平成26年6月17日 農林水産委員会

6月17日、農林水産員会で質問に立ちました。案件は、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)に関するものでしたが、6月13日に、規制改革会議より「規制改革に関する第2次答申」が公表されたので、その中の「農業分野(56~62頁)」についての質問も行いました。
その後、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)はその場で、参議院農林水産委員会で可決、6月18日に参議院本会議で可決され、6月25日に公布されました。

下のテーマをクリックすると、そのテーマの質疑・答弁の該当箇所にとびます。また、本文中の答弁者の下線は、配布資料の主な引用部分です。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質疑事項】

1.「規制改革に関する第2次答申」農業分野について
(1).農協関係
農協改革について
准組合員の見直しについて

(2).農業委員会関係
農業委員の選任について
農業会議、会議所の指定法人化について

2.特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)について
(1).地理的表示制度の普及つい
(2).「地理的表示」と地域団体商標の活用について

【参考資料】(pdf)
※ ※6月13日規制改革会議「規制改革に関する第2次答申~加速する規制改革~」、「農業分野(56~62頁)」抜粋(赤線は山田議員の引用部分)


1. 「規制改革に関する第2次答申」農業分野について

山田

法案に先立って、農協改革等についてお伺いしたい。
先週の金曜日6 月13 日に規制改革会議の報告、第2次答申が出された。今後、実行計画として閣議決定し、実施していくことになると思う。閣議決定前なので答えにくい点もあると思うが、本日は大きな方向性について伺いたい。
5 月14 日に規制改革会議の農業ワーキング・グループより報告が公表された。この報告は、農業・農村の実情を踏まえない問題が多いもので、その問題点については、5月22日の本委員会で指摘をした。
先週末に公表された規制改革会議の第2次答申では、与党や関係団体との調整を行い、前の農業ワーキング・グループの報告を相当程度修正されたものとなっている。どのような組織形態にするか等の点について、関係者に選択肢を示して、関係者が選択できるようにするなど、評価できる点も多々あると思っている。
今後その実施に当たっての大きな方向性について伺いたい。


1. 「規制改革に関する第2次答申」農業分野について
(1)農協関係
①農協改革について

山田
農協中央会については(配布資料の60頁 アにあるように)「適切な移行期間の後、自律的な新たな制度に移行する」とし、「新たな制度は、農協系統組織内での検討も踏まえて」結論を得るとしている。また、全農や経済連についても、規制改革会議の報告(資料の60頁 イにあるように)「株式会社化を前向きに検討するよう促す」としている。
しかし、大事なのは、系統組織内で自分たちがどうすべきなのか、十分検討し、自ら取り組むことである。国の方針を押し付けるのではなく、系統組織内の議論を尊重し、自発的・自主的な改革を促していくという姿勢が重要を思うがどうか。

林芳正農林水産大臣
この農協の見直しは、与党において、農業、農村の発展のために熱心な議論をもらい、10日に、農協・農業委員会等に関する改革の推進について取りまとめた。13日に、規制改革会議からの答申が出された。
この与党の取りまとめ、規制改革会議の答申においては、中央会制度については、現行の制度から自律的な新たな制度に移行し、新たな制度は単位農協の自立を前提とし、農協系統内での検討を踏まえて結論を得ると、このようにされた。
また、全農等の株式会社についても、独禁法の適用除外に係る問題の有無等を精査し、問題がない場合には株式会社を前向きに検討するよう促す。いずれも事業、組織の見直しについて農協系統組織が自主的に検討する、これが基本となっているものと考えている。
農林水産省としても、与党における取りまとめ、規制改革会議の答申を踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プラン、これに適切な改革の方向を盛り込んだ上で検討を深めていくことになるが、その際、農協系統組織の考え方もよく聴取した上で適切に検討していきたい。

山田
是非、農協系統組織内の議論を十分踏まえて対応していただくようにお願いをしたい。


1.「規制改革に関する第2次答申」農業分野について
(1)農協関係
②准組合員の見直しについて

山田
もう一つ、「准組合員の事業利用」について(配布資料61~61頁 カ)である。地域によっては、地域で生活していく上で、必要なサービスを提供しているのは農協だけという所も多くある。このような地域において、「准組合員の利用制限」をむやみに課すことは、住民の生活の基盤をうばうおそれがある。
今後、閣議決定がなされば、「一定のルールを導入すること」となるが、地方の生活の実情を踏まえ、地方の方々の生活基盤を維持できるようなルールを作るなどの対応が必要であると思うがどうか。

奥原正明農林水産省経営局長
農協の准組合員の問題については、与党の取りまとめ、規制改革会議の答申において、農業者の協同組織としての性格を損なわないようにするため、准組合員の事業利用について、正組合員の事業利用との関係で一定のルールを導入する方向で検討をするといった提言がされている。
農林水産省としては、今後、与党の取りまとめ、規制改革会議の答申を踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プランに、適切な改革の方向を盛り込んだ上で検討を深めていくことになる。
この准組合員の事業利用については、農協は農業者の協同組織であるので、農協の事業利用も正組合員たる農業者が主になるのが自然な姿とは思っている。一方で、高齢化、過疎化が進む農村において、地域住民の生活のインフラとしての役割を果たしているのも事実である。こういった実態も踏まえて、適切に検討していきたい。

山田
地方にとっては、農協はインフラという側面が非常にある。その点を考慮して、農協改革も地域住民の方が不便に感じないようにやっていただきたい。


2.農業ワーキング・グループの提言について
(2)農業委員会関係
①農業委員の選任について

山田
農業委員の選任(配布資料57頁 ②ア)であるが、「選挙制度を廃止し、市町村長の選任制とし、市町村議会の同意、地域からの推薦・公募等を行えることとする」としている。
農業委員会は、農地等の権利移動について、許可を行うなど極めて重要な役割を担っており、公平・公正な人物が選ばれるようにする必要がある。
今後、「市町村長の選任制」の具体的な内容を考えるに際しては、「公平・公正な人物が選ばれた」とみんなが理解できるような仕組みを作って行く必要がある。どのような方針で臨まれるのか、伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
与党の改革案および規制改革会議の答申では、農業委員の選出方法につきまして、適切な人物が透明なプロセスを経て確実に就任するようにするために、選挙制度を廃止するとともに、議会の推薦や団体の推薦による選任制度も廃止をしていくことになっている。
市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制度に変更をすることになっており、その際、事前に、地域からの推薦や公募等を行えることとしている。
この与党の改革案と規制改革会議の答申を踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プランに適切な改革の方向を盛り込んだ上で、法制化を検討する際には、農業委員が公平公正に選任される制度となるように検討していきたい。

山田
農業委員さんは誇りを持って仕事をしている。是非、そういった人が自信を持って仕事をできるような選任方法を考えてもらいたい。


1.「規制改革に関する第2次答申」農業分野について
(2)農業委員会関係
②農業会議、会議所の指定法人化について

山田
都道府県農業会議、全国農業会議所の見直しについては(配布資料58のエにあるが)、依然として理屈が良くわからない。「農業委員会の自主性・主体性」を「農業会議・会議所」が阻害しているかのような記述であり、説得的でない。
農業会議、全国会議所の役割を見直すのは必要であるが、特に私が心配をするのは、「指定法人化」していくという記述である。「指定法人化」することは、指定する対象となる母体の法人をどのように形成または組織化するのか大きな課題である。
都道府県の農業会議や全国農業会議所は財政的な基盤も脆弱で、その母体となる法人の設立や形成についてしっかりと支援をしていかないと、指定法人にするための指定ができないことになりかねない。考えを伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
与党及び規制改革会議の答申では、都道府県農業会議、全国農業会議所について、農業委員ネットワークとしてその役割を見直し、農業委員会の連絡・調整、二つ目には農業委員会の業務の効率化・質の向上に資する事業、そして三つ目に農地利用最適化の優良事例の横展開等を行う法人として都道府県・国が法律上指定する制度に移行するとしている。
今後、農林水産省としては、与党の改革案と規制改革会議の答申を踏まえて、農林水産業・地域の活力創造プランに適切な改革の方向を盛り込んだ上で、法制化を検討する際には、指摘された支援も含めて、都道府県農業会議、全国農業会議所が円滑に新制度に移行できるようにしっかりと検討していきたい。

山田
今日は、農協、農業委員会の関係の改革について質問した。今質問した以外にも様々な問題がある。今後、更に具体化をしていくことになると思うが、この農林水産委員会の場でも議論をしていきたいと思っている。


2.特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)について
(1)地理的表示制度の普及ついて

山田
本法案については、農水省をはじめ、農林水産関係者にとっては、長年にわたる課題であった。農林水産省在職中、私自身も、地理的表示制度の検討に携わったことがある。この法案については、EPA等の交渉に関連して、EUや米国との調整が必要であったり、権利の性格付け、商標との関係の整理など立法技術的に難しい問題も多い。農水省はこれらの問題をクリアしてこのように法律の形にしたということで、大変その点は評価をしている。
この制度は、農林水産物のブランド化に大いに役立てていくべきである。そのためには、その普及を積極的に行うともに、国においても、予算・組織の整備をしっかり行うべきと思うが、大臣の見解を伺いたい。

林芳正農林水産大臣
この本制度の着実な定着と活用を実現するためには、この制度の十分な周知と不正使用への厳格な対応を通じて信頼の確保をしていくことが大事だと思っている。
制度の周知は、生産者、生産者団体等が本制度を十分に理解して活用してもらえるように、今年度は、知的財産の総合的活用の推進事業の一環として、品質管理基準の策定、マーケティングの確立等への支援を行うこととしている。来年度以降も適切な支援を行えるように、概算要求に向けてしっかりと検討していきたいと思っている。また、小売流通業者や消費者に対して、地理的表示マークの周知を行うなど、施行に向けて準備をしていきたい。
不正使用への対応は、関連する情報を受付けて、機動的に対応を行う通報窓口を設けるとともに、立入検査等の現場の対応を、農林水産省の地方出先機関である地方農政局、北海道農政事務所が行う方向で検討しており、効率的で実効性のある体制の整備をしっかりと図っていきたい。

山田
是非、この法案ができた暁には、この制度が本当に地域に喜ばれるように、また、今話があった様々な対応が農水省や国でできるように、組織、予算の対応をお願いしたい。


2.特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)について
(2)「地理的表示」と地域団体商標の活用について

山田
特に、商標法の地域団体商法の登録がすでに550件以上あり、そのうち、農水産物・食品は288件となっている。今後、この法律による「地理的表示」と地域団体商標の双方をうまく活用して、地域ブランド化を推進していくべきと考えるがその方針について伺いたい。

山下正行農林水産省食料産業局長
指摘のとおり既に地域団体商標制度がある。本法案に基づくこの地理的表示保護制度は、地域団体商標制度と比較して、地域の特性と結び付いた一定の品質基準を満たした産品だけが表示を使用できること、産品の使用が特定の団体及びその構成員に限定されないこと、不正使用表示への対応を国が行うこと、このような点が大きく異なっている。
このため、ブランド産品の名称を地域の共有財産と位置付ける場合には、地理的表示が、一つの生産者団体のみが名称を独占することになじむ場合には、地域団体商標制度が、それぞれ選択されることになると考えている。地域の実態や産品の特性を踏まえたブランド戦略に応じて利用する制度を選択し、又は両者を組み合わせて利用するといった対応を取っていくことが重要ではないか考えている。

山田
この地理的表示制度については、地域の農林水産物や食品のブランド化に効果があると思っている。何年かしたら、本当にこれはいい制度だったと言われるような運用をお願いしたい。
それから、農協あるいは農業委員会、系統組織の改革についても、地域の実態を踏まえた、あるいは系統組織の意見を踏まえた対応をお願いしたい。


【参考資料】
(委員会では配布していませんが、議事録内で話題になっている資料について掲載しました)
「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」平成26年6月10日公表、自由民主党農林水産戦略調査会・農林部会農業委員会・農業生産法人に関する検討PT、新農政における農協の役割に関する検討PT(pdf)

・「農林水産業・地域の活力創造プラン(改訂版)」平成26年6月24日公表、農林水産業・地域の活力創造本部、(内閣府ホームページにリンク)
概要 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/pdf/plan-gaiyou-kaitei.pdf
本文 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/pdf/plan-honbun-kaitei.pdf

特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)(平成26年法律第84号)
(農林水産省ホームページにリンク)