向けて、まず1点目に、水田活用の直接支払交付金を充実し、数量払いの導入などインセンティブを高めること、2点目に、利用拡大が見込まれる多収性の専用品種の種子について必要量を確保すること、3点目に、耕種側におけるカントリーエレベーターの整備や、畜産側や配合飼料工場における加工、保管施設等の整備に対して支援するなどの措置を講じてきたところである。
引き続き、農業者の方々が安心して飼料用米などの生産に取り組むことができるよう、新たな食料・農業・農村基本計画においてもこの飼料用米など戦略作物の生産拡大を位置付けて、その達成に向けてしっかりと必要な支援を行っていく。

山田
飼料用米の生産振興、極めて重要でございますので、よろしくお願いをしたい。

(3)農家の方々に対するコメ政策の方向の説明
山田
農家の方々のお話を聴くと、将来の米作り、どのようにやっていったらいいのか分からないとか、あるいは特に政策がどのように変わっていくのか、また、飼料用米の政策をいろいろやってもらっているけれど、いつまで続くのだろうかと、こういった不安の声をよく耳にするところである。
もうすぐ新たな食料・農業・農村基本計画も策定をされるので、そこでまた飼料米についても打ち出していただけると思うが、このような新しい基本計画も踏まえて、今後のコメ政策の方向を農家の方々にていねいにわかりやすく説明すべきである。農家の方々が自分の経営を考える上でも、このような情報は重要で、米の生産が適切なものに移行していく上で大事なことだと思う。
今後、農家の方々に対するコメ政策の方向の説明をどのように行っていくのか、方針をお伺いしたい。

佐藤英道農林水産大臣政務官
米政策の見直しについては、これまでは行政が生産数量目標の配分を行ってきたところであるが、平成25年12月に農林水産業・地域の活力創造プランを決定して、平成30年産を目途に、行政による配分に頼らずとも農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるよう環境整備を進めることとしているところである。
今月中に新たに策定される予定の食料・農業・農村基本計画においても、今後10年ほど先までの施策の方向等を示す中で、米政策改革の着実な推進と飼料用米等の戦略作物の生産拡大を明確に位置付けているところである。
その中で、1)飼料用米、麦、大豆等の戦略作物について、品目ごとの生産努力目標の確実な達成に向けて不断に点検しながら生産拡大を図ること。2)中食、外食等のニーズに応じた生産と安定取引を一層推進すること。3)県産別、品種別等のきめ細かい需要・価格情報、販売進捗・在庫情報を提供するなどによりまして需要に応じた生産を推進するとともに、優れた生産装置である水田をフル活用し、食料自給率、自給力の向上を図ることとしているところである。
今後、米政策の見直しについては、内容について基本計画の周知の機会も活用して丁寧な説明を行っていくとともに、その具体化に向けて現場とキャッチボールしながら地域の実情に応じてきめ細かく対応して行く決意である。

山田
ありがとうございます。例えば基本計画の周知であっても、米農家向けに、米についてはこのようになりますよとか、また、基本計画だけではなく、ほかの政策も併せて、農家の方が分かりやすい形で提示をするような努力をしていただきたい。


6.輸出振興

(1) 農林水産物の輸出推進についての成果
山田
輸出振興について、地方創生を図るためには、農林水産物・食品の輸出促進が極めて重要である。政府として目標を決め、輸出戦略実行委員会をつくりながら進めているわけであるが、これまでどのように進んでいるのか、どのように評価しているのかについて伺いたい。

櫻庭英悦農林水産省食料産業局長
これまでの農産物、食品の輸出拡大については、平成32年に輸出額目標1兆円を掲げているところである。また、その達成に向けて、昨年6月には輸出戦略実行委員会を創設して官民一体となって取り組んでいるところである。また、輸出戦略に当たっては、放射性物質の係る食品の輸入規制の撤廃の働きかけも政府を挙げて取り組んでいる。
これらの結果、水産物、加工食品を始め、牛肉、米、お茶など日本各地の代表的な食品の輸出が軒並みに増加し、平成26年合計で見ると、基準年である平成24年と比べて36%増、過去最高の6千117億円と、初の6千億台に達したところである。このように、これまでの輸出戦略に基づく様々な取組は着実に成果を上げてきている評価している。

山田
どうもありがとうございます。輸出も大変進んできているということで、これまでの努力に対して敬意を表したい。
特に、原発の事故の結果、相手国からすると、日本の農産物あるいは食品の輸入について、禁止をしたり、検査を義務付けていることもある。まだかなりこのような規制が残っていると理解をしている。これは原発事故に名を借りた非関税障壁であって、大変憤りを感じる。この件についても努力をお願いしたい。この質問はまた機会があればさせていただきたい。


7.農協・農業委員会改革

(1)農協改革における准組合員の利用制限
山田
最後に、要望をしたい。農協・農業委員会などの改革は、現在法案が準備されており、いずれ、当委員会で審議されることになろうが、法案作成に当たって、幾つかお願いをしておきたい。
一つは、准組合員の利用規制、利用制限のことである。農協の組合員でない方も農協を利用して生活をされている方が多数いる。その准組合員の農協の利用規制については地域の活性化という観点から、慎重に検討していただきたい。
それと、農協の役員、理事について、認定農業者などの担い手が一定の割合を占めるようにしていきたいという考え方がある。この方向はそれでよいと思うが、やはり認定農業者が少ない地域もあるので、地域の方が困らないように、現実的な、実態に合ったルールづくりを願いたい。

(2)農業委員、推進委員の任命等
山田
農業委員会についても、農業委員のほかに、農地利用最適化推進委員(仮称)を任命していくことになっている。その際に、やはりその認定農業者が一定の割合でなくてはいけないという規制も設けていくことになっている。また、地域の推薦、公募という仕組みも取り入れようということであるが、やはり選任していく過程でその定数に満たない場合、定数を超える場合、認定農業者の数を満たせない場合、いろんなケースが出てくると思うので、その辺について、地域の人が困らないようなルールづくりを是非お願いしたいと思う。
また、農業委員の方の話を聞いていると、この農業委員と新しく農地利用最適化推進委員と二つに分かれるが、地域によってはこれまで一緒に農業委員として流動化の仕事をしてきた、それが分かれてしまうのは非常に仕事がしづらいといっている地域の方もいるので、その仕組みは仕組みとして、弾力的に地域がうまく活動できるようなルール、現実に応じた運用というのも検討していただきたい。
これはまた、いずれ法案が出てきた段階でこの委員会でも議論をしていただく事項だと思うが、あらかじめお願いをして、私の今日の質問とさせていただく。本日はどうもありがとうございました。