平成26年4月3日 農林水産委員会

4月3日、農林水産委員会で質問に立ちました。6次産業化の推進や自給率について質問をしました。

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なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


【質疑事項】

1.6次産業化の推進
(1).基本的な推進方向
(2).4月1日付の省令の制定・改正の内容・ねらい
(3).国家戦略特区から全国展開へ
(4).6次産業化のための規制の点検

2.自給率
(1).食料自給率の目標の意義と向上に向けての決意
(2).現在の基本計画での自給率目標と実績
(3).(2)の評価
(4).過去の基本計画での自給率目標・実績の評価
(5).英国の政策対応
(6).新たな自給率目標の設定(実現可能性、施策の裏付け)
(7).「自給力」の概念・要素

【参考資料】(pdf)
※ 食料・農業・農村基本計画における食糧自給率目標の設定と現状


1. 6次産業化の推進
(1) 基本的な推進方向

山田

まず6次産業化の推進についてお伺いしたい。現在、農林水産省では農林水産業の6次産業化を進めている。この6次産業化は、農林漁業者の所得を増やし、更に、地域の活性化にもつながるものであり、極めて重要であると考えている。一方で、6次産業化は、リスクを伴うものであり、規模拡大など他の方法で経営の発展を目指す方もいる。今後、6次産業化をどのように進めようとしているのか、基本的な方向を林大臣にお伺いしたい。

林芳正農林水産大臣
農山漁村における所得や雇用を増大し、地域の活力を向上させるためには、6次産業化の取組が欠かせないと思っている。農業自体の生産額が9兆から10兆に対して、いわゆる流通も含めた川下まで、食品産業等を含めると90兆を超えるマーケットがある。その中でどのように地域の活力向上に向けてこれを取っていくかは、大変大事なことだと考えている。仙台で農家レストランへお邪魔したときには、自分の畑で植えた野菜でレストランをやっており、大変評判がいいとおっしゃっていた。顧客の動向を感じながらメニューを作り、そのメニューによって次の年に植えるものを考えるとのことだった。生産者が消費者に直接触れることは、非常に意味のあることだと思った。このような6次産業化に取り組む農林漁業者等へのサポート体制を構築するために、それぞれ経営の発展段階に応じて補助事業を行ったり、農林漁業成長産業化ファンド(A―FIVE)による出資等の支援を総合的に実施している。昨年12月に官邸でまとめたプランでも、6次産業化を位置付けており、今後、同プランに位置付けられた国別・品目別輸出戦略に基づく輸出拡大の推進、機能性、加工適性の高い品種開発等の国内の新規需要の掘り起こし、さらには医福食農連携、医療、福祉と連携した6次産業化の推進を行っている。さらに農山漁村の地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入、バイオマス産業都市の構築といった関連施策を総動員し、経産省、国交省などの関係府省とも連携しながら、6次産業を推進していきたいと考えている。


1. 6次産業化の推進
(2) 4月1日付の省令の制定・改正の内容・ねらい

山田
6次産業化に関連して、4月1日施行で、農地転用に関する省令の制定・改正が行われている。この2つの省令の改正・制度の内容及びねらいについて、御説明いただきたい。

三浦進農林水産省農村振興局長
農業の6次産業化に関連して、4月1日付けで2つの省令を施行した。
1つは、国家戦略特別区域法に基づく内閣府・農林水産省令で、農家レストランを農振農用地区域に設置可能な農業用施設とみなすというものである。農振農用地区域に設置可能な農業用施設については、畜舎温室、農産物集出荷施設等、農業者が主として自ら生産する農畜産物を使用する加工販売施設等が該当する。国家戦略特区の提案募集において新潟市等から、農業の6次産業化を推進するために農家レストランについても農業用施設として農用地区域内に設置できるように提案があった。これを受けて、国家戦略特区において農業者が自己の生産する農畜産物又は地域で生産される農畜産物を主たる材料として調理して提供する農家レストランについて、農業用施設とみなして農用地区域内に設置できるようにした。もう1つは、農業振興地域の整備に関する法律施行規則の一部を改正する省令だ。既に農振法上、農業用施設として認められている加工販売施設の要件の緩和を行うものである。これまで主として農業者自らが生産する農畜産物を使用するものに限定していたものについて、地域における農業の6次産業化を推進するという観点から、自己の農畜産物に加え、地域で生産される農畜産物を主として使用することを可能とするものだ。


1. 6次産業化の推進
(3) 国家戦略特区から全国展開へ

山田
地域では、意欲ある農業者が6次産業化に取り組んでいる。しかしながら、6次産業化を進める場合に様々な障害がある。今回の省令改正は、大きな前進で評価したい。しかしながら、6次産業化は国家戦略特区のみで進めるものではなく、全国的に進めるべきものだ。全国の農業者の方々からすれば、少しでも早く、6次産業化に取り組みたいわけである。今回の措置をできるだけ早やかに、特区だけでなく、全国的に展開すべきと思うが、方針を伺いたい。

三浦進農林水産省農村振興局長
農家レストランについては、農業の6次産業化を推進し、農家の所得や雇用の増大、農村の活性化等を図るといった観点から、地域での取組を進めていくことが重要であると考えている。他方、農振農用地区域内に設置できる農業用施設としては、これまで農業者が営む耕作又は養畜の業務に密接に関連するものに限定しており、これを拡大することについては、農地の効率的な利用確保の観点から、慎重に検討する必要があると考えている。農家レストランを農業用施設として位置付けることは、従来の農業用施設の考え方を拡大するものだ。まずは国家戦略特区において、農家レストランの農用地区域内への設置ができるようにし、全国に展開することについては、特区制度の下で効果や周辺の営農への影響を検証して対応を検討したいと考えている。

山田
6次産業化を行うことは、すでに農林漁業者の概念が変わってきているということだと思う。加工や様々なサービスを行うことが、なりわいとして一体化しているため、農業施設でないことを理由にできないという考え方を改めていかないと、6次産業化はなかなか進まない。農家は農業をやるものだということで規制ができているとのことだったので、本当に6次産業化を一生懸命やろうとすれば、それでは駄目だと思う。今回非常に良い対応をしていただいたと思う。是非6次産業化について、助成措置や出資を続けていっていただきたい。


1. 6次産業化の推進
(4) 6次産業化のための規制の点検

山田
6次産業化については、助成事業などが設けられているが、これと併せて、規制の見直しも、6次産業化を促す上で大きな効果があると思う。今回は、農地転用について見直しが行われた訳だが、この際、6次産業化を促す上で、障害となっている規制がないかどうか、他省庁所管のものも含めて点検し、できるものは改めていくようにすべきと思うがどうか。

山下正行農林水産省食料産業局長
6次産業化については、大臣からお話があったが、取り組むに当たり、障害になっている規制があれば、できるだけ改善していくことが重要だ。先ほども農家レストラン等の話があったが、農林水産省としては、引き続き、6次産業化の推進に当たって、どういったものが障害になっているか、現場の農業者を始めとする関係者の方々の意見を幅広くお聞きし、関係府省とも相談しながら、必要なものは改善していきたいと思っている。

山田
現場の声では、一生懸命やっている方が今までの農業の概念からはみ出していくときに、今の規制が合わず、やりにくいという話がある。是非点検をしていただき、6次産業化推進に努めていただきたいと思う。


2.自給率
(1) 食料自給率の目標の意義と向上に向けての決意

山田
食料自給率の目標を定めること、そして、その実現に向けて政策的な努力をしていくことは、極めて重要だと考えている。そこで、まず、大臣にお伺いしたいのだが、食料自給率目標を定めることの意義は何なのか、そして自給率向上に向けての大臣の決意を伺いたいと思う。

林芳正農林水産大臣
食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業の生産の増大を図って食料自給率を向上させることは、大変重要であると思っている。このため食料自給率目標については、食料・農業・農村基本法に基づいて基本計画があるが、食料自給率目標の向上を図ることを旨として、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として設定することとなっている。22年度に現行の基本計画が策定されているが、この現行の基本計画には、平成32年度を目標にして、カロリーベース50%、生産額ベース70%という目標を設定している。この自給率の向上は生産と消費の両面の取組によって実現されており、まず生産面で需要のある餌米、麦、大豆の自給率の低い農産物の生産振興を図り、消費面では、国産農林水産物の消費拡大や地域で生産された農産物を地域で消費しようとする地産地消の取組を推進することによって、食料自給率の向上に取り組んでいきたいと思っている。


2.自給率
(2) 現在の基本計画での自給率目標と実績

山田
平成22年3月に策定された「食料・農業・農村基本計画」において、食料自給率の目標が定められている。平成32年の食料自給率目標として、カロリーベースで41%を50%に、生産額ベースで65%を70%に引き上げるという目標を定めた。現在、平成24年の実績値まで発表されている。目標設定以降、3年以上が経過しているが、食料自給率の実績はどうなっているのか伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
自給率の実績についてだが、カロリーベースの自給率目標については、天候や東日本大震災の影響等もあり、基準年の平成20年度に41%であったものが、平成24年度には39%になっている。一方で、生産額ベース自給率目標については、基準年の平成20年度に65%であったものが、平成24年度には68%と堅調に推移しているところだ。


2.自給率
(3) (2)の評価

山田
カロリーベースで41%から50%に引き上げるとすれば、仮に均等の割合で上昇したとした場合、既に44%くらいになっていてもいいはずである。これまでのところ、この目標に向けて、進んでいるとは言えない。このような状況にあることについて、現時点でどのように評価しているのか伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
カロリーベースの食料自給率だが、目標から乖離している状況だ。生産面において、米粉使用が平成32年度の生産数量目標50万トンに対して、平成24年度では3.3万トンだった。また、飼料用米が70万トンに対して、16.7万トンと、目標から大きく乖離している。さらに、消費面だが、主食用米については、消費増を見込んでいたが、平成32年度の予想消費量が1人1年当たり62キログラムに対して、平成24年度は56キログラムだった。同様に、消費量を見込んでいた米粉用米の消費量が3.3キログラムに対して、0.3キログラムと予測を下回っていた。一方で、輸入に大きく依存している小麦については、消費減を見込んでいたが、28.0キログラムに対して、32.9キログラムだった。同様に、消費減を見込んでいた油脂類が11.7キログラムに対して13.6キログラムと、予測を上回って推移をしていることが大きな要因として考えられる。なお、この生産額ベース食料自給率については、国内生産額への寄与が大きい牛肉あるいは豚肉だが、見込みに沿って推移したことから、堅調な状況にあると言えるのではないかと思う。


2.自給率
(4) 過去の基本計画での自給率目標・実績の評価

山田
各基本計画は、おおむね5年ごとに見直しが行われるため、最終の目標年において、実績と対比して、評価がなされることはなかった。しかしながら、「設定した目標」と「そのための政策の妥当性」を評価するために、あえて、比較した表(表1)を作成してみた。この表を見ると、目標の数値は、基本計画策定のたびに見直されるものの、自給率の実績は少しも向上していない。「平成12年計画」では、目標年の平成22年において、目標の値に達しないばかりでなく、基準年の平成9年の自給率よりも低くなっている。2番目の「平成17年計画」は、まだ目標年の平成27年になっていないが、平成24年時点の実績値でみると、すでに平成15年の基準年を下まわっている。現在の「平成22年計画」においては、カロリーベースの食料自給率目標を、前計画の45%から50%に引き上げているが、それ以前の2つの計画における実績値を踏まえると、50%の目標は高すぎる目標ではなかったのか、見解を伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
平成11年に食料・農業・農村基本法が制定されて以降、平成12年、17年、22年策定の3回の食料・農業・農村基本計画において食料自給率の目標が設定されている。このうち、平成12年及び17年の食料・農業・農村基本計画においては、計画期間内における実現可能性を考慮し、カロリーベースで45%の目標が設定された。平成22年の現行の食料・農業・農村基本計画においては、平成20年以降の穀物価格の大幅な上昇等を背景に、我が国の持てる資源を全て投入したときに初めて可能となる高い目標として、カロリーベースで50%の目標が設定された。御指摘の、50%は高過ぎるのではないかということだが、この現行の基本計画に代わる次期基本計画、来年、平成27年3月に向け、本年1月28日に食料・農業・農村政策審議会に諮問をしたところだ。食料自給率の目標も含めて、議論の中でしっかり検証を行った上で検証したいと考えている。


2.自給率
(5) 新たな自給率目標の設定(実現可能性、施策の裏付け)

山田
過去、12年、17年、そして22年、3回あるが、この実情、実績値を見ると、決してその目標に向かって近づいているというわけではないと思う。今後、自給率目標の改訂に当たって、これまでと同じように設定していくとすれば、世の中の人達は「自給率目標は単なる数字にすぎない」、「それに向けて具体的な政策を行っている訳ではない」といった、あやまったメッセージを伝えることになりかねないと思う。この点は、自給率目標の信頼性にかかわることで、極めて重要なことと考えている。自給率目標の設定に当たっては、実現可能な目標を設定するとともに、具体的な政策の裏付けを明確にしていく、消費面、生産面の政策があろうが、そういった工夫をすべきと思うがどうか。

吉川貴盛農林水産副大臣
本年の1月28日に、先ほども申し上げたように、食料・農業・農村政策審議会にこの食料・農業・農村基本計画の見直しについて諮問をしたところだが、まずは現行の食料自給率目標の検証を行うことが重要であると考えている。さらに、今後の食料自給率の目標については、この検証結果を踏まえ、農業者や消費者の取組による実現可能性、あるいは生産面、そして消費面の課題とこれに対応する政策等も含めて、しっかりと検討していきたい。


2.自給率
(6) 英国の政策対応

山田
自給率の大幅な向上に成功した国として英国がある。英国における自給率の推移と、大幅な向上を図ることができた理由、特に、英国の政策対応について伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
英国のカロリーベース食料自給率だが、1960年代は40%台で推移してきた。1970年代から90年代半ばにかけては徐々に上昇しており、1996年にはピークとなる79%に到達し、その後、低下して2009年には65%となっている。このように英国の食料自給率が向上した主な要因しては、まず生産面だが、平地が多く、効率的な農業生産が可能であるなど、EU域内での競争力が相対的に高い中で、1973年のEC加盟に伴う共通農業政策の転用により、小麦等の生産が大幅に拡大したことが挙げられる。さらに、消費面だが、大きな食生活の変化が生じた我が国とは異なっており、国内では生産可能な小麦や畜産物を中心とした食生活に大きな変化がなかったことなどが挙げられると考えている。

山田
副大臣からお話があったように、イギリスで政策的な意味があるのは共通農業政策をEUに加入して採用したということだ。先ほど言ったように、今の基本計画は食料自給率の目標は決めている。自給率目標達成の為の政策も記載してあるが、この政策がこういう自給率の向上に役立つといったことを明確にしていかないと、意図が伝わらないと思う。是非今度の見直しではそのようなことも考えてやっていただきたい。


2.自給率
(7) 「自給力」の概念・要素

山田
今後、自給率目標と同時に「自給力」の目標も定めたいとしているが、「自給力」とはどういう概念で、その要素としてどのようなものを考えているのか。

吉川貴盛農林水産副大臣
食料の自給力の指摘をいただいたが、まずは農地、担い手、さらには農業技術などから成る国内農業生産による食料の潜在的な供給能力を示すものと整理をさせていただいた。農業従事者や農地面積の減少などの進展、世界の食料需給が中長期的に逼迫する可能性も踏まえ、食料安全保障の観点から食料自給力の維持向上を図ることが極めて重要と認識している。食料自給力の取扱いについては、今後の基本計画の見直しの議論の中で様々な観点から検討していく。山田議員からの様々な御支援、御指摘もお願いしたい。

山田
「自給力の目標」を定める場合、「自給力」が「イザというときの国内生産する力」とするならば、自給率は多少低くても「自給力」さえあれば、心配ない」という議論につながりかねない。例えば、ゴルフ場があればいざというときはそれを耕して芋を植えれば良い為、自給率がある程度低くてもゴルフ場開発をすれば自給力は確保されるといった議論が昔なされていた。自給力がそのような意味で使われるとすれば、かえってマイナスである。食料自給率は現在の食生活の状況を示すもの、食料自給力は緊急時の食料供給力を示すものであり、緊急時及び平常時に対応した食料安全保障の確保の観点から、それぞれ重要な役割がある。したがって、今後の基本計画の見直しにおいては、この2つの考え方をバランスよく議論していただきたい。