第185回国会(臨時会)2013年11月5日 参議院農林水産委員会

初めて質問に立ちました。議員の立場での初めての質問なので、農政や地域振興について、次の9つの質問をしました。各質問について、政府側から前向きな答弁を頂きました。これからも、農政や地域振興以外の分野でも、しっかり仕事をしていきたいと思います。

下のテーマをクリックすると、そのテーマの質疑・答弁の該当箇所にとびます。
なお、正式な議事録については参議院ホームページ「会議録情報」をご参照ください。


1.農業構造改革(農地中間管理機構)について
2.直接支払いの見直しについて
3.小規模農家の位置付けについて
4.コメの生産調整の見直しについて
5.TPPについて
6.水産業の経営対策について
7.森林、林業、木材産業―木材の需要拡大について
8.世界農業遺産について
9.鳥獣害対策について


山田
石川県選挙区の山田です。本日は初めての国会質問なので、農政の基本的な方法などについて質問したい。


1.農業構造改革(農地中間管理機構)について

山田
「攻めの農林水産業」を展開していく上で、経営規模を拡大し、コスト低減を図っていくことは極めて重要。この意味で、今国会で制度化を予定している「農地中間管理機構」は、有効な手法であり、期待している。中間管理機構が十分に効果を上げるためには、過去の反省を踏まえる必要がある。昭和45年に「農地保有合理化法人」-これは、都道府県の農業公社として現実には行われているものであるが、「ナリモノイリ」で制度化されたが、十分に機能しなかった。これに関連して、2点指摘したい。
1)6月に閣議決定された「日本再興戦略」では、10年間で農地面積の8割を「担い手」に集積するとしている。公的機関が介在するのは量的に限界があるので、それ以外の農地流動化も併せて推進する必要がある。
2)「合理化法人」つまり、県の農業公社がリスクを避けるために、農地を集めるのに消極的になったということが、農地保有合理化法人が十分に機能しなかった理由の一つ。
過去の反省に照らし、以上の2点を十分に踏まえて、制度設計し、推進を行っていくべきだと思うが、政府の考えを問いたい。

吉川貴盛農林副大臣
担い手へ農地集積と農地の集約化を考えて、今国会で中間管理機構関連法案が提出した。昭和45年から県段階で農地保有合理化法人を設置しているが、事業内容が売買を中心にしていて、出し手、受け手、合理化法人とも消極的な姿勢であったこと、出し手、受け手の個々の相対協議を前提にしていて、地域全体として農地流動化をすすめようという機運が出にくい面があったこと、さらには財政支援が不十分であったことから実績が低調であった。こうした実態を踏まえて、今般これを廃止し、農地中間管理機構を設置し、リース方式を中心とし、機構が間に入ってまとまった形として農地を担い手に転貸するとともに、地域の関係者に徹底した話し合いを通じた、人・農地プランの作成や見なおしをセットとして取り組むこととしている。もちろん財政支援も充実してくことで成果を上げていく。これが今回の法案の狙いである。

なお、農地の流動化に様々な意向や実態等があることから、農地の出し手と受け手との間の個別相対による権利移動や、市町村段階の団体が農地の出し手の代理人として受け手を探す農地利用集積円滑化団体の制度は従来と同様に処置をしているところである。さらに、担い手へ農地集積だけではなく、担い手の農地利用の集約を図ることを考え、農地を借受け、担い手のニーズに合うようにまとまった形にして転貸する中間管理機構が最も有効な効果的な手法であると考える。この機構と個別相対や農地利用集積円滑化団体をうまく組み合わせて農地流動化の成果を上げていきたいと考えている。

山田
是非効率的に動くように、制度設計をしていただきたい。


2.直接支払いの見直しについて

山田
6月閣議決定の「日本再興戦略」では、「経営所得安定対策(旧戸別所得補償制度)を適切に見直し、あわせて、農林水産業の多面的機能の発揮を図る取組を進め、新たな直接支払制度の創設を検討する」としている。今後、検討が行われることとなろうが、諸外国の例も踏まえ、方向としては直接支払いという政策手法を拡大していくという基本的な考え方の下で、検討を行っていくべきと考えるがどうか。

林芳正農林水産大臣
委員も専門でありますが、直接支払制度については、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の結果等を受けまして、EUや米国において価格支持、いわゆるサポートプライスを見直して、各国様々ではあるが、その事情に応じて直接支払をする。このような拡充をおこなってきているところで、直接支払制度は農政における世界の潮流だと認識している。先般のFAO(国連食糧農業機関)の総会でローマに行ったが、EUの農業大臣にあたるチョロシュ農業委員と会談し、CAP(コモン・アグリカルチュラル・ポリシー)の見直しをしていく。その中でグリーン支払的な要素も考えている。と言っていた。そのような流れの中で、我が国でも平成6年食糧法制定、平成19年の品目横断的経営安定対策の導入をはじめとして、その時々の農業事情に応じて、価格制度の見直し、直接支払の導入拡大をおこなってきた。経営所得安定対策の見直しと多面的機能の維持に着目した日本型直接支払の検討は2本柱で自民党の公約になっている。この公約に従って検討を進めている。今後とも直接支払制度の拡充を進めていきたい。


3.小規模農家の位置付けについて

山田
農業の構造改革を進め、担い手に農地を集積していくことは重要であるが、一方で「担い手とともに、地域で農地や農村を守っている小規模農家の人達」は、将来に対して不安をいだいている。このような小規模農家が「切り捨てられた」と思うことがないよう農政上の位置付けを明確化する必要があると思うが、どのように考えるか見解を伺いたい。

吉川貴盛農林水産副大臣
経営規模が小さくても、それぞれの地域の実情を踏まえて、集落の組織、地域農業を担う経営体へ発展できるようにその法人化を進めている。六次産業化、新品種・新技術の開発普及等によるバリューチェーンの構築等によって、農林水産物の高価価値化等に積極的に取り組んでいきたい。多様な経営改善の方法を選択できるようにすることが大切と考える。
攻めの農業水産業推進本部において、国内農業を強くする産業政策と、経営規模の小さい農家を構成員として重要な地位を占める地域社会を維持する地域政策を車の両輪として、施策の具体化として検討している。この中で農業の多面的機能の維持に着目した直接支払制度の創設についても検討を進めている。今後とも地域の潜在力を引き出していく現場重視の姿勢に立って、生産条件の違いも考慮した上で、今後の政策の方向性を農林水産業・地域の活力創造プランとしてとりまとめていきたい。


4.コメの生産調整の見直しについて

山田
コメの生産調整の見直しについても、農家の方々の不安感が高まっている。コメについて、日本における生産能力と消費量の差がこれほど拡大している現状において、生産調整という政策手法を今後とも継続していくことが、良いことなのかどうか十分検討する必要があると思う。現在、生産調整の廃止のみに焦点が当たって報道されていることから、農家の不安が大きくなっていると思う。生産調整だけでなく、今後のコメ対策の全体像をまず示すことが重要であると思うがどうか。

横山信一農林水産大臣政務官
経営所得安定対策の見直しと多面的機能の維持に着目した日本型直接支払の検討の議論が進められている。この検討はコメの生産調整を含むコメの政策との関係がある。農林水産省も時間をかけて検討している。
コメ政策については生産農家が安心して営農にとりくめるよう、その全体像を示すことが重要。今般の見直しでは、水田活用対策等を充実させることで、生産者・集荷業者・団体が、国の需給見通し等を勘案しながら、主体的な経営判断や販売戦略に基づき、需要に見合ったコメ生産の実現を図るための環境整備をする必要がある。
具体的には、水田活用直接支払交付金の充実、また、中食、外食等のニーズに応じた生産と安定取引の推進、国によるきめ細かい需給・価格情報、販売進捗、在庫情報等の提供。こうした取組を進めることが重要。今後のコメ政策の在り方については引続き勢力的に議論、検討していきたい。


5.TPPについて

山田
最近の新聞報道等、自由化率を95%に引き上げる等々とあるが、このような報道によって、農林水産業者や食品製造業者の方々の不安や不信が大きくなってきている。このような不安感や不信感は、TPP交渉のみならず、農政全般に対する不信感につながりかねないと、大変憂慮している。私も公務員時代に貿易交渉に当たってきた。その時の経験から言うと、現在のTPP交渉のように関税引下げについて2ヶ国間で協議を行う場合、自由化率が何パーセントになるかということに関心がある訳ではない。自国で生産する農産物の日本への輸出が一体どれだけ増えるか、言い換えれば、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの日本への輸出がどれだけ増えるかに関心がある。そうすると、交渉で大事なことは、やはりこれらの重要品目の確保など衆参両院の農林水産委員会の決議をしっかりと尊重して交渉するということだ。林大臣には、関係者の不安感・不信感を払拭するため、是非この点を再度、確認したいと思うが、どうか。

林芳正農林水産大臣
農林水産委員会の決議にも項目6、重要5品目の交渉にあたっては2国間の交渉等にも留意するとある。相手国の実質的な輸出関心を把握した上で、何がお互い欲しているのかを念頭に入れて交渉にあたることが重要と考える。交渉にあたっては、衆参両院の決議には、重要5品目等の聖域確保を最優先するということが明記されている。従ってこれに全力をつくす。農林水産業者、食品製造業者にも方針がきちっと伝わるように正確な情報発信に努めて参りたい。

山田
不安感・不信感を払拭するために大事なもう1つの点は、ステークホルダーすなわち関係者の説明だ。交渉参加の際にサインした秘密保持契約もあって、オープンにできる情報は少ないかもしれないが、そのような下でも、関係者への説明をていねいに、また、頻繁に行うことが重要である。是非、この点もしっかりやって頂きたいと思う。これについて具体的な取組の方針であるか内閣官房に伺う。

澁谷和久内閣官房内閣審議官
各国ともにこのような保秘契約を結んでいることから、国内のステークホルダーや関係者の皆様に情報提供することについて、各国とも悩みながら取り組んでいる。我が国政府としては、交渉会合の前後に関係団体、公共団体等に随時説明会を開催する。単に説明するのみではなく、出席の皆様に意見を募集し、公開してもよい方の意見は内閣官房のホームページに公開している。先日も10月21日、バリ島の報告会を開催したところ、関係団体等中心に250名の方々に1時間半にわたって、説明と関係の皆様との意見交換をおこなった。7月のマレーシアの会合前後から、月に1回くらいの頻度で説明会の開催、意見募集をおこなっている。今後、出来る限りそうした団体、国民への情報提供に努めると共に、国民の声をしっかり踏まえて交渉を通じて国益を実現するように努力していく所存である。

山田
今のTPPの話、コメの生産調整、直接支払の見直しについても、情報がマスコミでセンセーショナルに出て、農家の方や関係者の方の不満が募り、おさまらない状況にある。説明できる内容が、中身のあるものまではできないとしても、情報提供をしっかりして、今こうなんだ。ということを周知していくことが大事。是非この点はTPPのみならず、他の問題も含めてしっかりやってもらいたい。


6.水産業の経営対策について
山田
我が国の水産業は、「資源水準の低迷」、「燃油価格の高騰」、「消費の低迷」など極めて厳しい状況にある。水産物を安定的に供給するためには、水産業の振興が極めて重要。特に、経営対策については、平成23年度に導入された「資源管理・漁業経営安定対策」や、いわゆる「もうかる漁業事業」など、これまでも強化され、活用されてきた。今後、燃油価格の高止まりや魚価安を踏まえ、水産業の振興、特に経営対策の更なる充実を図るべきと考えるがどうか。

横山信一農林水産大臣政務官
我が国の水産業は厳しい状況にある中、水産物安定供給の確保、水産業の健全な発展を図るためには、経営安定対策の強化はきわめて重要と認識している。平成23年度から計画的に資源管理、漁業改善に取り組む漁業者を対象に、収入安定対策と燃油価格高騰対策を組み合わせた資源管理・漁業経営安定対策を実施している。このうち、漁業入安定対策事業については、漁業、養殖業の経営安定のための中核的な施策として引き続き実施するとともに、養殖業者の加入要件の多様化等の内容の充実等を検討している。燃油価格高騰対策である漁業経営セーフティネット構築事業については、本年7月より特別対策として価格上昇分の4分の3を国が負担するということを最大限の対策を措置している。
さらに、より厳しい経営環境の下でも操業、生産を継続できる経営体への転換を早急に図る必要がある。省エネを図る改革型漁船の導入等の取組を支援する、通称もうかる漁業事業、漁業構造改革総合対策事業の更なる充実を検討したい。

山田
水産業については様々な対策をやっていると思うが、農業の面では直接支払い等の新しい手法等が導入されている。水産分野においても経営対策をしっかりやっていただきたい。


7.森林、林業、木材産業―木材の需要拡大について
山田
森林の有する公益的機能、国土保全、水源涵養、温暖化防止等の多面的機能が維持されるためには、林業や木材産業が経営として成り立っていくことが極めて重要。このためには、木材需要の増大を図ることが、なんとしても必要である。石川県内でも関心を集めている木質バイオマスの発電への利用などを含め、木材の需要拡大を更に積極的に行うべきと考えるがどうか。

横山信一大臣政務官
森林が有する多面的機能を発揮させていくためには、利用期を迎えている我が国の森林資源を適切に利用していく必要がある。また木材に需要拡大が喫緊の課題であると認識している。公共建築物の木造化、内装の木質化、木造住宅の新築等にポイントを付与する木材利用ポイント事業他、木質バイオマス発電等に対する支援等措置を講じている。さらに本年6月に決定された「日本再興戦略」を踏まえ、中高層建築での利用に期待されるCLT(クロス・ラミネィテッド・ティンバー)などの新たな製品技術の開発や普及等を通じて新たな木材需要の創出を目指している。国産材の安定的、効率的な供給体制の構築等を図ることによって、林業の成長産業化の加速化を図っていきたい。木材事業の拡大を積極的に進めることにより、林業、木材産業業の成長産業化の加速を図り、森林の多面的機能を発揮に努めたい。


8.世界農業遺産について
山田
能登及び佐渡が先進国で初めて「世界農業遺産」に認定され、更に、本年日本の3地区が追加で認定された。世界農業遺産が日本で認定されてきていることについては、農林水産省の努力によるところが大きい。高く評価したいと思う。しかし大事なのはこれからだ。過疎地域などでは、地域を活性化するためには、第一次産業を活用することが極めて重要である。能登では「能登棚田米」のブランド化に取り組むなどしているが、他の地域でも「世界農業遺産の認定」を契機として、その地域の振興・活性化を進めるべきであり、農林水産省としても大いに支援すべきと考える。「世界農業遺産」に認定された地域の振興・活性化について、どのように考えているのか問いたい。

實重重実農林水産省農村振興局長
世界農業遺産(ジアス:GIAHS)について、これは次世代に継承すべき重要な農法や景観、文化、生物多様性を持っている農業システムを、FAO-国連食糧農業機関が認定している制度である。現在、世界11カ国25地域が認定されているが、最初に認定された石川県では、熱心に取組みをしていて、本年5月には世界農業遺産の国際会議がおこなわれた。そこで新たに我が国3地域が認定されて、現在全体で5地域になっている。この世界農業遺産の認定地域では、世界農業遺産の趣旨である、生物多様性や農村景観の保全といった取組が行われるが、併行して農産物のブランド化、観光との連携によるグリーンツーリズム地域振興が活発化している。5県、28市町村であるが、こういったところが連携して1つのネットワークを形成して、農産品の共同販売、シンポジウムの共同開催といった情報発信を検討している。農水省としても、世界農業遺産を活用した地域振興は非常に重要で効果的な取組だと思っている。こうしたネットワークを進めていることを支援したり、知名度向上のための情報発信、既存の事業の効果的な活用をしてもらうことにより、引き続き認定地域の振興を支援していきたい。


9.鳥獣害対策について
山田
地元石川県でも鳥獣害は、農林水産業に影響を与えるのみならず、農山村社会の崩壊にもつながりかねない大問題である。根本的な対策を講ずるべきと思うが、例えば、最近、シカ肉等を食用として利用することにより、その捕獲を増加させるといった動きもある。鳥獣害対策にどのように取り組むのか、方針を伺いたい。

佐藤一雄農林水産省生産局長
鳥獣被害が深刻化しているが、他方、地域資源として鳥獣肉を使った利活用する取組もでてきている。鳥獣被害対策の推進に当たって、鳥獣の食肉の利活用を通じた捕獲の推進といったものが重要と認識している。このため農水省では、捕獲した鳥獣の食肉としての利活用を推進すべく、鳥獣被害防止総合対策交付金、平成25年度予算では95億円を計上して、捕獲した鳥獣の処理加工施設の整備、商品の開発、販売流通経路の確立など販売面の強化を図っている。利用を推進するにあたり、衛生管理の面が問題になるので、鳥獣肉を利用する事業者、市町村の担当者を対象とした研修会を全国で開催している。平成24年度補正予算では、捕獲頭数に応じて1頭あたり8000円を支払うという対策の事実強化を図っている。こうした支援策を通じて、被害の軽減を図っていきたい。