農政事情 キーマンに聞く 農場基盤整備の新たな枠組み 参議院議員 山田修路

平成25年10月15日付 土地改良新聞
「農政事情 キーマンに聞く 農場基盤整備の新たな枠組み 参議院議員 山田修路」

平成25年9月20日インタビューを受けて、掲載された記事を掲載します。
インタビューを受けた内容は以下のとおりです。
項目をクリックすると、該当箇所にとびます。


A.農業との関わり
B.尊敬する人
C.思い出に残る農政
D.土地改良法の改正
E.経営安定対策の法制化
F.農地中間管理機構
G.土地改良・農業基盤整備のあり方
H.今後の抱負


平成25年10月15日付 土地改良新聞
「農政事情 キーマンに聞く 農場基盤整備の新たな枠組み 参議院議員 山田修路」より転載


A.農業との関わり

記者
まず、農業との関わりについてお伺いします。

山田
出身は加賀市の、さらに田舎の方で、80戸ぐらいの集落のほとんどが農家です。自然の中で遊び、そして、農業・農村という場に関わりながら育ってきました。ですから自ずと、農業・農村の発展に貢献できたらいいなぁという気持ちで農水省に入ったわけです。


B.尊敬する人

記者
ホームページを拝見しますと、尊敬する人に八田興一とあります。同県人であることはわかりますが、少し意外な気もします。

山田
意外ですか。日本の農業土木技術者が台湾の人たちのために大変な努力をし、しかも、現在も喜ばれ尊敬されていることは素晴らしいことだと思います。技術を持った人が国際的に貢献し、現在の台湾の農業に役立っていることは、日台を結びつける絆の一人でもあるわけです。自分の立場で貢献した、つまり特別なことではなく自分ができることをしっかりやっていれば、途上国の人たちの役にも立つし、日本との関係にもプラスになる、という意味で素晴らしいことだと思います。

記者
しかし一般的にはあまり知られていませんね。

山田
そうですね。でも、石川県の中では比較的有名人です。


C.思い出に残る農政

記者
30年以上の農水省在職の中で、思い出に残る農政は何ですか。

山田
在職最後に務めました農林水産審議官という職は、なかなか厳しい仕事です。英語での交渉ですから、準備に相当な手間をかけ大変な作業であったことは確かです。言葉が外国人並みにできても大変ですが、言葉と中身、両方とも苦労しました。
その前の水産庁長官の時は、燃油価格の高騰に手を焼きました。当時、投機マネーにより重油1㍑当たり125円ぐらいまで高騰したため、全国の漁船は一斉に操業を停止しました。その時、補正予算で燃油高騰対策を中心に750億円程度を計上しました。それまでの水産庁の補正予算では多くて70億円程度がせいぜいなところでしたが、一気に10倍ぐらい増やすという大変な作業でした。
農村振興局長時代は、何と言っても「農地・水・環境保全向上対策」ですね。当時、農道や農業用排水路の維持保全が重要な課題でありましたし、農村景観も大事なことでした。私は持論として、農業土木の関係者は土地改良事業だけでなく、もっと、幅広く仕事をしていく、仕事の範囲を広げていくことが大事だと思っていました。また、非農家の方々が参加することで、土地改良施設や農村景観などに対し興味をもってもらい、それらを自分たちの資産として守っていく枠組みが大事になってきました。混在化の進行に伴い、土地改良施設等を農家だけでは守りきれないわけです。担い手が減少する中で、担い手が、地域共通の資産である用排水や農道、更には地域の景観を守ることまでもやらなければならないのは過重負担となります。
農業用でつくったものが、地域全体で利用され公益的な価値があるという考えの下で、地域住民に参加してもらうことは、これからの地域づくりに重要なポイントであり、いつまでも農家におんぶできないという非農家の方々の意識改革にもつながるわけです。土地改良施設等をはじめ地域の資産を守る、非農家参加型の事業はとても大事なことで、この事業が創設できてよかったと思っています。石川県でも相当の取組がみられ、高い評価の声を耳にすると嬉しくなります。

記者
これは山田先生の発想だったのですか。

山田
私が農村振興局長の時、経営安定対策と併せて地域対策をやらなければならないことになり、農村振興局内のチームでいろいろと考えていたわけです。そこで議論しながらどのような仕組みにするかを検討し、私は、予算案の決定の段階まで関与しました。誰の発想ということはありませんが、私は非農家の参加にこだわりました。


D.土地改良法の改正
記者
同じく農村振興局長時代に、土地改良法の改正についても議論なさっていましたが、結論が出ませんでした。
山田
確かに結論は出ませんでした。結局、改正案がまとまらなかったのです。何を改正するのか、施設の維持管理を中心に据えてできないかとか、3分の2の同意を見直せないか、など様々なアイディアは出ましたが、法律事項がないなどの理由で結論には至らなかったのです。
法律といえば、農山漁村活性化法を急遽つくりました。これは国会審議の段階で次の局長に引き継ぎました。元来、農村活性化に法律はいらない、予算要求すればいいということでしたが、各省が地域活性化に関する法律をつくっているので、農水省として、農村活性化のための法案を作成しました。その他、市民農園法や農地法の改正などにも関与しました。
記者
土地改良法において、最初の建設時には3分の2の同意は理解できますが、管理の時代には2分の1の同意でいいのではないでしょうか。また、管理の時代に費用対効果(B/C)が1を越すのは難しい。この点も改正の必要があるのでは。
山田
そのような議論をしました。今後の懸案事項として検討する余地は十分にあります。


E.経営安定対策の法制化

記者
現在の経営安定対策(民主党政権時は戸別所得補償制度)の法制化は進んでいるのですか。

山田
現在、自民党内で戸別所得補償をどう見直すか、また、選挙公約にもなっていた多面的機能に着目した支払も考えなければならない立場なので、年末に向け調整する手筈になっています。多面的機能に付随して中山間地域等直接支払や農地・水保全管理支払をどう盛り込むかを自民党内で議論し、案がまとまれば与野党協議を行うこととなります。やはり、法制化して制度的にきっちりした方がいいと思います。

記者
農家もそれを望んでいます。ぜひ実現してほしいと思います。


F.農地中間管理機構
記者
農地中間管理機構は自民党の公約ですか、成長戦略から出てきたのですか。
山田
成長戦略に出てきましたし、規制改革会議の中でも説明しています。農水省と官邸サイドの議論の中で出てきました。
記者
同機構は、かつて農地の流動化により県の公社が借り手のない耕地を抱えた、その二の舞になる可能性もあります。
山田
中間管理機構の創設には賛成ですが、今おっしゃった過去の経験を踏まえると、この機構がどのぐらい機能するのかをよく考えないといけません。機構ができれば何でもかんでもバラ色みたいに言うのはどうか。県の公社が関与して流動化するものは、相当大きいと見込んでいるようですが、相対契約などで行われるものも相当残るので、機構が一定の役割を果たすことはもちろんですが、それだけで物事が解決するとは思わず、他の政策手段を併せ実施していく必要があります。
記者
機構が農地を預かり基盤整備を行うとなると、土地改良法の改正も必要となるのでは。
山田
機構が果たす機能によっては、特例か何か必要になるかもしれません。
記者
機構は耕作者でもないし、農地所有者でもないので・・・。
山田
法律の規定をどうするのか、という点にかかわってくると思います。
記者
土地の境界を動かす換地という作業があるので、難しいのでは。
山田
農水省は法律を準備しているので、その状況を見る必要があります。


G.農地改良・農業基盤整備のあり方
記者
農村振興局長を務められた経験から、土地改良、農業基盤整備のあり方などについてご見解をお聞かせください。
山田
土地改良事業は、農家の負担があります。農地や土地改良施設等は、生産資材という面と併せ地域の環境を守る公共財という面もありますので、地域の人たちもそれらを守っていく対象となります。農家だけがその負担を強いられるのはおかしいと思います。生産性を高めるためには基盤整備が必要だし、農家負担は軽減する必要があります。そのためには、国民の方々に農家の資産というより自分たちの資産であると認識してもらう枠組みをつくっていくことが大事だと思います。個人財産だからといって農家だけが負担することは、再検討の余地があるのではないでしょうか。少し言いすぎかもしれませんが。
いずれにせよ、農業基盤整備は大事です。これをさらに進めるためには、枠組み自体を見直す必要があるのでしょう。
記者
土地改良法の改正も視野に入れて・・・。
山田
もちろんその通りです。


H.今後の抱負
記者
最後に、石川県農業も含め今後の抱負を。
山田
現場に即して勉強していきたい、まぁ現場主義とでもいいますか。地域の実情を見極め、農家の方々をはじめいろいろな方々の話に耳を傾け、一歩一歩進んで行きたい。
記者
石川県の農業をよくすることが国の農業を良くすることにつながりますので、これまで培った経験を活かした素晴らしい国会でのご活躍を期待しております。本日はありがとうございました。


※このインタビューは、2013年9月20日に行われたものです。