平成26年5月13日 農林水産委員会

5月13日、農林水産委員会で質問に立ちました。翌日(5月14日)に「TPP交渉における国会決議の実現と情報開示を求める緊急国会集会」の開催を控え、今回はTPPについて質問しました。

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なお、この議事録は読みやすいように編集しています。正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質問事項】

(1).日米交渉の状況について
(2).交渉の状況と国会決議
(3).国会決議を踏まえた交渉
(4).国民への情報の提供について
(5).米国の貿易促進権限(TPA)について
(6).TPAの取得に関しての米国の状況
(7).TPAを取得していない米国との交渉について
(8).今後のTPP交渉について


(1) 日米交渉の状況について

山田

4月23日から25日のオバマ大統領の来日に合わせ、TPPに関して日米交渉が行われた。今週は、昨日(5月12日(月))から15日(木)までの予定で、ベトナムで12カ国によるTPP首席交渉官会議が行われている。更に、19日(月)、20日(火)には、シンガポールでTPP閣僚会合が開催される予定と聞いている。TPP交渉は、まさに、重大な局面を迎えている。
このような中、関係者の不安・不満は高まっている。明日(14日(水))には、日比谷野外音楽堂で、農林水産団体や生協、主婦連などが、「緊急国民集会」を開催するという動きになっている。

そこで、まず、先月の日米協議に関連して伺う。4月25日に発表された日米共同声明では、「重要課題で前進する道筋を特定した」と記述しているが、交渉の状況を伝える報道の内容は、マチマチである。「合意見送り」(朝日)、「合意至らず」(毎日)、「合意先送り」(日経)、とするものがある一方で、「実質合意」(読売)と伝えるものもある。
澁谷審議官は、2日の記者会見で、「進展はあったが、合意に至っていない」旨説明しているが、依然として、交渉内容は明らかにしていない。
これだけ、マスコミが、様々な交渉内容を詳細に報道する中で、政府が、交渉内容を一切明らかにしないのは、たとえ、「秘密保持義務」があったとしても、かえって、国民の間で疑心暗鬼を生みかねない。
そこで、日米交渉の状況について、まず、どのような内容であったか伺いたい。

澁谷和久内閣官房内閣審議官
日米首脳会談中の4月の23日から25日まで、それからそれに先立つ数週間で、甘利大臣とUSTRフロマン代表との間で延べ42時間にわたって協議を精力的に行った。その結果、共同声明にあるとおり、「前進する道筋を特定した」という形で進展をしたところである。
今回の一連の協議に入る前の本年の2月までの状況は、毎回の協議時間が短かったこともあって、アメリカは原則撤廃、我が国は決議を守るという、それぞれの原則論を言い合って時間切れになることが多かったのであるが、今回の協議では、厳しいやり取りを通じてお互いがそれぞれの立場を踏まえるという前提で、二国間の市場アクセスを改善するための様々な要素について決め打ちをすることなく協議を重ねることができた。
甘利大臣は方程式、フロマン代表はパラメーターと説明しているが、今後の合意に向けて品目ごとの合意内容は、報道されているような税率だけではなく、様々な要素の、例えば年数とかセーフガードといったことも含めて、様々な要素の複合的なパッケージであることについて共通認識を得たということである。
したがって、最終的な数字などについて合意がなされたわけでないが、今後の協議を通じて方程式の構成要素を埋めていくことで合意に向けた道筋が見えてきたということで声明の発表をさせていただいた。


(2) 交渉の状況と国会決議
山田
今の説明は分かるが、報道を見ると、もう少し具体的なことが報道されているので、やはり国民としてはもう少し具体的な中身を明らかにしてほしいとのではないかと思う。
報道の内容を見ると、日米間では、それぞれ譲歩案を、数字を示しながら、提案しあっている様子がうかがえる。そのこと自体は、政府も否定しないと思う。
一方、平成25年4月に衆議院、参議院の農林水産委員会で決議が行われている。数項目あるが、その中には、「農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること」というものがある。
現在行われている交渉の状況を見ると、この決議を逸脱して交渉が行われているように見える。国民の目には、「国会決議とは関係なく、政府は交渉している」と映っていると思う。政府は、交渉の状況と、国会決議との関係について、どのように認識しているのか、伺いたい。

澁谷和久内閣官房内閣審議官
我が国には御指摘の衆参農水委員会の決議があることと、それを踏まえた交渉をする必要があることについて、アメリカに対しても、他の10か国についてもこれは同様であるが、何度も説明をしているところである。一方で、アメリカも議会あるいはそのステークホルダーから原則撤廃と言われているようである。
日米両国は、お互いがそのようなお互いの立場を十分踏まえながら、どうやって合意のパッケージをまとめていくかという厳しくかつ大変難しい交渉を行っているところである。


(3)国会決議を踏まえた交渉
山田
国会決議を踏まえて交渉をしているとのことだが、本当にそうかという疑念がなかなか晴れない。
来週の19(月)、20日(火)には、シンガポールでTPP閣僚会合が予定されている。今後の交渉において、しっかりと、国会決議を踏まえて交渉にあたる決意を、西村副大臣、林大臣に伺いたい。

西村康稔内閣府副大臣
最終的に合意に達したとしても、最終的に国会に御承認をもらわないと、我が国として批准できないし、参加できないので、国会で承認してもらえるライン、国会決議があるということは当然のことである。そのことを踏まえてしっかりと交渉していきたい。

林芳正農林水産大
今、山田委員から話があったように、昨年4月に参議院、そして衆議院でも同様の趣旨の決議がなされているところである。かねがね私はこの委員会でもこの決議を踏まえて、国益を守り抜くように全力を尽くすと答弁をしてきたところなので、その方針を変えずにしっかりと取り組んでいきたい。

山田
是非、そのような方針でしっかりと交渉をしていただきたい。


(4) 国民への情報の提供について
山田
国民の不安・不満の原因のかなりの部分は、情報の提供の問題である。報道機関からは、様々な具体的な数字を挙げて、異なった内容の報道が詳細になされる一方で、政府からは、全く情報の提供がない。このような、情報提供についての態度では、国民の間で、十分な議論ができず、認識を深めたりすることはできない。やはり正確な情報が必要である。
「秘密保持義務がある」と政府はいうが、このような詳細な報道がなされている現状を踏まえれば、むしろ、正確な情報提供を行い、国民に正しく認識してもらうことが必要だと思うが、どうか。

澁谷和久内閣官房内閣審議官
今回の報道について、私から2回記者会見をし、日米協議の結果がいかに報道と異なるものかということを丁寧に説明している。また、私自身は余り時間が足りなくて、多くのところに行けていないが、北海道庁を始め、地方にもお邪魔をし、フルオープンの場でTPP交渉の全体像について説明をしている。
また、昨日から開催されているベトナムでの首席交渉官会合の概要は、本日以降毎日、私からブリーフィングを行い、その結果は内閣官房のホームページにもアップする予定である。
また、来週開催される予定のシンガポールでの閣僚会合でも、現地に出張される関係団体の方がいれば現地でも説明を行い、帰国してからも説明会を開催したいと思っている。
御指摘のとおり、国民の皆さんとコミュニケーションを積極的に行うことは大変重要である。保秘義務とのバランスに配慮しつつ、これからも工夫していきたいと考えている。

山田
頻繁に情報提供をしていただくことは、大事なことである。しかしその内容が問題である。中身が、こんな会合をしました、だけを報告しても、なかなか国民は納得いかない。特に、今のように様々な形で新聞に情報が出ている段階では、正しいことは正しい、違うことは違うと示さないと・・。何回も何回もやっていますよというだけでは、やはり足りないのではないか。是非、その辺も考えて情報提供をしていただきたい。


(5) 米国の貿易促進権限(TPA)について
山田
TPP交渉をめぐる不安材料の一つは、アメリカの貿易促進権限(TPA)についてである。TPAは「貿易促進権限」とも「通商一括交渉権」とも訳されるが、この権限をアメリカ議会からオバマ大統領はまだ取得していない状況である。
そこでまず、TPAが政府として得られている場合と得られていない場合ではどのような違いがあるのか、この点について外務省にお伺いしたい。

森 健良外務省経済局参事官
貿易促進権限あるいはTPA法は、米国憲法上、政府と議会のそれぞれに与えられた権限の調整を図りつつ、外国政府との通商交渉を円滑に遂行するために設けられた制度であると承知している。
内容的には、一般に、議会が政府に対して一定の手続等を義務付けつつ、TPA法成立から一定期限までに政府が署名した通商協定については、議会は個々の内容の修正を求めず、迅速な審議によって当該協定の締結を承認するか否か、これを議決することとすることを定める法をいうと承知している。


(6) TPAの取得に関しての米国の状況
山田
今の説明のとおりであるが、逆に言うと、このTPAが取得されていない場合は、議会は個別の条項について意見を言い、修正を求めることができることになる。これは交渉している国からすると、一回合意したものが後でひっくり返される可能性がある危険な条項、つまり権限が与えられていないことになるが、このTPAの取得に関して、アメリカの国内での状況はどのようになっているのか、説明願いたい。

森 健良外務省経済局参事官
現在議会に提出されているTPA法案は、本年の1月9日に議会に提出されたものである。そして、1月16日に上院財政委員会において公聴会が行われた。それを除くと、同法案の審議はこれからという状況と承知している。


(7)TPAを取得していない米国との交渉について
山田
このTPAについては、交渉している12か国各国の間でも、アメリカ政府の権限がまだ十分に国内でオーソライズ(公認)されていないという状況で、本当に交渉を続けていいのかという疑問もある。日本としてもこのアメリカのTPAの取得状況を見ながら交渉に当たっていく必要があると思う。
日本としてこのTPAを取得していないアメリカとの交渉についてどのように臨むのか、特に慎重に対応すべきだと思うがいかがか。

西村康稔内閣府副大臣
御指摘のとおり、TPAの権限が政府に与えられていた方が安心して交渉できるという面はある。ただ、この12か国の中で、国内手続はそれぞれが議会の承認を含めて責任を持ってやることになっている。
私どもも、日本の皆様、国会で承認してもらえるよう、そのことを頭に置きながら、ぎりぎりの交渉を行っており、それぞれの国が国内手続はそれぞれ責任を持つ、という信頼関係で交渉を進めている。この件に関しては、私も先般アメリカで関係者には言ってきたが、基本的に、その後、何か議会で修正が入って再交渉ということは、我々は応じないと申し上げてきた。

山田
西村副大臣が再交渉には応じないと言っていることは記事で見たが、これは、応じる・応じないではなく、向こうの権限として、これは駄目だと言ったら、交渉内容そのものがアメリカ国内では白紙になってしまうということなので、こちらは、そのつもりであっても、向こうの法令、規定上、事実として再交渉を求められることになるわけである。その辺も踏まえて、相手方を信頼して、何とかしてくれるだろう、ということではなく、権限をしっかりもらえているかどうかを含めて慎重に対応すべきであると思っている。


(8) 今後のTPP交渉について
山田
特にTPPの最近の状況を見ると、TPAの取得の状況を始めとして非常に不安な面がある。国民の間で心配な面があるというのは事実だと思う。特にこれだけ新聞、報道機関が様々なことを言っていると、一体、国民は何を信じてどうしたらいいのかが分からない状況であると思う。
一生懸命情報を出していくと言ったところで、ある程度中身を言っていかなければ、疑心暗鬼は深まるだけで、明日の集会でも、国会決議を守れ、情報公開しろなど、そのような話で行われるのである。交渉を進めていく、あるいは国民の間で議論してもらおうということであれば、情報提供と、そして国会の決議は尊重するということをはっきりさせ、またアメリカの国内の状況も見ながら慎重に交渉していくことが必要だと思う。是非その点をお願いし、質問を終了する。